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感傷ストーリーが来たら要注意

2015-09-08 17:06:52 | アジア情勢複雑怪奇

シリア難民を巡って、主要国のメディアが難民を救わねば、といったトーンの話を率先して出してきている。

私は、こういうストーリー展開が来たら要注意と思ってる。

難民もかわいそうだけど、その前にそこを意味不明に空爆したり、外国人をかき集めて他国に入れて騒動を作ってそれによって戦わざるを得なくなった人々(シリアのことね)、それによって死亡した人々、難民とならざるを得なくなった人々はかわいそうではないのか、といったところに至る道筋が人々の「善意」によってかき消されるから。

それはそうでしょう。しかし、今、今救うんですよ、というやつ。短期的に難民を収容し、同時に根本的な問題を直視する、というのが正しいアプローチでしょう。

とはいえ、なんせ2012年からずっと騒いでいるシリアのケースが主体なので、この展開に疑念を持つ人たちは世界中で多い。

その中でイギリスのDaily Mailに出ていたピーター・ヒッチンズの記事では別のアプローチから、この感傷作戦に抵抗していた。

いわく、難民はウェルカムよ、と言ってる人たちは、難民を無期限に自分の家に引き取って、食べ物を食べさせることができるのか、そうするのならそれはそれでいいだろう、しかしそれができないのなら、それは誰か他の人に何かしてくださいといっているようなものと指摘がなかなか薄情だが、しかし現実的。

しかし、この文章がよく書けているのはこの前提部分、文頭の2パラグラフ。要約するとこんな感じ。

私たちは国家を先祖から相続していて、それを自分たちの子孫にできればより良くして、ダメージのない形で引き継がないとならない。それが私たちの義務だ。だから、自分たちがその方が気持ちいいからといった衝動でこの義務を捨て去ることはできないのだ。

で、結論は、

We won't save refugees by destroying our own country
http://www.dailymail.co.uk/debate/article-3223828/PETER-HITCHENS-won-t-save-refugees-destroying-country.html

私たちは自分の国を壊してまで難民を救う気はない

つまりですね、これって従来の左派、保守の分類からいえば保守派が言明すべきことなわけですよね。

しかしヒッチンズは左派と分類されている人で、この人のお兄さんは左派からネオコンに行くという、絵に書いたようなトロキストの末路みたいな人だったりする。
(だから、現在この人は、良い方のヒッチンズとか言われたりする)

■ 現存する右派・左派分類は役に立たない

この間、日本でも、志位さんの自衛隊に関する言明について、保守派が言うべきでしょう、これ、と驚いたところだったけど、こっちもそうだなぁとも思った。(ここ。国軍がわからない保守って何?

結局、現在、グローバリスト vs アンチ、っていう分岐が結局他のどの問題よりも大きいということの証左のような気がする。

ヒッチンズの上の記事のアプローチも、nationを重視することを通して、国とか民族とか人々が暮らしてきた体制を破壊する行為を簡単にやっちゃう勢力、グローバリストに抵抗しようという試みであろうと思う。

でもって、現存する右派・左派分類は役に立たない。

そもそも、イギリスの例でも上のヒッチンズのようなことは、一般に極右と言われる英国独立党(UKIP)もいう。

さらに、アメリカの共和党保守派も賛成しそう。

フランスの極右といわれるマリー・ルペンもそう来るでしょう。ここの左派はどうなのかな。多分イギリスと同じで党内で親グローバル(親EU)とアンチで割れてると想像。

■ イラン、シリア問題→トルコ、イスラエル問題

で、もはや言わずもがなだけど、どうしてこんなことが起こるのかといえば、シリア問題が大詰め(何回目になるかはともかく)だからでしょうね。ISなんていうわけのわからないキャラを作って空騒ぎをした作戦ももうダメポみたいなところではないかと思うんだな。

そして、それと同時並行してイランとのディールが現在成立するオッズが増大しており(オバマは議会の抵抗派を切り崩したから)、そうなれば、イラン、ヒズボラ、シリアが北部メソポタミアでしっかり強くなる確率があがり、メソポタミアをカオスにして「自分たち」(一般アメリカ人じゃない)に都合よく支配するという試みに赤信号が!となる。

すると、いろんなところに混乱を来す。例えば、トルコ、サウジ、カタールあたりが中心となって仕掛けたシリア問題(あれは内戦ではない)。

中東問題の核心にあるのは、なかなか報道されないけどトルコ。

つまり、イラン、シリア問題とはトルコ問題であり、イスラエル問題。


ということは、ここが(現在主流メディアを仕切ってる人たちにとってネガティブに)決着すれば、最低浅くとっても40年越し、深くとれば200年越しの問題に変化がみられるという話なんだろうなぁとか思う。


 

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2 コメント

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『中東和平もロシア中国?』 (ローレライ)
2015-09-09 10:06:59
『大イスラエル』対『オスマントルコ』対『アッシリア』の問題もロシア中国に押し付けるのかも知れないですね。
返信する
和平のビジョン (ブログ主)
2015-09-09 15:53:06
和平っていってもビジョンがないですよね、まだ。

ただ、ロシア&中国の力を借りてなんとかせな、と思ってる勢力がいることは間違いないでしょうね。その一方でロシアが非常に警戒しているのは引きずり出されることでしょう。アフガンのトラウマありますし、第一次世界大戦だって不要な戦争ですから。
もちろん、逆にいえばそこから活路を見出そうと思ってるのがネオコンの妻たち一派だと思うんです。
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