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自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

建設国保の徳島県支部、東京都と厚生労働省が事情聴取

2010年01月29日 09時32分46秒 | 高齢者医療・介護
このブログで取り上げた建設国保の徳島県支部の内部調査の結果を受けて、東京都と厚生労働省関東信越厚生局は、27日から事情聴取を始めた。これまで、徳島県内の自治体や企業の退職者が「保険料が安い」と誘われて加入していたことがわかっており、支部の資格審査においても建設関連業に就いているかチェックしていなかったらしい(審査の手続きには、雇用や就労の証明書が必要になる)。
その結果、支部の組合員1905人のうち、60歳以上が1307人で69%を占め、全国平均の27.7%を大きく上回っている。しかも、60歳以上になってから加入した人の割合が45.4%であまりに不自然。銀行や電力会社などの別業種の退職者を組織的に勧誘して加入させた疑い(不正への組織的な関与)があるとのこと。組合員への加入の経緯などの聴き取り調査がなされているので、実態は明らかになるだろう。

建設国保の無資格加入で事情聴取 組合員に都と厚労省
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012701000464.html

この問題が発覚してから、建設国保を脱退して、市町村国保に移るケースが相次いでいるとも報じられている。建設関係の仕事を廃業して被保険者資格を喪失したとの証明書を市町村に提出しているが、問題となっている無資格者である可能性もあるとのこと。このブログでも書いたが、もし建設国保への加入資格がなかったとすれば、市町村国保の加入日は、建設国保に加入する前(正確にいえば、その前に加入していた医療保険の資格喪失日の翌日)まで遡ることになる。つまり、そこまで遡った資格取得日から手続きを行った日までの市町村国保の保険料が未納になっているから、その額を納めなければならない。建設国保に納めた保険料は戻ってくるが、「保険料が安い」から加入していたのだから、市町村国保の未納分には足りない。しかも、加入期間が長ければ大変な額になる。

全建国保の脱退相次ぐ 徳島支部、大半無資格者か
http://www.asahi.com/national/update/0125/OSK201001250148.html

もし、このことをわかっていて、徳島県支部の職員が、無資格者に「組合発行の資格喪失証明書」を最近の日付で出していたとすれば、大問題である。本当に建設関係の仕事に従事していたか、廃業したから手続きしたのか、「本当の資格喪失日」がいつだったのかをしっかり調べる必要がある。もし、資格喪失日を偽って証明書を出していたと判明すれば、職員には何らかの処罰があってしかるべき。調べなかった、知らなかったでは済まされない。加えて、無資格での加入者には、市町村国保と連携して、未納分となっている市町村国保の保険料を請求すべきだろう。もちろん、加入者数に応じて国から建設国保に出されている補助金のうち、無資格者の分は過去に遡って返納すべき。このように考えると、単なる事情聴取では済まないとわかるだろう。

「税の詐取、厳正対処を」 全建国保検査
http://mytown.asahi.com/tokushima/news.php?k_id=37000001001260002

徳島県の飯泉知事は、定例会見で「組合が資格のない加入者を集めていたとすれば、国税を詐取するもの」と指摘。監督官庁の東京都に「厳正対処」を求めている。