幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

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「疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた」近藤一博著 ”疲労について先ずは知り、うまくつきあって、大きな病のリスクを下げる”

2024-08-07 03:56:28 | 本の紹介
・欧米では、まず「疲れているのに頑張って働く」ことは、よいことだと思われていません。効率の悪い、愚かな行為だと思われているのです。そのため、欧米の人はつかれたときは休んで、仕事の効率を上げようと考えます。疲れているのに無理をして働いている人は、「自己管理のできないだらしない人」だと解釈されます。日本で「頑張っている誠実な人」だと解釈されるのとは大違いです。

・ウイルスの世界には、こんな格言があります。
「最も愚かなウイルスでさえ、最も優秀な学者よりも頭がいい」
これは、われわれ人間の身体を住み処にしているウイルスは、人間の体を外から観察することしかできない学者よりも、人間のことをよくわかっている、ということを表現したものです。

・「疲れるとヘルペスが出る」という現象は、船腹感染していた単純ヘルペスウイルスがⅠ型が、宿主がひどく疲れたときに再活性化して、口唇ヘルペスという発疹をつくることによって起こるのです。
 口唇ヘルペスがよく出る人のなかには、疲労との関係を経験則的に知っていて、「ヘルペスが出てきたからそろそろ休まないと」などと、口唇ヘルペスを披露測定に利用している非tもいます。

・疲労は、「生理的疲労」と「病的疲労」の2種類に大別されます。
 しごとや運動などで発生し、1日休めば回復するような短期的な疲労を、生理的疲労おいいます。
 これに対し、何か月も続き、少々休んだくらいでは回復しない疲労は、病的疲労と呼ばれます。・・・
 病的疲労のなかで、最も発生する頻度が高いのが「うつ病」の疲労です。また、「慢性疲労症候群」という原因不明の慢性疲労も有名です。

・生理的疲労では、「疲労感」と「疲労」の区別
疲労感・・・ISRによって産出された炎症性サイトカインが脳に伝わって感じる感覚
疲労 ・・・ISRを引き起こすeIF2αのリン酸化による細胞の停止や細胞死

・仕事の締め切り直前で徹夜をしなければならなくなったときは、HPA軸が強く働きます。このため疲労感は本来の量よりも減少します。一晩徹夜しても意外に元気、といった経験をされた方も多いのではないかと思います。
 しかしこの状態は、副腎皮質ホルモンとアドレナリンやノルアドレナリンによって、「疲労感」が抑制されているだけなので、「疲労」、則ちeIF2αのリン酸化による細胞の障害は、どんどん蓄積されていきます。過労死、とくに心不全などの臓器障害で突然亡くなるタイプの過労死は、このような現象が原因と考えられます。

・ストレス応答の時間経過
 ALARM    警告反応期
 RESISTANCE 抵抗期
 EXHAUSTION 疲憊期 =疲労困憊

・ドリンク剤が疲労感を抑制する
 とくにエナジードリンクを飲みすぎた人が心不全によって突然死するなどの健康障害がとくに海外で報告されていますので、「疲れたがとれたような気がする」という現象は、疲労の減少ではなく、疲労感の減少であると考えられます。

・疲労感のマスク
 自分の興味があることをやっていたり、集中していたり、ほめられながらやっていたりするときなどには、疲れを感じないという経験が皆さんにもありませんか? この現象は、専門的には「疲労感がマスクされる」といいます。疲労感が曖昧な感覚であることが、この現象の原因の一つです。・・・過労死につながることもありますので、労働時間の管理屋、定期的な休息によって、疲労感のマスクには注意しなくてはなりません。

・軽い運動は疲労感を減少させるのではなく、疲労回復力を高めることで生理的疲労そのものを減少させるのです。

・ビタミンB1不足は疲労回復力を低下させる。

・慢性疲労症候群の病的疲労は、仕事や訓練のしすぎなどによる生理的疲労とはまったく異なるメカニズムで生じていることがわかりました。

・SITH-1がつくるタンパク質に反応して産出される抗体をうつ病患者が持っているかを調べたところ、約80%のうつ病患者が陽性でした。そして陽性の場合のうつ病になりやすさは、陰性の場合の12.2倍にものぼることがわかりました。

・うつ病の定義
 1)ほとんど一日中、抑うつ気分を感じる
 2)ほとんど一日中、すべての活動に興味や喜びを感じない
 次に副次的な症状としては、
  ①食欲が減退または増加する
  ②不眠または睡眠過多
  ③精神運動性または気力の減退
  ④易疲労性または気力の減退
  ⑤無価値観または罪責感
  ⑥思考力や集中力の減退
  ⑦死についての反復思考
  が挙げられます。
  これらのうち5つ以上が2週間続くと、うつ病が疑われます。
  また、他の病気がないことも条件となります。

・うつ病は30~50%という遺伝率で遺伝することがわかっています。
 30~50%の遺伝率でいうと、高血圧の遺伝率とほど同じです。
 ところが、繰り返しますが、オッズ比が1.2以上のうつ病の疾患関連遺伝子は見つかっていません。・・・
 うつ病は、「失われた遺伝率」の状態にある疾患なのです。

・嗅球を障害するとうつ症状が起こった

・文献をくわしく検索すると、うつ病患者では嗅覚障害がみられるとか、うつ病患者の嗅球の体積をCTなどで調べると健常人の嗅球の体積よりも小さいなど、うつ病と嗅球との関係は、細々とですが報告されていることがわかりました。

・うつ病患者の約70%は、このHHV-6に感染しているのです。

・このようなことからわれわれは、うつ病の「遺伝」と考えられているのは、SITH-1を発言しやすいHHV-6が親から子供に感染するために起こるのだろうと考えています。・・・
 遺伝だと思われていたものが感染症だとわかることおのメリットは大きいのです。
 有名な例が、かつてはライ病と呼ばれていたハンセン病です。

・うつ病は病的疲労であり、主な症状の一つは疲労感である。それは脳内炎症によって生じる。

・うつ病の原因は、脳内炎症説が最有力とみられる。

・筆者らは、うつ病を引き起こす原因とみられる「SITH-1」を発見した、

・SITH-1は、HHV-6が宿主の嗅覚のアストロサイトに潜伏感染しているとき発現する。

・SITH-1にうつ病を起こさせる環境因には、ストレスと疲労がある。

・うつ病が遺伝するように見えるのは、SITH-1を発現しやすいHHV-6が親から子に感染するためと考えられる。

・新型コロナウイルス感染後に倦怠感を訴える患者に、比較的早い時期にドネペジル(「アリセプト」)を投与すれば、新型コロナ後遺症にならずにすむのではないかと期待されています。

・過労死の原因最も多いのは、うつ病による自殺だという話を前にしました。
「死ぬくらいなら、その前になぜ仕事を辞めなかったのか?」
 悲しい知らせを聞く度に私たちはこうした疑問いとらわれますが、うつ病の発症よりも前に、脳内炎症が生じていることを考慮すれば、なぜなのかも理解できるのではないでしょうか。過労による脳内炎症のため、すでに正常な思考ができなくなっているのだと考えられます。

・新型コロナ後遺症になった患者は、ならなかった人に比べて、抗SITH-1抗体価が高いことがわかったのです。
 これによって、SITH-1の発言が、新型コロナ後遺症を引き起こす原因の一つであることがわかりました。

・過剰なトレーニングをすると、うつ病のような症状が現れることがあるのです。それが「オーバートレーニング症候群」と呼ばれる疾患です。・・・
 過度な運動はうつ病の原因になる場合があるということは、知っておいても損にはならないと思います。

・うつ病になりやすい性格として有名なものに「メランコリー親和型性格」と呼ばれるものがあります。その特徴としては、真面目、仕事熱心、秩序やルールに忠実、献身的、責任感が強い、頼まれると嫌とは言えない、といったものが挙げられます。
 こういう人は、ストレス耐性が低い性格ともいえますが、少なくとも、仕事はきちんとできそうです。
 これとは対照的に、ストレス耐性テストを用いてストレス耐性の高い人の性格を見ると、「対人関係に極めて鈍感で戦力にならない」という結果がでるそうです。

・ダーウィン
 いかなる痛みや苦しみも、長く続くとうつ病を引き起こし、行動力を低下させる。しかしうつ病は、巨大あるいは突然の悪からわれわれの身を守るための適応なのです。
 自身がうつ病だったためかもしれませんが、うつ病は必要なものであると、ダーウィンは明言しているのです。
 私もここまでの研究の結論として、ダーウィンの考えに賛成せざるをえないと考えています。疲労やうつ病とは、発症のメカニズムや、そもそもなぜそのようなものがあるのかを理解して、うまくつきあっていくのが正解なのではないかと思っています。

・アダムの罪がすべてのホモ・サピエンスの親から子に伝わったという話は、アダムとリリスの物語としても伝わっています。本来は、アダムはイブと結婚して子孫を残すはずだったのに、悪魔のリリスと結婚してしまい、罪を背負った子供であるリリンの子孫を増やしてしまった、というのです。
 これも、悪魔のリリスは最初にサルからホモ・サピエンスに感染したHHV-6の祖先であり、リリンは親からHHV-6とSITH-1を受け継いだホモ・サピエンスの子孫であると考えれば、SITH-1によるホモ・サピエンスの変化をよく表していると思います。

・疲労そのものをなくそうとすることは危険である。SITH-1や、うつを亡くそうとすることも得策ではない。
 人類は疲労やうつとうまくつきあっていくしかない。

・この本の結論を簡単に表現すると、「疲労とは脳の炎症だる」ということになると思います。そして、脳の炎症がどのようなメカニズムで生じるのかについても、従来の常識をくつがえす結果が得られたことを説明しました。

感想
 ”目から鱗が落ちる”内容でした。
知らないことがたくさんありました。
疲労感と疲労は違うものである。
脳に伝わるのが疲労感、実際に体にダメージを与えているのが疲労。
疲労感だけを取っていると、うつ病を発症したり突然死などを招いたりする。

 うつ病は遺伝ではなく、感染症の親から子への感染なので、遺伝率として30~50%ある。

 疲れのメカニズムを知り、早めに疲労回復をするなど、上手く疲労と付き合っていくことが大切だということだと知りました。
 怠けていると言われようが、疲労を取るための休息がとても大切だということです。
 まさに頑張れることと頑張っていはいけないことの見極めがとても大切なのでしょう。
 自分のこれまでの経験から疲労のメッセージを聴いて、きちんと対応することが、まさにそれが自己管理であり、自分の身体を上手く乗りこなすことなのだと思いました。
 周りから「怠けている」、「もっと頑張らないといけない」の声より、自分の身体とと心の声をしっかり聴いて、早め早めに休息することが、それが仕事をすることにもつながり、自分のパーファーマンスを高めることにもつながるのでしょう。
 ただ、単に自分に甘いだけだとこれも困りますが。


ニーバ―の祈りを思い出しました。
日本語訳(翻訳者:大木英夫)
神よ
変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。 

これを疲労に置き換えると
日本語訳(翻訳者:大木英夫)
神よ
もう少し頑張れる場合、もう一歩歩む冷静さをわれらに与えたまえ。
もうこれ以上頑張ってはいけない場合、休息をとる勇気を与えたまえ。
そして、頑張れる場合と、頑張ってはいけない場合とを、識別する知恵を与えたまえ。

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