中秋の名月だというのに、
今日は、また蒸し暑い日でした。
そんな暑さをひと時忘れに
千葉市緑区にある2010年11月3日オープンのホキ美術館へと
綾乃さんと車を走らせた。
というのも、知人の画家、吉田伊佐氏の100号のアクリル画が、
この程この美術館に収蔵され、心が涼むような予感がして思い立ったが・・で、
駆けつけてしまったのだ。
東京都心部からは車で70分程、JR土気駅からも近いその新興住宅地の一角に
突如として現れる美術館は、コンクリートの曲線と建築資材を上手く活かしたような部材が
エントランスまでの道を出迎えてくれた。
館長の保木将夫氏が収集した約300点に及ぶ写実絵画の作品からなる美術館は、
そのコレクションの中から、名品約160点を常設展示しているとのこと。
1階のエントランスから地下2階へと絵画を見ながら降り進む形に展示がなされていたが、
特に目を惹いたのが、その展示の手法だった。
絵画を程よく照らす照明が、天井に埋め込まれた小さな無数のLEDとハロゲンランプで、
弧を描くような長い壁に挟まれた天井は、見る場所によって、
まるで天の川を見上げているような星空のごとくでもあった。
館内は、撮影禁止なので、ホキ美術館のサイトでご覧になって見て下さい。
http://www.hoki-museum.jp/gallery/index.html
で、今回観に訪れた吉田伊佐氏の「蒼流」は、
1階のギャラリースペースに展示されていました。
地元や千葉県内からの車が多く駐車場に停まっていたのですが、
60歳前後風の二人組の女性が、その絵の前に立って、
こう叫びました。
『ああ、涼しい~』
写実絵画のすごいと思うところは、
まるで写真か、今目の前にそのものがあるかのような気になること。
彼女たちは、吉田氏の絵に描かれていた滝の様に、
思わずそう声をあげ、その場に偶然居合わせた
も、
滝の裏側へと水を踏み分けながら進んで行きたくなりました。
吉田伊佐氏の画をこれまで何度か個展や展覧会で観てきた綾乃さんのお気に入りは、
一番最初から感じた印象でもある、
その画の中の“緑”なのだそうだ。
とても不思議な緑を感じるのだとか・・・。
そして、取り合わけ“水”の情景が書かれた作品では、その水と木々の両方に表現される色とりどりの“みどり”に
とても魅了されるのだそうだ。
あえて、「緑」と書かないのは、絵の具の混ぜ方で言葉では表現できない本当に無数の「みどり」があるから。
今回の『蒼流』という滝の前に佇むような世界にも、
それがとても素敵に描かれていると思ったそうだ。
実物の方が、ずっと味わい深いのですが、吉田伊佐氏のサイトで、その情報などを見ることができますので、
是非覗いて見て下さい。
http://www.eonet.ne.jp/~arias/isa-yoshida/
緑深き山間を踏み分け踏み分け、水の音に誘われて
その水音のする方へ足を進めてみたとき、
突然こんな情景に出逢えたら、とっても幸せだろうな!
あ、絵とは関係ないけれど美術館内のカフェで食べたランチサンドが、
ふかふかパンで、美味しかったなぁ・・・。