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自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

子ども手当の事務処理の概要が明らかに

2010年01月15日 09時34分42秒 | 子ども手当・子育て
厚生労働省は、18日に召集される通常国会に提出される「子ども手当」の法案(児童手当法改正法案)の概要をまとめ、各都道府県などに示した模様。毎日新聞がその内容を報じている。

<子ども手当>年3回分割支給、市町村に申請必要 法案概要
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100114-00000110-mai-pol

子ども手当の財源確保には、紆余曲折があった。そのため、今国会に提出される子ども手当法案は、1年限りのものとなった。支給額は、半額の1万3千円で、6月以降に支給される(児童手当を受給している世帯は、2月・3月の2ヶ月分の児童手当を合わせて支給)。6月の支給額は、4月・5月の2ヶ月分の2万6千円。その次の支給額は10月で、6月から9月までの4ヶ月分の5万2千円、来年の2月にも同額の5万2千円が支給される(いずれも子ども1人あたり)。

子ども手当を受け取るには、市町村の窓口での申請手続きが必要となる。所得制限がないため、住民であることを確認できれば、支給が開始される。窓口で現金を支給するとなるとかえって大変になるので、口座振込を基本とする市町村が多くなると思われる。子育て応援特別手当を支給するにあたっての検討事項に、DV被害者への対応などがあったが、子ども手当を支給するにあたっても同様の対応策が求められることになるだろう。

子育て応援特別手当の申請・支給事務フローのイメージなどは、厚生労働省のホームページにそのまま残されている。参考にしていただきたい。子育て応援特別手当は、政権交代に伴って執行が停止された手当。定額給付金と同様、景気対策のための1度きりの支給だが、所得制限がなく、世帯主に支給するという点で子ども手当に近い。子ども手当の事務処理や必要となるITシステムの基本的な考え方は、子育て応援特別手当と児童手当を足して2で割ったようなものと考えてよいのだろうか。

子育て応援特別手当(21年度版)の申請・支給事務フローイメージ
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/juyou/kosodate/pdf/info_090618c.pdf

平成21年度支給実施要綱(例)
http://www.mhlw.go.jp/za/0828/d23/d23-01.pdf

なお、6月の支給に間に合わせようと申請者が列をなすと市町村の事務処理能力を超えてしまうおそれがある。申請の時期を分散させるために、できるだけ早くから申請を受け付けるようにする(子ども手当に移行する)とか、9月末までに申請がなされたら4月に遡って支給されるようにするといった方法が考えられているようである。


子ども手当の支給に必要な費用は、2兆2554億円。そのうち、国の負担は1兆4556億円。来年度は、この倍の4兆5千億円となる。児童手当を残して、その上に子ども手当をかぶせるという「苦肉の策」は、2010年度の1年限り。その翌年度には、児童手当法分がなくなるので、その分の財源を確保しなければならないし、さらに2兆2千億円余りを確保しなければならない。民主党は、予算の組み替えを進めるとしているが、4兆5千億円は簡単に捻出できる額ではない。2000年度からスタートして少しずつ伸びてきた介護保険制度の給付額が5兆8369億円(利用者の自己負担額を除く。なお、国の負担は1/4)であることを考えると、その額の大きさをわかっていただけると思う。

平成19年度 介護保険事業状況報告(年報)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/06/tp0624-1.html


6月・10月・2月に分割して支給するのは、現行の児童手当と同じ。4月からの2ヶ月のずれは、前年度の所得の確定が6月であるため。子ども手当には所得制限を設けていないが、児童手当を残しているために、支給開始が6月になったのだと思われる(参議院選挙を意識してのこともあろうけれども)。