ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

講義内容を公開します 酒税 2022年版その1

2022年07月14日 01時00分00秒 | 租税法講義ノート〔第3版〕

 0.はじめに

 酒税(法)に関する参考書として、さしあたり、次のものをあげておく。

 石村耕治編『税金のすべてがわかる現代税法入門塾』〔第9版〕(2018年、清文社)414頁〈第10版(2020年)および第11版(2022年)には酒税などに関する記述がないので注意されたい。また、租税法の教科書で酒税法に関する説明の記述がある者は非常に少ない。〉

 金子宏『租税法』〔第二十四版〕(2021年、弘文堂)852頁以下

 三木義一編『よくわかる税法入門』〔第16版〕(2022年、有斐閣)275頁以下

 富川泰敬『令和3年版図解酒税』(2021年、大蔵財務協会)

 なお、酒税法は税理士試験の科目の1つであるため、複数の受験予備校から参考書が刊行されている。しかし、酒税法の受験者は少ないようである。

 この他の受験科目は会計学科目(簿記論および財務会計論)ならびに租税法科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法、国税徴収法、住民税、事業税および固定資産税)である。会計学科目はいずれも必須である。租税法科目からは3科目を選択することとなるが、所得税法または法人税法を必ず選択しなければならない。

 

 1.酒税の概要

 〈以下、説明の都合により、これまで講義で扱ってきた消費税については「消費税」と記す。〉

 酒税は国税であり、間接税の一種である消費税(消費課税)のうちの間接消費税に属する。但し、名称が示すように個別消費税であり、この点において「消費税」および地方消費税と異なる。

 課税の根拠となる法律は酒税法である。この法律も度々改正されているが、講義の趣旨に従い、消費税法施行以後に限定して特に重要な改正について述べておく。

 まず、1989(平成元)年度税制改正である。消費税法の施行により、国税・地方税を問わず、物品税など多くの税目が廃止されたが、酒税、たばこ税などは残された。しかし、酒類や煙草〈一般的な紙巻き煙草の他に、加熱式煙草、葉巻、刻み煙草(パイプや煙管を使うもの)などを含む。なお、日本の法律では平仮名で「たばこ」と記されるには「消費税」も課されるため、二重課税ではないかという疑問が根強い。

 また、1989年度税制改正における酒税法の改正の背景には、1986年7月に、酒税法に規定される税率の格差について当時のヨーロッパ共同体(EC; European Community)諸国から「関税及び貿易に関する一般協定」(GATT; General Agreement on Tariffs and Trade)第23条に基づく協議の要請がなされ、翌年11月10日採択のパネル報告でGATT第3条に違反すると判断された事実がある。そこで、従価税制度および級別制度の廃止など、大きな改正が行われた。但し、焼酎とその他の蒸留酒との税率の格差などの問題は残された。

 従価税とは、消費税などのように課税物件の価額を課税標準とする租税をいう。

 級別制度とは、清酒やウイスキーにおいて採用されていたもので、アルコール度数に応じて酒類を特級、一級などと分類し、その分類に応じた税率を設定するものである。

 次に2006(平成18)年度税制改正である。改正前の酒類は10種類とされていたが、改正後は4種類にまとめられた。

 そして2017(平成29)年度税制改正である。この改正においては、酒類間の税負担の公平という観点から税率が見直された。

 なお、2020(令和2)年度以降の税制改正における改正は次の通りである。

 ①2020年度

 ・「酒類の製造免許に係る最低製造数量基準について、輸出するために清酒を製造しようとする者が清酒の製造免許を申請した場合には、最低製造数量基準(現行:60 ㎘)を適用しない」〈「令和2年度税制改正の大綱(令和元年12月20日閣議決定)」(以下、令和2年度政府税制改正大綱)70頁。2021年4月1日以後の申請に係る免許につき適用される。〉

 ・「酒類の製造免許等の承継制度について、酒類の製造免許等を承継することができる者の範囲に、事業譲渡によりその事業の全部を承継した者を加える」〈令和2年度政府税制改正大綱70頁。2020年4月1日以後に行われる事業譲渡につき適用される。〉

 ・「酒類の製造免許等の申請書について、住民票の写しの添付を不要とする」〈令和2年度政府税制改正大綱70頁。2021年4月1日以後に提出される申請書につき適用される。

 ・「酒類の品目等の表示義務について、一定の原料用アルコールについては、品目の表示を泡盛とすることを可能とする」〈令和2年度政府税制改正大綱70頁。

 ②2021(令和3)年度

 ・「ビールに係る酒税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する」〈「令和3年度税制改正の大綱(令和2年12月21日閣議決定)」(以下、令和3年度政府税制改正大綱)72頁。〉

 ・「沖縄県産酒類に係る酒税の軽減措置の適用期限を1年延長する」〈令和3年度政府税制改正大綱78頁。〉

 ・東日本大震災の「被災酒類製造者が移出する清酒等に係る酒税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する」〈令和3年度政府税制改正大綱95頁。〉

 ③2022(令和4)年度

 ・「消費税の仕入税額控除の要件として保存することとされている輸入許可書等及び輸出免税の要件として保存することとされている輸出許可書等の範囲に、これらの書類に係る電磁的記録を含めることとする」とともに、「酒税、たばこ税、揮発油税、石油ガス税及び石油石炭税における輸出免税の適用に当たって必要となる帳簿の記載について、輸出許可書等に係る電磁的記録に基づいて記載できることとする」〈「令和4年度税制改正の大綱(令和3年12月24日閣議決定)」(以下、令和4年度政府税制改正大綱)60頁。〉

 ・「ウイスキー又はブランデーに類似するスピリッツに係る製造時の酒税の承認制度を見直し、誤認防止のための要件を設けた上、移出時の承認制度とするとともに、その承認における着色度に関する制限を撤廃する」〈令和4年度政府税制改正大綱60頁。2023年4月1日以降に承認を受けるスピリッツについて適用される。〉

 ・沖縄県産の「単式蒸留焼酎に係る酒税の軽減措置について、軽減割合を、その前年度の県内課税移出数量が200㎘を超え1,300㎘以下の場合にあっては、令和6年5月15日から令和8年5月14日までの間は30%、令和8年5月15日から令和11年5月14日までの間は20%、令和11年5月15日以後は10%とし、その前年度の県内課税移出数量が1,300㎘を超える場合にあっては、令和6年5月15日から令和8年5月14日までの間は25%、令和8年5月15日から令和11年5月14日までの間は15%、令和11 年5月15日以後は5%とし、その適用期限を令和14 年5月14日まで延長した上、廃止する」〈令和4年度政府税制改正大綱60頁。沖縄県産の単式蒸留焼酎とは泡盛のことである。〉

 ・沖縄県産の「単式蒸留焼酎以外の酒類に係る酒税の軽減措置について、軽減割合を令和5年10月1日以後は15%とし、その適用期限を令和8年9月30日まで延長した上、廃止する」〈令和4年度政府税制改正大綱61頁。〉

 

 2.酒税法による酒類の定義

 〔1〕酒類の定義および種類

 酒税法第1条は、酒税の課税物件が酒類であることを明定する。その上で、同第2条第1項は、酒類を「アルコール分1度以上の飲料(薄めてアルコール分1度以上の飲料とすることができるもの(アルコール分が90度以上のアルコールのうち、第7条第1項の規定による酒類の製造免許を受けた者が酒類の原料として当該製造免許を受けた製造場において製造するもの以外のものを除く。)又は溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む。)をいう」と定義する。この定義から、アルコール分が1%以上の飲料であれば酒類とされることがわかる。

 但し、アルコール分が90%以上であるものは、酒類の原料として製造されるものを除き、酒税法ではなくアルコール事業法の適用対象となる。 また、同第2項は酒類を発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類および混成酒類に分類する。

 〔2〕四種の酒類

 (1)発泡性酒類(酒税法第3条第3号)

 発泡性酒類はビール(同イ)、発泡酒(同ロ)、「その他の発泡性酒類」(アルコール分が11度未満のもの。同ハ)とされる。

 (2)醸造酒類(同第4号)

 醸造酒類は、清酒(同イ)、果実酒(同ロ)、「その他の醸造酒」(同ハ)とされる。

 (3)蒸留酒類(同第5号)

 蒸留酒類は、連続式蒸留焼酎(同イ)〈2006年の税制改正までは焼酎甲類と言われていた。〉、単式蒸留焼酎(同ロ)〈2006年の税制改正までは焼酎乙類と言われていた。〉、ウイスキー(同ハ)、ブランデー(同ニ)、原料用アルコール(同ホ)、スピリッツ(同ヘ)とされる。

 (4)混成酒類(同第6号)

 混成酒類は、合成清酒(同イ)、みりん(同ロ)、甘味果実酒(同ハ)、リキュール(同ニ)、粉末酒(同ホ)、雑種(同ヘ)とされる。

 〔3〕それぞれの品目の定義

 酒税法第3条第7号以下において定義されている(第27号は便宜上取り上げている)。

 清酒(第7号):「次に掲げる酒類でアルコール分が22度未満のものをいう。

 イ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの

 ロ 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の100分の50を超えないものに限る。)

 ハ 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの」

 合成清酒(第8号):「アルコール(次号の規定(アルコール分に関する規定を除く。)に該当する酒類(水以外の物品を加えたものを除く。)でアルコール分が36度以上45度以下のものを含む。第15号ハ及び第16号ロ並びに第8条第3号を除き、以下同じ。)、焼酎(連続式蒸留焼酎又は単式蒸留焼酎をいい、水以外の物品を加えたものを除く。第11号において同じ。)又は清酒とぶどう糖その他政令で定める物品を原料として製造した酒類(当該酒類の原料として米又は米を原料の全部若しくは一部として製造した物品を使用したものについては、米(米を原料の全部又は一部として製造した物品の原料となつた米を含む。)の重量の合計が、アルコール分20度に換算した場合の当該酒類の重量の100分の5を超えないものに限る。)で、その香味、色沢その他の性状が清酒に類似するもの(アルコール分が16度未満でエキス分が5度以上であることその他の政令で定める要件を満たすものに限る。)をいう。」

 連続式蒸留焼酎(第9号):「アルコール含有物を連続式蒸留機(連続して供給されるアルコール含有物を蒸留しつつ、フーゼル油、アルデヒドその他の不純物を取り除くことができる蒸留機をいう。次号イ及び第43条第6項において同じ。)により蒸留した酒類(これに水を加えたもの及び政令で定めるところにより砂糖(政令で定めるものに限る。)その他の政令で定める物品を加えたもの(エキス分が2度未満のものに限る。)を含み、次に掲げるものを除く。)で、アルコール分が36度未満のものをいう。

 イ 発芽させた穀類又は果実(果実を乾燥させ若しくは煮つめたもの又は濃縮させた果汁を含み、なつめやしの実その他政令で定めるものを除く。以下この条において同じ。)を原料の全部又は一部としたもの〈製法によってウイスキー、スピリッツ、ブランデーのいずれかに分類される。〉

 ロ しらかばの炭その他政令で定めるものでこしたもの〈スピリッツに分類されるウォッカ。〉

 ハ 含糖質物(政令で定める砂糖を除く。)を原料の全部又は一部としたもので、そのアルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のもの〈スピリッツに分類されるラム酒やテキーラが該当する。〉

 ニ アルコール含有物を蒸留する際、発生するアルコールに他の物品の成分を浸出させたもの〈スピリッツに分類されるジン。〉

 単式蒸留焼酎(第10号):「次に掲げる酒類(これらに水を加えたものを含み、前号イからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)でアルコール分が45度以下のものをいう。

 イ 穀類又は芋類、これらのこうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を連続式蒸留機以外の蒸留機(以下この号及び第43条第7項において「単式蒸留機」という。)により蒸留したもの〈芋焼酎、麦焼酎、米焼酎。〉

 ロ 穀類のこうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの〈泡盛。〉

 ハ 清酒かす及び水若しくは清酒かす、米、米こうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物又は清酒かすを単式蒸留機により蒸留したもの

 ニ 砂糖(政令で定めるものに限る。)、米こうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの〈黒糖焼酎〉

 ホ 穀類又は芋類、これらのこうじ、水及び政令で定める物品を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が穀類又は芋類(これらのこうじを含む。)の重量を超えないものに限る。)〈ごま焼酎、しそ焼酎〉

 ヘ イからホまでに掲げる酒類以外の酒類でアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの(これに政令で定めるところにより砂糖(政令で定めるものに限る。)その他の政令で定める物品を加えたもの(エキス分が2度未満のものに限る。)を含む。)」

 みりん(第11号):「次に掲げる酒類でアルコール分が15度未満のもの(エキス分が40度以上であることその他の政令で定める要件を満たすものに限る。)をいう。

 イ 米及び米こうじに焼酎又はアルコールを加えて、こしたもの

 ロ 米、米こうじ及び焼酎又はアルコールにみりんその他政令で定める物品を加えて、こしたもの

 ハ みりんに焼酎又はアルコールを加えたもの ニ みりんにみりんかすを加えて、こしたもの」

 ビール(第12号):「次に掲げる酒類でアルコール分が20度未満のものをいう。

 イ 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの

 ロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の100分の50以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の100分の5を超えないものに限る。)

 ハ イ又はロに掲げる酒類にホップ又は政令で定める物品を加えて発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の100分の50以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の100分の5を超えないものに限る。)」

 果実酒(第13号):「次に掲げる酒類でアルコール分が20度未満のもの(ロからニまでに掲げるものについては、アルコール分が15度以上のものその他政令で定めるものを除く。)をいう。

 イ 果実又は果実及び水を原料として発酵させたもの〈ワイン。〉

 ロ 果実又は果実及び水に糖類(政令で定めるものに限る。ハ及びニにおいて同じ。)を加えて発酵させたもの

 ハ イ又はロに掲げる酒類に糖類を加えて発酵させたもの

 ニ イからハまでに掲げる酒類にブランデー、アルコール若しくは政令で定めるスピリッツ(以下この号並びに次号ハ及びニにおいて「ブランデー等」という。)又は糖類、香味料若しくは水を加えたもの(ブランデー等を加えたものについては、当該ブランデー等のアルコール分の総量(既に加えたブランデー等があるときは、そのブランデー等のアルコール分の総量を加えた数量。同号ハにおいて同じ。)が当該ブランデー等を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の10を超えないものに限る。)

 ホ イからニまでに掲げる酒類に政令で定める植物を浸してその成分を浸出させたもの」

 甘味果実酒(第14号):「次に掲げる酒類で果実酒以外のものをいう〈ヴェルモット、ポートワイン、シェリー酒など。〉

 イ 果実又は果実及び水に糖類を加えて発酵させたもの

 ロ 前号イ若しくはロに掲げる酒類又はイに掲げる酒類に糖類を加えて発酵させたもの

 ハ 前号イからハまでに掲げる酒類又はイ若しくはロに掲げる酒類にブランデー等又は糖類、香味料、色素若しくは水を加えたもの(ブランデー等を加えたものについては、当該ブランデー等のアルコール分の総量が当該ブランデー等を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の90を超えないものに限る。ニにおいて同じ。)

 ニ 果実酒又はイからハまでに掲げる酒類に植物を浸してその成分を浸出させたもの若しくは薬剤を加えたもの又はこれらの酒類にブランデー等、糖類、香味料、色素若しくは水を加えたもの」

 ウイスキー(第15号):「次に掲げる酒類(イ又はロに掲げるものについては、第9号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)をいう。

 イ 発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のものに限る。)〈モルトウイスキー(大麦を使用するもの)。〉

 ロ 発芽させた穀類及び水によつて穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のものに限る。)〈グレーンウイスキー(トウモロコシ、ライ麦などを使用するもの)。〉

 ハ イ又はロに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の10以上のものに限る。)」

 ブランデー(第16号):「次に掲げる酒類(イに掲げるものについては、第9号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)をいう。

 イ 果実若しくは果実及び水を原料として発酵させたアルコール含有物又は果実酒(果実酒かすを含む。)を蒸留したもの(当該アルコール含有物又は果実酒の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のものに限る。)

 ロ イに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の10以上のものに限る。)」

 原料用アルコール(第17号):「第9号又は第10号の規定(アルコール分に関する規定を除く。)に該当する酒類(水以外の物品を加えたものを除く。)でアルコール分が45度を超えるものをいう。」

 発泡酒(第18号。2023年9月30日までの定義):「麦芽又は麦を原料の一部とした酒類(第7号から前号までに掲げる酒類及び麦芽又は麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部としたものを除く。)で発泡性を有するもの(アルコール分が20度未満のものに限る。)をいう。」

 発泡酒の製法はビールと同様であるが、麦芽の重量の比率が50%未満であるか、果実や香味料の使用量が麦芽の重量の5%を超えると発泡酒となる。輸入品の「ビール」の中には、日本の酒税法に照らせば発泡酒として扱われるものも少なくない。また、日本の「地ビール」として発売されるものにも発泡酒として扱われるものが存在する。

 発泡酒(第18号。2023年10月1日からの定義):「次に掲げる酒類(第7号から前号までに掲げる酒類を除く。)で発泡性を有するもの(アルコール分が20度未満のものに限る。)をいう。

 イ 麦芽又は麦を原料の一部とした酒類(麦芽又は麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部としたものを除く。)

 ロ イに掲げる酒類以外の酒類で、ホップ又は財務省令で定める苦味料を原料の一部としたもの

 ハ イ又はロに掲げる酒類以外の酒類で、香味、色沢その他の性状がビールに類似するものとして政令で定めるもの」

 【★イは従来通りであり、ロとハが新たに加えられた。これにより、「新ジャンル」は、2023年9月30日まではその他の醸造酒またはリキュールとして扱われるが、2023年10月1日からは発泡酒として扱われることとなる。】

 その他の醸造酒(第19号):「穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた酒類(第7号から前号までに掲げる酒類その他政令で定めるものを除く。)でアルコール分が20度未満のもの(エキス分が2度以上のものに限る。)をいう。」〈どぶろく、マッコリなど。〉

 スピリッツ(第20号)「第7号から前号までに掲げる酒類以外の酒類でエキス分が2度未満のものをいう。」

 リキュール(第21号):「酒類と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類でエキス分が2度以上のもの(第7号から第19号までに掲げる酒類、前条第1項に規定する溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のもの及びその性状がみりんに類似する酒類として政令で定めるものを除く。)をいう。」〈カシス、カンパリなど。また、梅酒はリキュールに分類される。〉

 粉末酒(第22号):「前条第1項に規定する溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状の酒類をいう。」

 雑酒(第23号):「第7号から前号までに掲げる酒類以外の酒類をいう。」

 酒母(第24号):「酵母で含糖質物を発酵させることができるもの及び酵母を培養したもので含糖質物を発酵させることができるもの並びにこれらにこうじを混和したもの(製薬用、製パン用、しようゆ製造用その他酒税の保全上支障がないものとして財務省令で定める用途に供せられるものを除く。)をいう。」

 もろみ(第25号):「酒類の原料となる物品に発酵させる手段を講じたもの(酒類の製造の用に供することができるものに限る。)で、こし又は蒸留する前のもの(こさない又は蒸留しない酒類に係るものについては、主発酵が終わる前のもの)をいう。」

 こうじ(第26号):「でん粉質物その他政令で定める物品にかび類を繁殖させたもの(当該繁殖させたものから分離させた胞子又は浸出させた酵素を含む。)で、でん粉質物を糖化させることができるものをいう。」

 保税地域(第27号):「関税法(昭和29年法律第61号)第29条(保税地域の種類)に規定する保税地域をいう。」


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