ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

JR北海道が駅の廃止を進めるか

2023年06月17日 14時10分00秒 | 社会・経済

 COVID-19より前から経営難に苦しむJR北海道は、このブログでも何度か取り上げたように、路線の廃止や駅の廃止などを進めてきました。しかし、さらに無人駅の廃止を進めるようです。その背景には、鉄道事業が抱える巨額の赤字の他、国鉄分割民営化の時期に原因を求めることができる人員不足の深刻化があります。2023年6月17日の朝5時付で、北海道新聞社のサイトに「経費減、省力化急ぐJR北海道 無人42駅廃止検討 自治体との協議不可欠」(https://www.hokkaido-np.co.jp/article/863113/)という記事が、朝5時6分付で「JR北海道、42無人駅の廃止検討 道内全駅の1割強、4駅は来春にも」(https://www.hokkaido-np.co.jp/article/863132/)という記事が掲載されています。ただ、いずれも有料会員限定記事であるため、Yahoo! Japan Newsに今日の朝6時付で掲載された「JR北海道、42無人駅の廃止検討 道内全駅の1割強、4駅は来春にも」(https://news.yahoo.co.jp/articles/83790a4f0dbbb0944790779aa1caf9452fb1aca4)を参照することとします。

 42駅というのは、JR北海道の全334駅のおよそ12%に当たります。先に記したように、これまでにも無人駅の廃止を進めていましたし、宗谷本線の駅に見られるように地元市町村の管理に移すことも行われていました。北海道という場所柄、除雪の問題もあり、利用客が僅少(一日平均1人未満という駅もあります)なのに多額の費用をかけるだけの意味が問われるということでしょう。

 記事には42駅が紹介されています。ここにも記しておくこととします。なお、記事の通り、路線ごとにあげておきます。

 宗谷本線:瑞穂、日進(地元市町村の管理駅)、智北(地元市町村の管理駅)、初野、恩根内(地元市町村の管理駅)、天塩川温泉(地元市町村の管理駅)、咲来(地元市町村の管理駅)、筬島(地元市町村の管理駅)、佐久(地元市町村の管理駅)、問寒別(地元市町村の管理駅)、糠南(地元市町村の管理駅)、雄信内(地元市町村の管理駅)、南幌延(地元市町村の管理駅)、下沼(地元市町村の管理駅)、兜沼(地元市町村の管理駅)、抜海(地元市町村の管理駅)。

 石北本線:愛山、瀬戸瀬(地元市町村の管理駅)、緋牛内。

 釧網本線:茅沼、美留和、緑。

 根室本線:東滝川、厚内、尾幌、別当賀、昆布盛。

 富良野線:鹿討。

 函館本線:仁山、赤井川、山越、山崎、黒岩、国縫、中ノ沢、二股、目名、比羅夫。

 室蘭本線:静狩、礼文、大岸。

 石勝線:滝ノ上。

 以上のうち、初野、愛山、中ノ沢および滝ノ上の4駅については、2024年春に廃止することが目指されています。

 宗谷本線の駅が多いというのは納得できます。地元市町村の管理駅というのは、そもそも廃止が検討されていたところであり、廃止を避けるために地元市町村が動き、管理を移したという経緯があります。日本最北の無人駅である抜海駅については大きく報じられていたので御記憶の方も多いでしょう。

 また、根室本線の5駅のうち、尾幌、別当賀および昆布盛の3駅は通称花咲線の区間(釧路〜根室)にあります。花咲線では、これまでにも糸魚沢、初田牛および花咲が廃止されています。また、厚内は新得〜釧路の区間にあり、この中の浦幌から白糠までの区間には上厚内、直別、尺別、古瀬と4つの廃駅があります(いずれも信号場に降格)。

 函館本線の駅も多くあげられています。かつては北海道の大幹線であった同線ですが、JR北海道は同線の駅の廃止も進めています。記事を見た瞬間、国縫に目が止まりました。かつては瀬棚線の起点駅でもあった駅です。また、中ノ沢は国縫の隣にある駅で、長万部はその次の駅です。さらに記せば、二股、目名および比羅夫は通称山線の区間(長万部〜小樽)にあり、同区間は北海道新幹線の開業に伴って廃止される(少なくとも旅客営業が廃止される)ことが決まってしまいましたが、二股、目名および比羅夫はもっと早い時期に廃止されるということでしょう。

 北海道の鉄道の歴史は開拓の歴史と重なります。国鉄時代には、北海道の人口の割に多くの路線が営業していた、という事実もあります。さらに、今回の廃止候補となった駅の中では糠南および仁山が該当しますが(他にもあるかもしれません)、正式の駅ではない仮乗降場(各鉄道管理局が設置するものの、国鉄本社の認可を得ていない駅)に由来する駅も多く設けられました。これまでに廃止された駅の多くが仮乗降場由来ですが、もうその段階を超えているということでしょう。

 今後、例えば宗谷本線の駅は現在の特急停車駅しか残らないのではないか、という予測もできます。これはかなり極端ですが、名寄〜稚内の区間であれば大袈裟な話でもありません。その他の路線も含めて、駅の廃止が続けば路線そのものの衰退も進む、ということにならないのでしょうか。それとも、駅の統廃合を進めることによって路線の高速化なども進んで全体的な利便性が高くなるということもあるのでしょうか。


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