幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

幸せに生きるには幸せな考え方をすること 笑顔のレシピは自分が創ることだと思います。笑顔が周りを幸せにし自分も幸せに!

「失敗の本質」 戸部良一著他 ”繰り返さないための取り組みが行われているか?”

2016-12-05 11:44:56 | 本の紹介
ノモハン事件;
・関東軍が中央と対応の観念を持ち、中央からの連絡を無視したことも満州事変以来の悪習であり、断固改革しなければならない、統師の要は人にあり、関東軍をコントロールするには適正な人事が必要で、首脳部の更迭は実行すべきである。
・まったく勝ち目のないような戦況になっても、日本軍のみが持つとされた精神力と統師指揮能力の優越といった無形的戦力によって勝利を得るという、いわば神憑り的な指導で終わることが常であった。
・ノモハン事件を起こした責任者を処罰しなかった。一時的に左遷させたがすぐに復帰して、その責任者がその後の大きな戦いに同じ間違いを犯してしまった。

ミッドウェー作戦;
・多くの錯誤があったとしても、第一機動隊が索敵と厳重な警戒、そして周到な奇襲対処策を講じ、適切な航空作戦指導を行っていたならば、暗号が米海軍によって解読されていて奇襲を受けたとしても、必ずしも致命的なマイナスにならなかったであろう。
・目的のあいまいさと指示の不徹底。ミッドウェー島の攻略によって米空母を誘い出し、一挙に米空母を撃破する目的であった、その目的を第一機動隊の責任者に十分理解・認識させなかった。そのため第一機動隊の責任者はミッドウェー島を攻撃することだと思い、いくつかの失敗を犯した。
・第一機動隊の作戦遂行課程の錯誤は、索敵の失敗。航空作戦指導の失敗。

ガダルカナル作戦;
・戦略的グランドデザインの欠如。米軍はガダルカナル島攻撃が、日本本土直撃の一里塚という基本的デザインがあった。一方、帝国陸軍戦争終末観は、主力を中国大陸に置き、重慶攻略作戦によって、米国を中心とする連合軍に対抗して、日本の不敗態勢を確立することであった。ガダルカナル島の重要性を理解していなかった。
・陸軍による兵站線への認識には基本的に欠落するものがあった。すなわち補給は敵軍より奪取するかまたは現地調達をするというのが常識的であった。
・第一機動隊の自律性抑圧と情報フィードバックの欠如。第一線からの作戦変更はほとんど拒否されたし、第一線からのフィードバックは存在しなかった。

インパール作戦;
・ほんとうに必要かつ可能な作戦であったろうか。
・コンティンジェンシー・プランを欠いたものであった。作戦中止が遅れ、補給の不備ないし欠如は、戦闘と撤退の悲惨さをもたらした。
・上級司令部の幕僚の意見に従わないとする牟田口の個人的性格、またそのような彼の行動を許容した河辺のリーダーシップ・スタイルなどが関連していよう。「人情」という名の人間
関係性重視、組織内融和の優先であろう。それが悲惨な結果を招いた。

レイテ海戦;
・戦略的不適応が作戦展開中のいくつかの重大な局面において見られる。計画時間におくれたのにその修正を行わなかった。
・情報/通信システムの不備として、栗田艦隊旗艦が「大和」ではなく、「愛宕」にされ、しかし、被弾する可能性が高かったが、従来通りの考えを踏襲した。予測通り「愛宕」は撃沈され、移動に時間を要した。かつ4つの日本艦隊の通信連絡がきわめて悪く、不正確な情報や誤報にしばしば振り回された。栗田艦隊のレイテ湾からの反転もその結果である。
・「高度の平凡性」(レイテ湾の日本艦隊)が不足していた。
 ・聡明な独創的イニシアティブが欠けていた。
 ・命令または戦則に反した行動をたびたびとったこと。
 ・虚構の成功の報告を再三報じたこと。
 栗田長官の場合、作戦全体の戦略目的と自分に課せられた任務を十分理解していたとはいえなかった。また、軍令部、連合艦隊もレイテ湾突入目的を明確に指示すべきであった。

沖縄戦:
・米軍が上陸した場合、第三二軍はいかに作戦を指導すべきかという問題が、上級司令部との間でまったく調整されていなかった。

失敗の本質;
1)あいまいな戦略目的
2)短期決戦の戦略思考(戦争に勝つ見通しが持てなかったのに参戦)
3)主観的で「帰納的」な戦略策定-空気の支配
「科学的」という名の「神話的思考」から脱却しえてない。
インパール作戦の牟田口中将の「必勝の信念」に対し、補佐すべ幕僚が何を言っても無理だというムード(空気)につつまれてしまった。 
・情報軽視という主観的な戦略策定の特質
日本のエリートには、概念の創造とその操作化ができたものがほとんどいなかった。 
4)狭くて進化のない戦略オプション
一気に勝利を収める奇襲戦法は、日本軍の好む戦闘パターンであった。
秋山真之をして「海戦要務令が虎の巻として扱われている」と嘆かせるほどであり、一度も改訂されなかった。一方、米軍は失敗を生かして戦略を確実に進化させた。
敵の戦力を過小に評価し、自軍のそれを過大評価する楽観的な考え方
5)アンバランスな戦闘技術体系
ある面では優れた技術があったら、全体のバランスが欠けていた。
6)人的ネットワーク偏重の組織構造
ノモハン事件、インパール作戦がその典型例である。人情で作戦実施、空気で中止を伝えるなど。日本軍の組織構造上の特性は「集団主義」と呼ぶことができる。これは人間と人間との間の関係、それ自体が最も価値があるとの考えであった。この原理は意思決定を決定的に遅らせることによって重大な失敗をもたらすことがあった。 
7)学習を軽視した組織
「シングル・ループ学習」で「ダブル・ループ学習」が欠けていた。 
戦闘失敗責任は、しばしば転勤という手段で解消されたが、本人は直ぐに復帰して同じ過ちを繰り返した。

自己革新組織とは、環境に対して自らの目標と構造を主体的に変えることのできる組織であった。
日本軍には米軍のような静的官僚制にダイナミズムをもたらすための
1)エリートの柔軟な思考を確保できる人事教育システム
2)すぐれた者が思い切ったことのできる分権的システム
3)強力な統合システム
が欠けていた。
日本軍は過去の戦略原型にはみごとに適応したが、環境が構造的に変化したときに、自らの戦略と組織を主体的に変革するための自己否定的学習ができなかった。

感想
http://blog.goo.ne.jp/egaonoresipi/e/19f98d5bf3968a31b3df7ef372aa3265
「命令違反が組織を伸ばす」 菊澤研宗著 日本の戦争時の事例


日本軍の失敗は学校で学びませんでした。
戦争を起こした失敗を学ぶことで、同じことを繰り返さないノウハウを身に付けます。
ところが、それを日本はしてきませんでした。

同じことが、福島第一原発事故でも繰り返されているように思います。
東北電力の女川原発は津波予想を14.6mにして建設。
東京電力の福島第一原発は津波余生を6mにして建設。
ほぼ同じころに建設しています。
女川原発、福島第一原発には14mの津波が押し寄せました。
経営陣の津波に対する姿勢(ほぼ同じ規模と言われている貞観地震の扱いの違い)、原子力発電所に対するリスク認識の姿勢が大きく違っていた結果のリスクが実際に起きてしまったと思います。
同じことを繰り返さない学びが、政府、原子力委員会、東京電力にあることを願います。



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