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全国児童福祉主管課長会議が開催、子ども手当の事務概要が明らかに

2010年01月19日 09時36分02秒 | 子ども手当・子育て
厚生労働省は、地方自治体の児童福祉担当者を集めた会議(全国児童福祉主管課長会議)にて、子ども手当の支給時期などの具体的な事務手続きを説明した。

9月末までに市町村へ申請 子ども手当で厚労省
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010011801000875.html

基本的には、先週末に報じられたとおり(このブログでも取り上げている)。新たに明らかになったことは、児童手当を受給中の世帯は、申請が免除されるということ。児童手当は、小学生修了までの児童がいる世帯が対象(所得制限あり)。暫定的に児童手当を存続させることになったことから、前年度の受給決定を継続できるとしたのだろう。本来ならば、現況確認が必要だが、いずれにせよ子ども手当の額は同じなのだから、少しでも事務を軽減しようという考えである。

なお、現在、児童手当を受給しているから申請しなくても大丈夫というわけではないので、注意が必要である。例えば、小学生と中学生の2人の子どもがいる世帯においては、小学生の子ども分の申請は免除されるけれども、中学生の子ども分は申請しなければならない。別の市町村に引っ越した場合も申請が必要になる。児童手当の事務は、市町村ごとになされているため、引っ越した先で改めて申請しないと情報が引き継がれない。このような申請が必要になるケースを整理して、「うっかり忘れがないように」と注意を促す必要があるだろう。

子ども手当は、所得制限がなく、支給年齢も中学生修了までに引き上げた。そのため、支給者数が、児童手当の1239万人から1735万人へと、500万人ほど増える。4月1日には、子ども手当システムに、児童手当システムの受給者データを移行して申請免除者を決定(支給対象者の約2/3)。その次に、住民基本台帳などから住民データを取り込んで、子ども手当の申請が必要な者を抽出(約1/3)。それぞれに対して、子ども手当の支給開始と手続きについての案内を郵送するということになるだろう。
新たに導入する子ども手当用のITシステムには、既存の児童手当システムとのインタフェース、住民基本台帳などとのインタフェースを実装する必要がある。児童手当システムからのデータ移行は1度きりだが、住民基本台帳などからの異動データ取り込みは、これからも使い続ける必要がある(支給資格を連動させるため)。
インタフェースの実装は、それほど難しくはない。問題は、残された時間が2ヶ月少々ということと、作業できるSEを確保できるかということ。既存の児童手当システムに、移行用データを出力する機能があるか、そのデータは、新たに導入を決定する子ども手当システムに取り込めるか、正しく取り込めたことを確認する試験期間を確保できるか(市町村向けシステムには「外字」を正しく処理することが求められる。文字化けしていないことを確かめる必要がある)などを一つひとつチェックしていかなければならない。
しかも、現時点で明らかになっている情報では、子ども手当システムの発注もかけられない。IT業界も、子ども手当システムを設計できない。4月1日に、子ども手当システムの導入が間に合わない(業者決定できていない)市町村が続出するおそれがある。
それでも、4月から申請を受け付けなければならないし、6月には支給を開始しなければならない。遅くともそれまでには、支給対象者のデータファイル(金融機関向け)が必要になるということなので、担当者は大変である。

子ども手当法案と厚生労働省から出された資料をみてみないと、これより先は何ともいえない。詳しい情報が入れば、このブログで紹介したい。