制度改正Watch

自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

行政刷新会議、今年度前半の重点を選定 そのうちの1つが医療・介護

2010年01月13日 09時41分08秒 | 予算・事業仕分け
行政刷新会議が12日に開催され、今年6月までに取り組む規制・制度改正の重点分野として、(1)環境・エネルギー、(2)医療・介護、(3)農業、(4)保育・職業能力開発などの雇用・人材の4分野が選ばれた。今後、4つの分科会が設定され、議論が進められる。
また、事業仕分けの結果が新年度の予算案にどのように反映されたかが報告された。議員からは、「横串の入れ方が不十分」「今回限りで終わっては、同じことの繰り返しになる」などの意見が出された。

事業仕分けの結果が予算案にどのように反映されたのかについては、しっかり見ていく必要がある。このブログで取り上げた経済産業省の「安心ジャパン・プロジェクト」を例に、いかに役人が「面従腹背」でやり過ごそうとしているかをみていきたい。

安心ジャパン・プロジェクトの要求額は、32億円。民間が創意工夫を凝らしているのだから、わざわざ国が手掛ける必要はない、厚生労働省と重なっているなどの意見が出されて「廃止」となっている。経済産業省は、その通りに「廃止」しているが、その代わりに「規制改革の検討に必要なデータ収集・分析、新たな制度構築の検討等のための調査研究事業として20億円を計上」としている。調査研究事業に20億円も必要なのだろうか。しかも、内容は、行政刷新会議が重点的に取り組む4分野のうちの1つと同じである。大いに疑問が残る。
直島大臣には「政治主導」を発揮していただいて、この予算の使い道をしっかり監視してほしい。いつの間にか執行されていて、役にも立たない調査ばかりしている(名目上は)コンソーシアムに億単位のばらまきがなされているようなことにだけはしてほしくない。

平成22年度経済産業省予算案の概要
http://www.meti.go.jp/press/20091225013/20091225013.html

平成22年度経済産業省関連予算案のPR資料(一般会計(製造産業局、商務情報政策局、商務流通G))
医療・介護等関連分野における規制改革・産業創出調査研究事業(P.35)
http://www.meti.go.jp/press/20091225013/20091225013-13.pdf

経済産業省でも厚生労働省に見習って、政策の評価をしてはいかがだろうか。「医療・介護・保育等の分野への民間サービス事業者等の参入を阻害している規制や制度等の見直しを進めるため、大規模データ収集・分析等の調査研究を行う事業を実施」する必要があるとは思えない。そもそも、民間の参入を阻害しているのは何か、それを経済産業省が主導して見直すことができるのか、見直した場合にどれほどの市場が創出されるのかなどについて何も考えることなく、いきなり大規模な調査をするのは、あまりにも無謀。
それでも20億円の予算を投じるとすれば、数十億円~百億円規模(年間)の新規市場を創出できるものと期待したい。1年後に評価して、もしその見通しが立たないということならば、サービス政策課には、類似の事業は手掛けさせないぐらいの厳しいハードルを設定すべきである。

まずは有識者を集めて現状の確認と議論をしっかりし、簡単なプレ調査をして仮説を検証する。その上で本格的な大規模調査をするという現実的な進め方に転換してほしい。20億円の予算を「民間事業者等」に渡し(コメントでいただいた癒着が疑われるような怪しげな会社とは契約しないように!)、そこを通して全国数ヶ所のコンソーシアムに再委託(=ばらまき)。1年後に報告書が上がってくるので、それをホームページに掲載しておしまいにするという、仕分けられてしまった某案件のような進め方は撤回してほしい。

このブログ(制度改正Watchは、始めたばかりのとても小さいブログだが、ようやくGoogleサジェストの検索キーワードに登場するまでになった。閲覧いただいている方々には感謝したい)を使って、この案件をしっかり「監視」していきたい。国民は、調査研究に20億円を注ぎ込むことには納得しないだろうし、実施を望まないだろう。
これ以外にも「廃止」したはずの交付金を名目をかえて継続しているなどと報じられている。事業仕分けの結果を監視する第三者機関を設置しないと、巻き返しを許し、派手なだけの「パフォーマンス」になってしまう。ぜひとも検討していただきたい。