もう、何年花火をしていないだろうか・・・
ふとそんなことを考えていたら、
去年入手したちょっと高価な「日本製線香花火」を思い出して、
綾乃さんは物置の引き出しを探しに行った。
あった、あった。
と、うれしそうに戻ってきた綾乃さん。
でも湿気ているかもしれないと思いながら、
火をつけてみた。
シュッ・・・
点いた。
そして、懐かしい花火の香りと
美しい菊の花を散らしたような線香花火のさまが現れた。
日本製の丁寧に1本ずつ作られたその線香花火は、
何が違うって、
花火の先にできるあの“丸い球”が大きいのと、
その球が最後まで落ちないできれいに火花を咲かせ続けてくれること。
心を込めてつくられた職人の技を花火の
その最後のひと燃えに感じる。
線香花火をしていると、
夜風が涼しく吹いてきた。
球を落とさないでね、と祈りながら、
ああ、もうそこまで秋が来ていると
ふと感じた夏の終わりの夜のひと時だった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます