2021年9月 京都童心の会 通信句会結果
坪谷智恵子様のノート
金澤ひろあき
坪谷智恵子様の御遺族の方から、ノートのコピーを頂きました。作られた句を書き留め、推敲されていたようです。
「5月」と書かれていますので、5月作品だったのでしょう。作品はまず二句に○印が書かれています。
○里山のワラビゼンマイ山フキよ
○風に乗り友への便り届く頃
穏やかな雰囲気の句です。
二句の後、次の句には×印がついているので、再考される予定だったのでしょうか。
×春風にマスクはづして深呼吸
×風に乗り洗濯物が踊ってる
×暮れなづむ春の夕暮れ
×若菜風胸に一杯気をもらう
×現役のきびしさありて若さあり
そのあとまた○印の二句があります。
○日向ぼこしながら歩き春うらら
○道端のカラスエンドウ風遊ぶ
さいごの「風遊ぶ」の句、よくとらえている良い句だと思います。
また、余白に
「唯我独尊(自分をしっかり持つ)
悠々自適(自由気ままに生きる)」
とあり、生き方が伝わってきます。
懐かしい思い出にひたりました。
皆さんの選です。
選者 裸・・裸時 真・・野谷真治 白・・白松いちろう
藤・・木下藤庵 辰・・蔭山辰子 ひ・・金澤ひろあき
硯・・中野硯池 巡・・青島巡紅 須・・三村須美子
さ・・岡畠さな子 智・・坪谷智恵子 清・・宮崎清枝
加・・野原加代子
○野谷真治
1 かき氷でかい眼鏡の幼子 (特 硯)藤
2 新聞の取材寝不足文字 巡 ひ
3 角砂糖の目線純喫茶時間 ひ
4 欠伸する鞄の油蝉
5 再会の夜近付く熱帯低気圧 藤 須
○中野硯池
6 八月や命ひろふて九十五 (特 辰)(特 ひ)巡 藤 加 須
7 戦没地レイテと刻む墓洗ふ 白 藤 ひ 須
8 誰よりも長生きをして生身魂 加 須
9 門火焚く般若心経中途まで 白
10 祖父となり孫は未婚の終戦日 (特 藤)巡 真
11 東京の盛夏の五輪酣に
12 百日紅祇園白川石畳 (特 白)真
13 女気の無く秋茄子を焼きにけり (特 加)(特 須)巡 藤 ひ 須
14 夏痩せの鬚じょりじょりと剃りにけり
15 片蔭の西国街道途切れけり
○白松いちろう
16 私も走るスリーアギトスの心で
17 パラ五輪の成功三色に託す
18 何だかんだと貰った五輪の勇気 巡 加 須 硯
19 五輪の感動をパラに繫いで前進
20 我慢だよコロナも尿漏れも終息まで 真 ひ
21 「癌」に疑いが付いて妙に安堵 須 硯
22 アルコール消毒乾く間もなくもう一度 硯
23 漏らしても出なくても困る生命の水 巡 須
24 ツクリンショウ~法師蝉の締めコトバ ひ
25 単身の寂しさに入り込んだ蝉時雨 ひ 加
○金澤ひろあき
26 幽霊が出そうな藪を猫が行く 白 藤 硯
27 クーラーの音鳴りやまず保護者会 藤 真
28 落書きにすれば何と言うことはない悩み 白
29 大きな夕焼けの一日だった 巡 藤
30 穂芒や目にはさやかに音かすか 加
31 朝顔の紺の深まる宿場かな 藤 加 須 硯
32 鷺草を風のかたちに活けにけり 巡 真 加 硯
33 おままごとこまかいことはオノマトペ 白 須
34 翻訳不可能な沈黙の間の深さ 白 真
35 静かな秋後継者のいない村 巡 藤 須 硯
36 救急車受け入れ病院待つ残暑 (特 真)白 硯
○青島巡紅
37 雨止まずドアも開かなぬ我が一日
38 思い出は氷を入れた果実水 ひ 加 硯
39 鼻緒切れ負んぶして歩く露店かな 真 須
40 仏壇のお盆グッズもゴミに出る 硯
41 人恋し熱燗恋しの舌となる 藤 真 加
42 七輪や秋刀魚に栄螺ワンカップ 白 加 硯
43 高杯の脚に牡鹿の喰む姿 藤
44 古老笑む笑顔は伝播させてこそ 白 ひ
45 虫の音に切れた舞する蝙蝠よ ひ 須
46 外壁に映る波紋の水溜り 真 硯
○三村須美子
47 花火大会家族で動画灯り消し
48 大文字小さく抱かえ虹の枠 巡 藤
49 冬瓜やとろり透けてる銘々皿 巡 ひ 加
50 出勤の娘見送る芙蓉かな 真 辰 加 硯
51 いちじくや酸い腐って雨に落つ
52 暑くてもじっとりのなき9月かな
53 新涼やサッシに触れる指ゆるむ 加
54 ほととぎす虫を育てて蝶飛ばす 真
55 紅型や赤黄緑ゴーヤ垂る
56 越境に苦情呈す竹の春 (特 巡)
57 長雨や野菜高値も副反応 白 真 ひ
58 緊急事態あっけらかんと彼岸花 巡 白 真 ひ 硯
59 ワクチン接種受けた受けない差別せず
○蔭山辰子
60 夏水仙二つみつ涼風ほほを撫で 白 ひ 加
61 知らぬ間に季節は進み北高気圧
62 秋風に蔓延防止消えてくれ
63 冷コーヒーわざわざ一分チンをする 真 ひ 須
64 過ぎ去ってオリパラ、モリカケ、サクラ忘れおり
65 底なしの沼に落ちませ変異株 巡 白 藤
○野原加代子
66 秋の朝ラジオ体操はりきりて
67 すず虫や耳に聞こえし秋の声
68 案山子達田んぼ見張りて秋終わり 白 真 ひ
69 稲の花白く咲きてはかわいかり
70 朝顔や野道に咲いて涼しさや 藤
71 曼珠沙華今年も見たし母想い 巡 ひ 須
72 そよ風や秋うららかに通りすぎ 辰 硯
坪谷智恵子様のノート
金澤ひろあき
坪谷智恵子様の御遺族の方から、ノートのコピーを頂きました。作られた句を書き留め、推敲されていたようです。
「5月」と書かれていますので、5月作品だったのでしょう。作品はまず二句に○印が書かれています。
○里山のワラビゼンマイ山フキよ
○風に乗り友への便り届く頃
穏やかな雰囲気の句です。
二句の後、次の句には×印がついているので、再考される予定だったのでしょうか。
×春風にマスクはづして深呼吸
×風に乗り洗濯物が踊ってる
×暮れなづむ春の夕暮れ
×若菜風胸に一杯気をもらう
×現役のきびしさありて若さあり
そのあとまた○印の二句があります。
○日向ぼこしながら歩き春うらら
○道端のカラスエンドウ風遊ぶ
さいごの「風遊ぶ」の句、よくとらえている良い句だと思います。
また、余白に
「唯我独尊(自分をしっかり持つ)
悠々自適(自由気ままに生きる)」
とあり、生き方が伝わってきます。
懐かしい思い出にひたりました。
皆さんの選です。
選者 裸・・裸時 真・・野谷真治 白・・白松いちろう
藤・・木下藤庵 辰・・蔭山辰子 ひ・・金澤ひろあき
硯・・中野硯池 巡・・青島巡紅 須・・三村須美子
さ・・岡畠さな子 智・・坪谷智恵子 清・・宮崎清枝
加・・野原加代子
○野谷真治
1 かき氷でかい眼鏡の幼子 (特 硯)藤
2 新聞の取材寝不足文字 巡 ひ
3 角砂糖の目線純喫茶時間 ひ
4 欠伸する鞄の油蝉
5 再会の夜近付く熱帯低気圧 藤 須
○中野硯池
6 八月や命ひろふて九十五 (特 辰)(特 ひ)巡 藤 加 須
7 戦没地レイテと刻む墓洗ふ 白 藤 ひ 須
8 誰よりも長生きをして生身魂 加 須
9 門火焚く般若心経中途まで 白
10 祖父となり孫は未婚の終戦日 (特 藤)巡 真
11 東京の盛夏の五輪酣に
12 百日紅祇園白川石畳 (特 白)真
13 女気の無く秋茄子を焼きにけり (特 加)(特 須)巡 藤 ひ 須
14 夏痩せの鬚じょりじょりと剃りにけり
15 片蔭の西国街道途切れけり
○白松いちろう
16 私も走るスリーアギトスの心で
17 パラ五輪の成功三色に託す
18 何だかんだと貰った五輪の勇気 巡 加 須 硯
19 五輪の感動をパラに繫いで前進
20 我慢だよコロナも尿漏れも終息まで 真 ひ
21 「癌」に疑いが付いて妙に安堵 須 硯
22 アルコール消毒乾く間もなくもう一度 硯
23 漏らしても出なくても困る生命の水 巡 須
24 ツクリンショウ~法師蝉の締めコトバ ひ
25 単身の寂しさに入り込んだ蝉時雨 ひ 加
○金澤ひろあき
26 幽霊が出そうな藪を猫が行く 白 藤 硯
27 クーラーの音鳴りやまず保護者会 藤 真
28 落書きにすれば何と言うことはない悩み 白
29 大きな夕焼けの一日だった 巡 藤
30 穂芒や目にはさやかに音かすか 加
31 朝顔の紺の深まる宿場かな 藤 加 須 硯
32 鷺草を風のかたちに活けにけり 巡 真 加 硯
33 おままごとこまかいことはオノマトペ 白 須
34 翻訳不可能な沈黙の間の深さ 白 真
35 静かな秋後継者のいない村 巡 藤 須 硯
36 救急車受け入れ病院待つ残暑 (特 真)白 硯
○青島巡紅
37 雨止まずドアも開かなぬ我が一日
38 思い出は氷を入れた果実水 ひ 加 硯
39 鼻緒切れ負んぶして歩く露店かな 真 須
40 仏壇のお盆グッズもゴミに出る 硯
41 人恋し熱燗恋しの舌となる 藤 真 加
42 七輪や秋刀魚に栄螺ワンカップ 白 加 硯
43 高杯の脚に牡鹿の喰む姿 藤
44 古老笑む笑顔は伝播させてこそ 白 ひ
45 虫の音に切れた舞する蝙蝠よ ひ 須
46 外壁に映る波紋の水溜り 真 硯
○三村須美子
47 花火大会家族で動画灯り消し
48 大文字小さく抱かえ虹の枠 巡 藤
49 冬瓜やとろり透けてる銘々皿 巡 ひ 加
50 出勤の娘見送る芙蓉かな 真 辰 加 硯
51 いちじくや酸い腐って雨に落つ
52 暑くてもじっとりのなき9月かな
53 新涼やサッシに触れる指ゆるむ 加
54 ほととぎす虫を育てて蝶飛ばす 真
55 紅型や赤黄緑ゴーヤ垂る
56 越境に苦情呈す竹の春 (特 巡)
57 長雨や野菜高値も副反応 白 真 ひ
58 緊急事態あっけらかんと彼岸花 巡 白 真 ひ 硯
59 ワクチン接種受けた受けない差別せず
○蔭山辰子
60 夏水仙二つみつ涼風ほほを撫で 白 ひ 加
61 知らぬ間に季節は進み北高気圧
62 秋風に蔓延防止消えてくれ
63 冷コーヒーわざわざ一分チンをする 真 ひ 須
64 過ぎ去ってオリパラ、モリカケ、サクラ忘れおり
65 底なしの沼に落ちませ変異株 巡 白 藤
○野原加代子
66 秋の朝ラジオ体操はりきりて
67 すず虫や耳に聞こえし秋の声
68 案山子達田んぼ見張りて秋終わり 白 真 ひ
69 稲の花白く咲きてはかわいかり
70 朝顔や野道に咲いて涼しさや 藤
71 曼珠沙華今年も見たし母想い 巡 ひ 須
72 そよ風や秋うららかに通りすぎ 辰 硯