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2010年度政府予算案をざっとみると... その1

2010年01月17日 09時41分06秒 | 予算・事業仕分け
日経BPのホームページに、昨年末に公表された2010年度(平成22年度)政府予算案について整理し、解説した記事が掲載されている。
この記事を足がかりに、このブログでは、社会保障政策の観点から見直してみたい。

小宮一慶の「スイスイわかる経済!“数字力”トレーニング」
22年度予算で日本の景気は良くなるのか?
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100107/204004/?P=1

なお、財務省のホームページに詳細な情報が掲載されている。何かあれば、こちらで確認していただきたい。

平成22年度予算政府案
http://www.mof.go.jp/seifuan22/yosan.htm

まず、日経BPの記事(表)を使って、ざっとしたところを掴んでおきたい。
歳出の規模は、92兆2992億円。今年度と比べて3兆7512億円も増加している。「コンクリートから人へ」や「控除から手当へ」などの基本的な考え方に基づく予算の組みなおしや「事業仕分け」がなされたが、いったい何にいくら使われていて、政権交代に伴って何を削ったのかは、よくわからない。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100107/204004/?P=3

上記のページに2つの表がある(いずれも、財務省の「平成22年度予算のポイント」より)。

平成22年度 一般会計予算フレーム「歳出」
主要経費の分類による予算の変化「コンクリートから人へ」

2つの表をみると、前年度比で大きく伸びているのは、社会保障関連費。24兆8344億円から27兆2686億円で、2兆4342億円(9.8%)の伸びである。伸び率だけでみれば、食料安定供給関連費が33.9%が最も大きいが、増減額は、2940億円に留まっている。
社会保障費は、高齢化の進展に伴い、今後も増えていくことは確実である。そのため、歳入に合わせて歳出を抑えるためには、どこかでどこかで2兆4千億円ほど削らなければならない。そうしないと、歳出はさらに膨らみ、歳入との差を賄うために国債を発行し続けなければならなくなる(これ以上の国債発行は、金利の上昇を招き、日本経済を崩壊させかねない)。

もっとも大きく削られているのは、公共事業関連費。7兆701億円から5兆7731億円で、1兆2970億円(18.3%)の削減である。他にも恩給関連費や経済協力費、エネルギー対策費が削減されているが、とうてい2兆4千億円とバランスさせるに至らず、歳出の規模が過去最大になってしまったということだろう。

なお、歳入については、下記のページをみていただきたい。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100107/204004/?P=1

平成22年度 一般会計予算フレーム「歳入」

この表のポイントは、税収が37兆3960億円と8兆7070億円も減少していること、公債金(国債発行額)が44兆3030億円と税収を上回っていること、税収の落ち込みを、その他収入(いわゆる埋蔵金)の10兆6002億円で賄っているけれども2011年度予算でも同じことはできないだろうということである。

このような財政状況をみると、医療・介護の給付費をはじめとする社会保障費の伸びを抑制する政策は良くないとばかり言っていられないことがわかる。明日は、財務省のホームページに掲載されている「各予算のポイント」をみていきたい。

各予算のポイント
・社会保障関係予算
http://www.mof.go.jp/seifuan22/yosan.htm