ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

期末試験の答案 書き方など

2015年01月20日 00時54分59秒 | 法律学

 今週の木曜日(22日)に大東文化大学法学部の行政法1、来週の月曜日(26日)に大東文化大学法学部の税法、そして来週の金曜日(30日)に國學院大学法学部の行政法1の期末試験が行われます。

 このような時期に答案の書き方を記したりするのは遅きに失するかもしれません。しかし、全く何も伝えないよりはマシだろうと考えます。もっとも、私はこのブログで「法律学の勉強の仕方(その4) 答案練習」(2011年12月6日0時22分47秒付)という記事を掲載しています。これから書くことも、以前の記事と重複する部分が多くなります。あるいは要約のようなものとなるかもしれません(具体例もその記事を御覧下さい)。

 まずやるべきことは、問題文を読むことです。論述式の問題の場合、問題文に論点(争点)が隠されています。また、論点以前に何について問われているかを理解しなければなりません(そうしなければ論点もわかりません)。

 1.俗に言う一行問題、すなわち「●●について論じなさい」のような問題

 この場合には、まず「●●」の定義を記すことから始めましょう。これがしっかりと書かれていなければ、採点者は「この答案を書いた人は●●を本当に理解していないのではないか?」と思います。こう思われたら終わりです。逆に、科目あるいは採点者によっては、定義が正確に(精確に)記されているだけでも合格最低点を付ける人もいるくらいです。

 一行問題の場合は、「●●」の定義を記してから、論点(争点)に移ることとなります。出題者の意図は、論点(争点)にあるのです。これがなければ論述式の問題を出す意味がないからです。論点(争点)の背景も記せばよいでしょう。何故にその論点(争点)が存在するか、換言すれば、争われる理由を理解し、書けばよいのです。

 論点(争点)が存在するということは、いくつかの理解なり説なりがあるということです。そこで、学説や判例の状況を示す必要があります。この具体的な中身は設問によって異なりますが、判例、通説、有力説の概要を示せば充分です(あまり多いと収拾が付かなくなるため)。 

 しかし、これで終わるのでは中途半端です。「法律学の勉強の仕方(その4) 答案練習」でも記しましたが、論述式問題で出題者が最終的に尋ねたいことは、解答者がいかなる立場を採って問題を処理しているのか、ということです。そこで、判例や学説の検討に入るのですが、この場合には勿論、解答者がいずれの説を採るかをあらかじめ決めておいた上で、検討や批判を行います。但し、感情的な議論ではだめです。論理構成、法的思考法の有無または程度が問われます。良質の教科書、論文などを参考にしましょう。

 最後に結論です。当たり前のことですが、しっかりと記して下さい。

 2.事例問題

 基本的な構造は一行問題の場合と同じです。ただ、事例問題の場合は、先に事例に関係する論点(争点)を記し、その背景(理由)の一つとして「●●」の定義を記すという筋が一般的でしょう(そのほうが書きやすいはずです)。論点(争点)を示した後の構成は、一行問題の場合と同じです。

 3.答案(文章)の構成

 常に次の形を基本とすべきでしょう。

 一.問題文に示されている用語の定義、その用語に関する論点の摘示

 二.論点に関する判例や学説の概要

 三.前段で示された判例や学説への検討、批判

 四.結論

 当たり前のことですが、構成を考えなければなりません。「法律学の勉強の仕方(その4) 答案練習」でも記しましたが、最初から最後まで改行なしという文章が書かれた答案やレポートを見かけますが、このようなものには構成も何もないので、読みにくいのです。

 構成を考える際には、段落を活用しましょう。上の一~四は、それぞれが一つのまとまりであることが前提となっています。そのためには、段落を利用するのが最も楽です。


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2 コメント

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Unknown (50歳の中央通信生)
2021-01-09 21:20:14
レポートに成年後見人について説明しなさいと言う、問題が出ました。2000文字にいかない、的外れな文章になってしまいます。
説明しなさいの書き方を教えて下さい。
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基本は同じです。まずは定義をしっかりと固めましょう。 (川崎高津公法研究室長)
2021-01-09 23:34:21
 一行問題ということになりますから、基本は「●●について論じなさい」と同じです。但し、字数制限などがどのように設定されているかにもよりますし、出題者がどのような答案を想定しているにも左右されますが、「論じなさい」よりも「説明しなさい」のほうが、基礎的な事項が答えられることを想定している場合が多いと考えられます。
 まずは「●●」の定義をしっかりと説明しておかなければなりません。成年後見人ということであれば、対概念と言える成年被後見人の定義をしっかりと理解しておかなければならないでしょう。
 定義をしっかりと書いたら、お書きのような問題であれば、職務、権限、義務などを説明する必要があります。ここまで説明して、初めて「説明しなさい」という設問に対する解答の基本的部分が完成します。
 職務、権限、義務という部分の説明で、おそらく論点が登場することでしょう。そうしたら、その論点についてA説、B説などの概要を示し、検討の上でいずれの説が妥当であるかを結論として示すことになります。
 レポートや期末試験で的を射たものとなるかならないかの分かれ目は、まず解答者が定義をしっかりと理解しているか否か、次に職務、権限、義務(設問によっては機能などの場合もあります)を説明できるか、ということです。勿論、いずれの場合にも、根拠条文も併せて記せることが大事です。
 なお、レポートで、様々な教科書や論文などを参照してよい場合には、教科書などの説明を利用するという手もあります。私でしたら、俗に言う四宮民法総則を利用します。この場合には、参照した文献の著者、書名または論文名などを明示してください。
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