京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

「あまのがわ」NO、268読後感

2021-10-20 07:52:06 | 俳句
「あまのがわ」NO、268読後感
拝復
 秋に入り、コロナが落ち着いてくるような感じですね。私自身もワクチン二回接種。しんどかったです。このままおさまってくれると嬉しいですが。
 「あまのがわ」NO、268拝受。ありがとうございました。
 「あまのがわの仲間たち」では、横村庄一郎先生の記事を読み、とても懐かしかったです。私がお目にかかったのは、先生の晩年でしたが、口語俳句を丁寧に教えて下さいました。私の恩人です。
○ついに骸 からのアンプルあちらこちら向き 庄一郎
 医師として、命を救えなかった無念さ、そして誠実さが伝わってきます。今も覚えている先生の句
○巴里祭を歌ってたやがて戦死とも知らず   庄一郎
 皆様の句で印象に残ったものは、
○久々に夫がいて部屋の明かり輝く      清水恵美子
 退院されたのでしょうか。その喜びにあふれています。「部屋の明かり」の感じ方の違いに、喜びが託されていますね。
○出しにくいいけんくうきよまずに出す    そのべ千羞
 とつとつと書かれていますが、実直に悩んだことが伝わってきます。大半のひらがな書きが雰囲気をよく伝えています。こころの悩みそのままを書けるのも、口語俳句ならではと思います。
○一張羅のノースリーブ着てワクチンを打つ  中川陽子
 コロナ流行も大事件ですが、ワクチン接種も不安でした。副反応のこともありますし。その時の自分しか書けないことを、丁寧に書き留めることも大切。それを痛感します。
○上昇をあきらめた雲 山の谷間でたむろする 山口恭子
 なんだか人間の姿でもあるような。今の日本の姿と重なるものもあるような。
○空き家夏みかんどっさり実らす       一丸孝
 空き家、本当に多くなりました。主のいない家は淋しいです。かつて住んでいた人の想いがある「夏みかん」。本当に淋しげです。
○紫陽花がじんわりと爆発していく闇夜    裏文子
 何か心の奥底にためこんでいるものがあるのかなと思わせる句です。「闇夜」に「じんわり爆発」という光景は、ぞくっとします。
○赤茶けた「人間失格」空澄めり       板井景助
 長く愛読した本が赤茶けています。私の手元にも、そういう本があります。くり返し読み、登場人物に自分を重ねあわせたりしました。書かれていることが、他人事ではないのです。
 人間が怖くて、本当の自分を隠すためにお道化て生きた太宰治。いつまでも問いかけるものがあります。
敬具
2021年10月                       金澤ひろあき