ロシアの大統領選挙は無事終わり、誰もが予想した通りにプーチンが勝ったわけだけど、私が自分で見聞きして信じられないと思うのは、英米を中心としたいくつかの西側諸国はこの選挙に不満らしいということ。
お前の選挙ちゃうやろう、とまず言いたい。そして、投票率が67%かそこらだという話なんだが、この率も嘘だとか言ってる人たちがいるらしい。そんなことなんであんたらにわかるの、でしょう。
結局あれか、結構楽しくきっちりとした選挙をロシアができちゃうというそれそのものが気にいらないと、そういうことなんだろうか? どうもそうらしい。
で、そう偉そうなことを言っている人たちが好きなのはこういう景色。
People Who Escaped Daesh Tell About Iraq 15 Years After US Invasion
https://sputniknews.com/analysis/201803201062710692-iraq-terror-threat-iraq/
イラクを叩いて、街と人を粉々にする、これを「勝利」と呼ぶのが西側。NATOと日本を従えたアングロ・シオニスト・アメリカ帝国。嘘、嘘、嘘で理由を作って中東で虐殺を行うために出兵した。ああいうのを「戦争」と呼ぶのは間違ってる。
この景色の前後に、コソボ、リビア、シリア、ウクライナが続いた。それでもやめられない。愛好しているから。
で、ですね。プーチンを叩いたからといってその病が治るわけではないし、逆にこういう「嗜好」がやりやすくなるわけでもない。
また背景事情として、チャイナにデカクなるなといったって人が多いんだからちょっとづつ製造行為、商行為に携わったって大きくなるんだから、それは単に時間の問題に過ぎなかったという事情もある。
そこで、インド人相手に、俺の味方になれといったって、彼らが全面的に西側の僕になることはないでしょう。イランと仲の良い人々が、そしてかつてはソ連に助けてもらったと多くの人々が認識している中で、イスラムを敵視し、中東とロシアの人々の命を命とも思わないアングロを本当に尊敬することになるとはあまり思えない。金儲けも交易も別にあんたらの専売じゃないと思っているだけでしょう。
といったことから考えると、今日のロシアの大統領の勝利は、これらすべての、非・西側の人たちの将来にとって、あるいは部分的にはもっとダイレクトに命と暮らしにとって朗報だと言えるでしょう。
ベラルーシ、カザフスタン等々のロシアの兄弟や仲間の国々、あるいはシリアだけでなく、中国の習近平が真っ先にプーチン大統領の当選の祝したことを、多くの人たちが安堵して見たと思う。
Xi congratulates Putin on landslide victory
http://www.globaltimes.cn/content/1094166.shtml
「現在、中国とロシアの総合的戦略的協力関係は、史上最高レベルにある。新しいタイプの国際関係の構築の例を作っている」と習さんは言ったそうだ。そしてその新しいタイプの中身として、相互尊重、公正とジャスティス、人類が共有する将来等々の項目が並んでいる。
Currently, the China-Russia comprehensive strategic cooperative partnership is at the best level in history, which sets an example for building a new type of international relations featuring mutual respect, fairness and justice, cooperation and all-win results, and a community with a shared future for mankind, Xi said.
そして、それをイランのメディアが上手にまとめて伝えている。
http://www.presstv.com/Detail/2018/03/19/555953/RussiaelectionPutinworld-reaction
中国とロシア、イランあたりが倒れないことが、上のような景色を作りださないために重要だと多くの人たちが気づいたことの意味がこのへんで共有されてるなといった趣。
であればこそ、アメリカとイギリスが、何がなんでもロシアの大統領選挙をくさしたいのもまさに自明。
そして、目端の利いているイランの報道によれば、西側で最初に沈黙を破ったのはドイツの外相である由。メルケルもおめでとうは言っている。しかし、ロシアを「難しいパートナー」と呼んでみたり(ドイツ外相)、メルケルは、「おめでとうのメッセージの中身を覆えすわけではないけど、ドイツとロシアの間には課題がある」みたいなことを言った由。
Germany became the first Western country to break the silence on Putin’s reelection, with its foreign minister saying Monday that Russia will remain a “difficult partner” after the elections, but will be needed to help resolve international tensions.
あんたらがバルバロッサ作戦その2をやらなければ何の問題もなかったわけだが、など私は思うのだが、どうしても気づきたくないのがドイツ。
この人たちは、現在のロシアは南を向いているという深刻な意味を読み取りたくない。ヨーロッパの田舎者としてのロシアというロシア像以外すべて拒否しているのが現状。ヨーロッパに奉仕する者としてのロシアだ、とかなり真剣に信じていると思う。
しかし、ロシアには、欧州派とユーラシア主権派がいて、プーチンは個人的嗜好としてはドイツが好きだったかもしれないが、彼が率いているのは、あるいは彼を支えている大衆は普通にユーラシア主権派、あるいは、何がなんでも「ロシアはロシアだ」派でしょう。プーシキンの頃から散発的に、しかし普遍的にみられるある種のストリームがついに表面に出て本流となろうとしていると言っていいかも。プーチン続投と習近平続投の意味は、この傾向の最終形態に迫ろうとしているという意味かもしれない。歴史的に興味深い。ホントに。
■ 日本は少し混乱しつつ考える、といったところでいいと思うな
で、日本のシンゾー・アベもプーチンおめでとうを言ったらしい。各国のリーダーの中に入っていた。これはいいこと。でも日本のリベラル勢はきっと、アメリカのリベラルとかイギリス勢が不正だと言っているプーチンと親し気にする安倍は何事だとか言うんでしょう。見てないけど、言ってる?
そんなことはどうでもよろしい。でもって、別にシンゾーが問題なんじゃない。問題は日本列島という位置に住んでる日本人が、上のイラクやシリアのような破壊を望む方にいるのか、それともこれはよくないと思う方に一歩でも向かうのかという問題でしょう。
だけど、ロシアの役割、あるいは上海協力機構が地味だが有効に果たしてる役割を今すぐ多くの日本人に分かれといってもそれは無理だし(これまでの報道がガラパゴスだから)、ビジネス、金融系を考えれば西側と事を構えたくないのもわかる。
だけどだけど、いろんなところで私たちにも良心はある、考える頭もあるという点が見えるシグナルを出して行くことは重要ではありますまいか。少なくとも、英米がやってることが善で、中露は悪みたいなアホな頭ではもはや将来はないことぐらいは気づいた方がいい。少しづつでも。だから、現在の混乱を理由に、少しわらわらしていたらいいんではないかと思うな。
■ オマケ
米国はシリアのダマスカスを攻撃する計画は無条件で捨てろ、とロシアの外務副大臣が言ってる。
Diplomat calls on US to unconditionally abandon plans of attacking Damascus
http://tass.com/politics/995229
こんなことを言われなければならないアメリカ(というか英米仏+い+さ)って何、って話なんですよ、ほんと。
まずはプーチン大統領に当選おめでとうございます!
得票率も目標を無事クリアできたとのこと、喜ばしいです。
欧米の反応はまあ通常運転として、私が個人的に情けないと思ったのは、日本のメディアが相も変わらず欧米寄りの「プーチン強権主義を憂う」「ロシア経済は停滞、今後6年間の課題山積」といったトーンに終始していることです。
逆に、ロシアが欧米と同じ価値観を共有し合い、欧米に都合よく振舞ったところで、経済成長・人口増加できる保証がどこにあるのでしょうか。
ロシア経済の停滞については、現地を訪れたジャーナリストから反証も出てきているようですが、仮に停滞が本当だとして、プーチン氏の「強権的」な政治スタイルが原因なのでしょうか。
どうも日本の報道を見ていると、その辺りを深く掘り下げ、検証しているものが見当たらず残念でなりません。
もし、日本と欧米は同じ西側陣営なのだから、対ロシアで行動面はもちろん、思想面でも彼らと歩調を合わせるのは当たり前と考えているのなら、この先北方領土問題はおろか、日露間の懸念事項は何も前進しなくて当然だと思います。
ロシアにしてみれば、自分の考えを何も持たない、表明できない相手となど交渉するだけ無駄でしょうから。
これ、ソチ五輪をハイジャックによる自爆テロで破壊しようとしているという情報があったからでした。「ソチ五輪」位なんで入れられないのでしょうか。上記のタイトルだと、「ウクライナ上空の事件」と思わせたがってますよね?
まず、海外在住ロシア人のプーチン支持が際立って高かったこと。
https://www.1tv.ru/news/2018-03-21/342774-85_rossiyskih_grazhdan_za_rubezhom_progolosovali_za_deystvuyuschego_prezidenta
このニュースで伝えている通り、85%の得票率でした。昨日の番組でロンドンのロシア大使が言っていましたが、イギリスにおいてですら、前回2割強の得票率が、今回5割を超えたということでした。各地の18日の投票風景をレポートしていましたが、何処の投票所(在外公館)も長蛇の列で、特にリガでの行列は1kmをこえるのではと見える程でした。海外在住の場合、ロシア内政問題よりも国際情勢の視点での判断となるのでしょう。西側のプロパガンダ報道よりもロシアの報道を支持したということだと思います。
ふたつめ、「リベラル」の完全敗北。候補者のうちリベラル派は、サプチャクとヤブリンスキーでしたが、合わせて4%に届かない票数で過去最低でした。この原因について、僕の好きな政治学者セルゲイ・ミヘイエフが語っています。
https://www.youtube.com/watch?v=wvxwlSgoXHI&t=99s
西側のロシアへの蔑視、絶望的なまでの無理解。東欧、ウクライナを跪かせたやり方がロシアには通用しないと見ると否や深い恨みに転化する。西側のエリートがロシアで交流しているのが「リベラル」で、彼等は西の人間に心地よいことしか言わない。こういうことが一般の人々にも広まってきたのではないかということです。革命前からロシアは謎の国だということが言われてきました。90年代分かり合える国になったと思われたかも知れませんが、プーチン時代になりまた謎の国に逆戻りしたと考えられているのでしょうか。僕は今のロシアはロシアらしさを取り戻しロシア史の中でも最も幸福な状態に近いと思っています。