制度改正Watch

自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

厚生労働省、アフターサービス室を設置 民間人4人程度を公募(予定)

2010年01月20日 10時13分00秒 | その他
厚生労働省が導入予定の、新事業や制度改正を外部の視点から評価する仕組み、改善努力を続けるための仕組みの概要が明らかになった。このブログでは、1週間ほど前に取り上げているので、そちらもお読みいただければ幸いである。

厚労省アフターサービス室設置へ 長妻氏が指示
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010011901000668.html

新たに導入する仕組みは、厚生労働省の政策評価を担当する部署に設置する「アフターサービス室」。社会保障分野に通じた民間の人材を4人程度公募し、2年間の任期付きで配置するとのこと。長妻大臣の「2010年年頭所感」には、厚生労働省に不足している能力として「実態把握能力」「制度改善能力」「コミュニケーション能力」の3つがあると書かれている。新たに設置される「アフターサービス室」は、制度改善能力の強化を主な目的とするもの。誰がどこで、なぜ困っているのかなどの「実態を把握」すること、対応する新しい制度をつくり、新しい事業を始めた後に、きちんと機能しているか、改善が必要かなどを把握して「制度を改善」すること、国民に対して、的確に「情報を発信」することが必要だという一連の能力=活動の「核」にあたる。

いかに優れた制度・政策であっても、万人のニーズに対応することはできない。対象とするニーズから外れるものが出てしまうのは仕方ないことだし、むしろ外れてしまうニーズを拾って新たな制度・政策につなぐことが必要とされる。いかに優れた制度・政策であっても、動き始めた直後から、少しずつ「手直しが必要な制度・政策」へと近づいていく。動き始めたことで新たなニーズが掘り起こされることもあれば、構想時には想定していなかった新たなニーズが見えてくることもある。それらの現行の制度・政策では対応できないニーズを把握し、現状に合わせて手直ししていくことが必要とされる。このように、すべての制度・政策には、「不断の改善努力」が義務付けられているといえる。

民間では当たり前の「アフターサービス」というよりも、より多くの顧客に受けいれられるように製品やサービスの改善の努力を続ける企業活動そのものといえる。企業においては、市場=顧客の声をきき、どう応えればよいかを考え抜き、具体化して市場に新しい製品やサービスを投入する。市場=顧客の声を再びきき、適切だったか評価する。このサイクルをまわして、新たな市場=顧客を獲得することが企業の使命といえる。長妻大臣の言葉を言い換えると、「制度・政策を考え、実行に移すところまではよいとしよう。しかし、今の厚生労働省は、実行しっぱなしで、評価と改善ができていない。それでは、PDCAサイクルのPとDしかないようなもの。厚生労働省でも民間と同じ努力をしてPDCAサイクルをきっちり回そう」ということになる。

アフターサービス室の立ち上げは、7月を予定しているとのこと。PDCAサイクルのCとAを担うことになるアフターサービス室の活躍を期待したい。