一つの症状に対して複数の原因があっても何ら不思議ではありません。
触診によって問題構造を特定した後、その問題を解消させるべく、毎回いろいろと試行錯誤しています。しかし一つの問題が消えると、次に新たな問題が噴出してくることがあります。しかし、それは「新たな」問題だったわけではなく、潜在的に存在していた問題です。
そのようにして、次第に根本原因に近付いていきます。初診時に根本にたどり着くこともありますが、もちろんそうでないことも多いです。数回の診療ののちに、それが見えてくることが多いのではないでしょうか。
臨床家としての経験を積んでいくことで、最短距離で根本原因を見つけ出すことができるようになります。やはり経験に勝るものはなしですね。
腰痛の問題となりやすい関節に仙腸関節があります。これは骨盤にある関節です。比較的可動域が小さい関節であることと(1,2mmと言われています)、立位や座位においてその小さな左右の仙腸関節に上半身の重さがかかること、そして上半身と下半身の移行部位であることなどから、痛めるリスクが高いです。
ぎっくり腰などの急性腰痛の場合、この関節を痛めている(または関節周辺の構造)ケースが多いです。そのため仙腸関節のアジャスメントは腰痛治療の必須項目と言えます。
仙腸関節からは関連痛も起こります。関連痛というのは問題部位から離れたところに現れる痛みのこと。仙腸関節の関連痛はちょうど坐骨神経痛と似たような部位に似たような痛みとして現れますので、椎間板ヘルニア等との鑑別が必要となります。
また腰椎5番~仙骨(腰仙関節)、腰椎4番~腰椎5番の椎間関節も、大きな負荷がかかりやすい部位であるため障害の好発部位となっています。
ぎっくり腰で問題となりやすい部位には、仙腸関節のほかに腰方形筋があります。これは腰の最深層部にある筋肉であり、腰部の姿勢に大きな影響を及ぼしています。
腰部の姿勢に影響する筋肉には大腰筋というのもあります。
このように、一つの症状に複数の原因が潜んでいることは、非常に多く見受けられますので、主訴が完全に取りきれない場合、他に手付かずの原因があると思って間違いないでしょう。
Dr.S
今月から体幹編ですね!楽しみにしています。
腰は体の要ですから、再復習させて頂きます(笑)
少しでもお役にたてているのであれば、
嬉しい限りです。
今、今月末のセミナー準備をしています。
今回は頸椎を中心に勉強する予定です。
お楽しみに!
Dr.S