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全国児童福祉主管課長会議資料のURL 子ども手当の事務処理は煩雑か

2010年01月22日 09時13分32秒 | 子ども手当・子育て
WAM-NETで、1月19日に開催された全国児童福祉主管課長会議の資料が公開されている。

全国児童福祉主管課長会議資料(平成22年1月19日開催)
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb16GS70.nsf/vAdmPBigcategory60/FEFB6F19CA78CE38492576B000058C07?OpenDocument

子ども手当の事務処理について、どの程度の情報が公開されているかみていきたい。

子ども手当ての円滑な実施(システム経費)
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb16GS70.nsf/0/fefb6f19ca78ce38492576b000058c07/$FILE/20100119_1shiryou1-7~10.pdf

まずは、第二次補正予算に計上された、システム経費123億円について。人口規模に応じた補助金となるとのこと。基準額が300万円で、それからは、1人あたり65円から30円の単価をかけた上乗せ額を積み上げ。上限は、7000万円となる。人口15万人の市においては、1175万円とのこと。この金額ではITシステムを導入できないと思われるので、市町村においても予算の確保が必要になるかもしれない(ITベンダーが補助金を計算して、その額に合わせて見積もってくるかもしれない)。

次に、子ども手当の事務処理について。「子ども手当に係るスケジュール例」をみると、児童手当に子ども手当を上乗せしたことから煩雑な仕組みとなっているようである。別々に支給を決定するのではなく、子ども手当として一括して支給を決定するなど、事務の簡素化・効率化を進めないと大変になるかもしれない。
例えば、小学校修了前の子どもに関しては、児童手当の支給対象になるかを確認し、1万3千円との差額を子ども手当とするといった事務処理だとすると、市町村の窓口では、これまでと同じように現況届を出すように求め、児童手当の支給額を求め、差額を求めて子ども手当の支給額とし... などと煩雑さが増すことになる。

スケジュール例の6月あたりに「現況届」と書かれている。また、子ども手当に係るQ&A(VOL.1)の問5~問8に書かれていることからは、子ども手当として1万3千円を支給するが、その内訳に児童手当が入っているか否かを市町村は把握しておかなければならないように読める。子どもの数の掛け算で世帯あたりの支給額を計算すればよいとの単純な考え方ではなさそうである。

事務処理を支援するITシステムも複雑さを増す。最初は、住民基本台帳システムと外国人登録システムから住民のデータを持ってきて、子ども手当の支給申請データをつくればよいと考えていた。児童手当の支給者は基本的に申請が免除されることが明らかになったので、児童手当システムから支給者のデータを移行して申請がなされたものと扱えばよいと考えていた。そのため、このブログでは、それほど難しくないだろうと書いた。
しかし、児童手当の事務(児童手当支給者の管理と児童手当支給額の計算、現況届の管理など)がそのまま残り、1万3千円との差額として支給される子ども手当の事務(子ども手当支給者の管理と子ども手当支給額の計算など)が上乗せされるとなれば、ITシステムのつくり込みは大変になる。

既存の児童手当システムがそのまま使えればよいが、そのシステムを開発したITベンダーが1年間限りの子ども手当システム(既存システムへの機能追加分として)の開発に着手しないかもしれない。そうなった場合は、子ども手当システムを開発しているITベンダーに切り替えざるをえなくなる。児童手当システムを動かし続け、新たに導入する子ども手当システムに支給決定データを取り込むようにするのか、新たに導入する子ども手当システムに児童手当システムの機能を丸ごと取り込むようにするのか。
1年後には、子ども手当システムを入れ替えなければならないことを考えれば、それほど費用をかけたくないし、この1年をどのように乗り切るかを検討する時間はあまりない。4月には申請受付が始まるので、すぐに決めて着手しなければならない。

少なくとも、今回の課長会議で明らかになった情報だけでは、子ども手当システムの発注はかけられないだろう。小学校修了前の子どもがいる世帯から、新たに子ども手当の申請があった場合に、児童手当の支給分があるか否かを確認するための事務が必要か。児童手当を支給している世帯においては、子ども手当の支給開始後も現況届を出す必要があり、2010年度の子ども手当の支給にあたって児童手当の支給分があるか否かを確認するための事務が必要か(スケジュール例をみると、どうも必要になりそうである)。この2点だけでも明確になると、検討を進められる。課長会議の場で、どのような説明がなされたのかを知りたい。