2021年9月 京都童心の会 通信句会結果
【選評】後半
○白松いちろう選
特選句 12 百日紅祇園白川石畳 中野硯池
何といってもリズム、口調の良さが光ります。しかもすべて漢字表記が面白い。
あのあたりの風景がハッキリと浮かびます。
他
28 落書きにすれば何と言うことはない悩み 金澤ひろあき
そうですよね。悩みは外に吐き出せれば収まり、誰かに知って貰うだけで胸の内がスットします。
42 七輪や秋刀魚に栄螺ワンカップ 青島巡紅
味覚の秋到来、香りと共に酒があれば文句なし。早く仲間と乾杯したいですね。
○ 木下藤庵特選
10 祖父となり孫は未婚の終戦日 中野硯池
今、未婚、晩婚が多いですね。私の娘も今、45才、未婚です。
○野谷真治特選
36 救急車受け入れ病院待つ残暑 金澤ひろあき
救急車のサイレンの音が、今日も聞こえた。
過労で倒れた路上の時と、交通事故にあった時と、二回救急車で運ばれたことがある。
両親の介護の時は、数回、いっしょに救急車に乗り、病院へ行った。
今は受け入れてくれる病院を待つ救急車をニュースが伝えている。
○蔭山辰子特選
6 八月や命ひろふて九十五 中野硯池
私は国民学校3年生。空襲を知っている最後の世代かと思います。記憶を残さねばと思いますが、なかなか触れることが出来ません。
他
50 出勤の娘見送る芙蓉かな 三村須美子
若い人たちの前途に幸あれと祈ります。
72 そよ風や秋うららかに通りすぎ 野原加代子
良い季節を味わいましょう。
○野原加代子特選
13 女気の無く秋茄子を焼きにけり 中野硯池
お上手に料理を作っておられるのでしょうか。目に浮かびます。季節を感じながら、秋茄子に舌つづみ、良いですね。
○三村須美子特選
13 女気の無く秋茄子を焼きにけり 中野硯池
単身、あるいは男所帯でしょうか。秋茄子を焼いて生姜醤油で食べる。昔ながらの素朴で美味しい食べ方である。どことなく寂しい秋の夕暮れの光景が女気の無く言葉すくなく、もの恋しさを誘います。ものの哀れを誘う秋の夕暮れに調和しております。日常の素直な表現が余韻を引き立てている。
○中野硯池特選
1 かき氷でかい眼鏡の幼子 野谷真治
夏の風物、櫓型の機械のハンドルを廻して氷を削り、ガラスの器に盛り、赤いイチゴの蜜をかけたかき氷である。
顔をはみだす大きな眼鏡をかけた子が氷屋の前でかき氷を食べている。
幼子はおおかた女の子が似合であろう。
○金澤ひろあき選
6 八月や命ひろふて九十五 中野硯池
八月は終戦記念日。色々な思いがあると思います。この句の「命ひろふて」が切実です。生きて来られた自分と共に、生きられなかった人々への思いも感じられるのです。
他、印象に残る句です。
2 新聞の取材寝不足文字 野谷真治
報道の現場の大変さが「寝不足文字」で的確に伝わってきます。
25 単身の寂しさに入り込んだ蝉時雨 白松いちろう
「ひとり」が身にしみる時って、これもいろいろですね。私も、一人暮らしをしていた時、誰もいない家に帰り、鍵を開けている時、身にしみました。蝉時雨以外の音が聞こえないところ、自分と蝉しかいない。それも身にしみることがあります。
38 思い出は氷を入れた果実水 青島巡紅
こう書かれると、本当に子供の頃の夏が思い浮かんできます。果実水の味と匂いとともに。
57 長雨や野菜高値も副反応 三村須美子
ワクチンの「副反応」という語がここで使われています。時事性もありますね。今年は夏の長雨。きゅうりのなんと高いこと。
63 冷コーヒーわざわざ一分チンをする 蔭山辰子
やっている本人はいたってまじめ、でも客観的にみると・・・。こういうシーンがなんとも面白いですね。
68 案山子達田んぼ見張りて秋終わり 野原加代子
高地や北国などの収穫が早い所では、九月初めはもうこういう風景でしょう。今年の稔りはどうなんでしょう。去年は、近所の田んぼはウンカの害が大きかっただけに心配です。案山子さん、頼みますよ。
【10月句会のお知らせ】
緊急事態が解除されますので、久しぶりにお会いできそうですね。
10月17日(日)午後2時
阪急長岡天神駅東口 喫茶アーバンにて開催します。よろしくお願いします。
懐かしの席題「土」
○二神大輔
まもなくに土に帰る日 月冴える
捨てさせる故郷の土春陽さす
一鉢の土に親しむ傘寿前
一昔前は泥土で今きんらん
土無きを悲しむ日々で生尽きる前
○金澤ひろあき
子犬たち土ひんやりと昼寝かな
夏休み土の匂いと潮の香と
おままごと土筆のおかずある昭和
土割れて援助待つ地の無表情
避難指示出された土の荒れてゆく
【お知らせ】
第55回 原爆忌全国俳句大会 受賞
京都俳句作家協会賞
平和行進ゴールは核のない夜明け 金澤ひろあき
金澤ひろあき特選
原爆忌 家族を看取り身を投げる 青島巡紅
奥田良胤特選
絵本抱く「はだしのゲン」の原爆忌 野谷真治
※今年でこの大会も最後となりました。最後の大会で、平和の句を献句できたこと。思いが深くなりました。
【選評】後半
○白松いちろう選
特選句 12 百日紅祇園白川石畳 中野硯池
何といってもリズム、口調の良さが光ります。しかもすべて漢字表記が面白い。
あのあたりの風景がハッキリと浮かびます。
他
28 落書きにすれば何と言うことはない悩み 金澤ひろあき
そうですよね。悩みは外に吐き出せれば収まり、誰かに知って貰うだけで胸の内がスットします。
42 七輪や秋刀魚に栄螺ワンカップ 青島巡紅
味覚の秋到来、香りと共に酒があれば文句なし。早く仲間と乾杯したいですね。
○ 木下藤庵特選
10 祖父となり孫は未婚の終戦日 中野硯池
今、未婚、晩婚が多いですね。私の娘も今、45才、未婚です。
○野谷真治特選
36 救急車受け入れ病院待つ残暑 金澤ひろあき
救急車のサイレンの音が、今日も聞こえた。
過労で倒れた路上の時と、交通事故にあった時と、二回救急車で運ばれたことがある。
両親の介護の時は、数回、いっしょに救急車に乗り、病院へ行った。
今は受け入れてくれる病院を待つ救急車をニュースが伝えている。
○蔭山辰子特選
6 八月や命ひろふて九十五 中野硯池
私は国民学校3年生。空襲を知っている最後の世代かと思います。記憶を残さねばと思いますが、なかなか触れることが出来ません。
他
50 出勤の娘見送る芙蓉かな 三村須美子
若い人たちの前途に幸あれと祈ります。
72 そよ風や秋うららかに通りすぎ 野原加代子
良い季節を味わいましょう。
○野原加代子特選
13 女気の無く秋茄子を焼きにけり 中野硯池
お上手に料理を作っておられるのでしょうか。目に浮かびます。季節を感じながら、秋茄子に舌つづみ、良いですね。
○三村須美子特選
13 女気の無く秋茄子を焼きにけり 中野硯池
単身、あるいは男所帯でしょうか。秋茄子を焼いて生姜醤油で食べる。昔ながらの素朴で美味しい食べ方である。どことなく寂しい秋の夕暮れの光景が女気の無く言葉すくなく、もの恋しさを誘います。ものの哀れを誘う秋の夕暮れに調和しております。日常の素直な表現が余韻を引き立てている。
○中野硯池特選
1 かき氷でかい眼鏡の幼子 野谷真治
夏の風物、櫓型の機械のハンドルを廻して氷を削り、ガラスの器に盛り、赤いイチゴの蜜をかけたかき氷である。
顔をはみだす大きな眼鏡をかけた子が氷屋の前でかき氷を食べている。
幼子はおおかた女の子が似合であろう。
○金澤ひろあき選
6 八月や命ひろふて九十五 中野硯池
八月は終戦記念日。色々な思いがあると思います。この句の「命ひろふて」が切実です。生きて来られた自分と共に、生きられなかった人々への思いも感じられるのです。
他、印象に残る句です。
2 新聞の取材寝不足文字 野谷真治
報道の現場の大変さが「寝不足文字」で的確に伝わってきます。
25 単身の寂しさに入り込んだ蝉時雨 白松いちろう
「ひとり」が身にしみる時って、これもいろいろですね。私も、一人暮らしをしていた時、誰もいない家に帰り、鍵を開けている時、身にしみました。蝉時雨以外の音が聞こえないところ、自分と蝉しかいない。それも身にしみることがあります。
38 思い出は氷を入れた果実水 青島巡紅
こう書かれると、本当に子供の頃の夏が思い浮かんできます。果実水の味と匂いとともに。
57 長雨や野菜高値も副反応 三村須美子
ワクチンの「副反応」という語がここで使われています。時事性もありますね。今年は夏の長雨。きゅうりのなんと高いこと。
63 冷コーヒーわざわざ一分チンをする 蔭山辰子
やっている本人はいたってまじめ、でも客観的にみると・・・。こういうシーンがなんとも面白いですね。
68 案山子達田んぼ見張りて秋終わり 野原加代子
高地や北国などの収穫が早い所では、九月初めはもうこういう風景でしょう。今年の稔りはどうなんでしょう。去年は、近所の田んぼはウンカの害が大きかっただけに心配です。案山子さん、頼みますよ。
【10月句会のお知らせ】
緊急事態が解除されますので、久しぶりにお会いできそうですね。
10月17日(日)午後2時
阪急長岡天神駅東口 喫茶アーバンにて開催します。よろしくお願いします。
懐かしの席題「土」
○二神大輔
まもなくに土に帰る日 月冴える
捨てさせる故郷の土春陽さす
一鉢の土に親しむ傘寿前
一昔前は泥土で今きんらん
土無きを悲しむ日々で生尽きる前
○金澤ひろあき
子犬たち土ひんやりと昼寝かな
夏休み土の匂いと潮の香と
おままごと土筆のおかずある昭和
土割れて援助待つ地の無表情
避難指示出された土の荒れてゆく
【お知らせ】
第55回 原爆忌全国俳句大会 受賞
京都俳句作家協会賞
平和行進ゴールは核のない夜明け 金澤ひろあき
金澤ひろあき特選
原爆忌 家族を看取り身を投げる 青島巡紅
奥田良胤特選
絵本抱く「はだしのゲン」の原爆忌 野谷真治
※今年でこの大会も最後となりました。最後の大会で、平和の句を献句できたこと。思いが深くなりました。