N試作場

ジャンルにとらわれず、新しい組み合わせ、おもしろいことを考えていきます。

文体練習40 「 読み聞かせ会 」

2012年07月14日 | 文体練習
[ とある保育園。 今日は読み聞かせ会の日。 ]

園 長   今日は先生たちが、順番に一番好な本を読んでいきます

園児達   は~い

園 長   最初は、ゆりこ先生から。 ゆりこ先生はどの本が好きなのかな?

保母A   はい。 ゆりこ先生の一番好きな本は 『しょうぼうじどうしゃ じぷた』 です

男児達   あー、それ知ってるー! おれも好きー!



保母A   あるまちの まんなかに しょうぼうしょが ありました…


[ ゆりこ先生の読み聞かせが終わる。次の先生の出番。 ]


保母B   みき先生は 『ぐりとぐらだよ』

女児達   やったー! わーい



保母B   のねずみの ぐりと ぐらは おおきなかごを もって…


[ だんだんと園児たちも盛り上がってくる。 ]


園 長   最後は経さんね。

保母C   経先生は森本哲郎の 『この言葉!』 を読みます



園 長   え?

保母C   なぜ、人間は遠きを求めるのだろう。 「遠き」に夢を求めるからである。
       遥かな目標をめざすゆえだ。

       たしかに、高遠な理想を掲げるのは、おおいに結構なことである。
       しかし、そのために、足もとを見失えば、つまずいてしまう。

       メーテルリンクの童話『青い鳥』も、それを諭している。
       青い鳥(幸福)を求めて、さんざん森を探し回ったすえ、
       わが家の鳥カゴのなかに、その「青い鳥」を見つけるチルチルとミチルの物語だ。

       幸福はごく身近にある。

       ただ、人はそれに気づかないだけなのである。


[ 静まり返る会場。 微妙な空気が流れる。 気にせず続ける経さん。 ]


保母C   幸福は「ある」ものではない。 幸福に「する」ものなのだ。

       どんな状況や境遇にあっても、幸福は自分で作り出すもの、
       という自覚がいちばん大切であるはずなのに、
       人間は、つい、それを見失ってしまう。


[ 口を開けて茫然と経さんを眺めている園児達。 ]


保母C   もういちど、自分の足もとを見つめ直すべき時が、
       いま、個人の生活にも、そして社会にも、
       訪れているのではなかろうか。

園 長   あっ、終わりましたかね

保母C   第2章。 ある夏。 オアシスでの午後のこと。 ぼくは退屈しのぎに…






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