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建設国保の徳島県支部、無資格加入の実態を公表

2010年01月16日 09時38分41秒 | 高齢者医療・介護
建設国保(全国建設工事業国民健康保険組合)の内部調査で、組合員の多くが建設関係の仕事に従事していない=加入の資格を喪失していることが明らかになった。今回、問題が発覚したのは徳島県支部。組合員1888人を対象に、建設関係の仕事に従事しているかのアンケート調査を行ったところ、1297人から回答があった。そのうち約4割の518人が「従事していない」と回答。591人から回答が返ってきてこないことから、資格を喪失している組合員は、700や800ぐらいになるかもしれない。

国保組合は、「同種の事業か業務に従事する者で組合員を組織する」と定められており、建設国保においては28の業種が定められている。そのいずれにも従事していないにも関わらず、「保険料が安い」「給付が充実している」などと建設国保に加入したり、資格を喪失しても継続したりといった実態があるものと思われる。なお、「従事していない」との回答のなかには、この建設不況で失業中の加入者もいると思われ、仕事の切れ目ごとに市町村国保と建設国保を行ったり来たりさせる必要があるのかは議論の余地があると思われる(法に照らし合わせると、行ったり来たりが原則で、議論の余地はないのだが)。

なお、建築関係の仕事に就いていないにも関わらず「保険料が安い」からと加入していた組合員は、加入時に遡って資格喪失の手続きがなされるようである。被保険者資格がないのだから、保険料が返ってくるけれども、資格を偽って給付を受けていた分についての支払いが求められる。このブログで取り上げたように、建設国保では付加給付が充実しており、その分を含めて支払えといわれると大変である。加えて、建設国保の資格を偽って取得した日に遡って「医療保険未加入」になるため、市町村国保の資格取得の手続きと、その日=市町村国保の資格を取得した日から今日までの保険料を納付するように求められる。人によって異なるが、上記をプラス・マイナスすると、そう簡単には支払えない額になるだろう。今回、無資格加入が明らかになった500人余りの扱いを注視していきたい。
国保組合の財政にも影響を与える。例えば、約半数の組合員が無資格だとすると、受け取った国庫補助を半分ほど返納しなければならなくなる。このブログでも取り上げているが、国保組合(特に建設においては)の国庫補助率はかなり高い。剰余金を一気に吐き出さなければならなくなるかもしれない。

半数近い組合員が無資格というのは、建設国保の徳島県支部だけの問題ではないと思われる。残り46都道府県の支部においても調査すべきだし、監督官庁の東京都や厚生労働省による立ち入り検査も必要になるだろう。また、他の国保組合でも同じような問題が発覚するかもしれない。そうなると、「国保組合とは何だろう」と国民の関心を集めるようになるだろう。

国保組合の問題については、朝日新聞の報道が詳しい。このブログでも取り上げているが、国保組合の実態を明らかにして外堀を埋めておき、世論を味方につけて広域化した市町村国保と一気にくっつける計画でもあるのではないかと邪推したくもなる。

加入者の4割が無資格状態 全建国保が徳島支部調査
http://www.asahi.com/national/update/0115/TKY201001140489.html

500人超が無資格加入か 建設国保の徳島県支部
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010011501000892.html