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子ども手当から、未納給食費の天引きを検討 実現は困難か

2010年01月31日 10時01分29秒 | 子ども手当・子育て
「子ども手当てから小中学校の給食費の滞納分を充当したい」という地方自治体からの要望に対して、鳩山首相は前向きに検討する姿勢を示した(山梨県で行われた意見交換にて)。給食費の滞納分のうち、3分の2ほどは「払えるにも関わらず、払いたくないから払わない」という理由。全国市町村会は、給食費や保育料のうち、悪質な未納分を相殺できる仕組みの検討を求めており、これらを実現するためには、子ども手当の差し押さえ=充当するための条文を「こども手当法案」に盛り込むことが必要になる。

国会に提出済みの「子ども手当法案」では、給付金の譲渡や差し押さえなどはできない。厚生労働省としては、法案の差し替えはしたくないだろうし、法律で禁止していることを省令や通知などで可能とすることはできないので、調整は難航するものと思われる。

子ども手当を未納給食費に充当、首相が検討
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100130-567-OYT1T00794.html

給食費の滞納分、子ども手当から天引き検討 鳩山首相
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2010013002890.html

給食費滞納問題「首長には切実」30日の鳩山首相
http://www.asahi.com/politics/update/0130/TKY201001300309.html

地方自治体の認識としては、「給食費を払いたいけれども、経済的な理由から払えない」親よりも「住民税支払っているのでなどと理由をつけて、払いたくないから払わない」親のほうが多いということなのだろう。このような悪質な滞納者は、いわゆる「モンスターペアレント」。どこまで本当なのかわからないが、国のレベルまで要望を上げなければならないほどの教育現場の実態があるのだろう。
また、法案を差し替えて実現できるようにしても、運用するのは大変である。学校が保護者に説明して同意を得て、福祉課などに連絡して差し押さえの手続きをするよりも、保護者を説得して払ってもらったほうが早い。保護者に「払いたくない(払う必要がない)から払わないという理由なら、最終手段として子ども手当を差し押さえる」と言える(最終通告できる)だけでも十分効果的と思われる。

モンスターペアレント実態赤裸々 無理難題と理不尽全18例掲載
・子供と親の分、保育所で朝食を用意して欲しい
・保育料も、教材費も、遠足のバス代も払わない
http://www.j-cast.com/2008/04/12018756.html

給食費滞納9万9000人、原因の6割が「親のモラル」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070125ur04.htm

文部科学省の全国調査で、2005年度の滞納総額が22億円。子ども100人に1人の割合との実態が明らかになっている。この記事においても言及があるが、「払いたくても払えない」人がいるのも確か。その場合には、保護者から事情をきき、各種制度の情報提供や減免などの手続きの支援をしっかりと行うべきだろう。