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ライフ・イノベーションの工程表を考える その1

2010年01月04日 09時43分05秒 | 情報化・IT化
昨年末の30日、「新成長戦略 ~輝きのある日本へ~」が閣議決定された。
今回、公表されたものは、経済産業省で議論が進められてきた「成長戦略会議」を土台とした「基本戦略」で、これからの肉付け作業を経て、6月初めに「成長戦略実行計画(工程表)」の取りまとめがなされることになっている。

「新成長戦略(基本方針)~輝きのある日本へ~」について
http://www.meti.go.jp/topic/data/growth_strategy/091230.html

2020年度まで国内総生産(GDP)を実質2%成長させ、現在の1.4倍の650兆円に増やすことを目標として掲げている。2009年の名目GDPは、2007年から1割程度も減少したが、何とか世界2位の座を守った。しかし、2010年には、おそらく中国に抜かれて3位に転落するのは、ほぼ避けられないと報じられている。これからの10年で1.4倍のペースで経済が成長したとしても、もはや「経済大国」とは言えなくなっているかもしれない。

「二番底」回避へ正念場=GDP、世界3位転落へ-10年の日本経済
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-091231X284.html

成長戦略は、「日本の強みを活かした成長」と「フロンティアの開拓による成長」に大別され、「日本の強みを活かした成長」は、環境・エネルギー分野の「グリーン・イノベーション」、健康(医療・介護)分野の「ライフ・イノベーション」の2本立てとなっている(これまでは、「グリーン・イノベーション」と対比させるように「シルバー・イノベーション」と報じられていたが、高齢者を「シルバー」と表現するのは日本だけで海外では通じないので、「ライフ~」に変更になったのだろう。なお、高齢者をシルバーと表現するようになったのは、電車の優先席に「銀色」が採用されたことがきっかけらしい)。

実質2%成長が目標 政府が成長戦略、環境・健康が軸
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2009123001270.html

新成長戦略 目標実現の具体策が見えない
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20091230-567-OYT1T00864.html

新成長戦略の公開後の社説などをみると、あまり評価は高くない。旧政権で議論されてきたことを改めて整理しただけとか、2%成長の具体策が見えないとかいった批判である。肉付け作業はこれからなので、6月初めの実行計画(工程表)待ちということだろう。その工程表のイメージを示すために、「グリーン・イノベーション」の工程表が公開されている。

工程表 グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略 [日本型低炭素社会の構築]
http://www.meti.go.jp/topic/data/growth_strategy/pdf/091230_3.pdf

同じように「ライフ・イノベーション」の工程表を1枚の紙の上に取りまとめるのは大変だろう。読売新聞が「民間からアイデアを広く募って、効果や実現性の高いものに絞り込むなど、抜本的に練り直した方がいい。新産業の育成や技術支援に必要な費用をどう工面するのかも示すべきだ」と主張しているように、経済産業省と厚生労働省の役人が取りまとめるようでは、成長戦略の魅力は半減。これまでのように任せてはいられない。
日本社会をよりよいものにするためにも、すべての国民が力を合わせ、知恵を出し合うべきである。このブログでも微力ながら「ライフ・イノベーション」の工程表に何を盛り込むべきかを考えていきたい。