杭州で始まったG20で、各国首脳を空港で迎える際、オバマ大統領には中国がタラップを用意しなかったというのでちょっとした面白ネタになっている。
で、それを日本で書くとこうなるのね、と気持ち悪い記事だけどちょっとクリップ。
中国杭州G20 中国、意図的に?オバマ氏のタラップ用意せず 空港で側近・記者とも揉めて…当局は火消し躍起
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160904-00000524-san-n_ame
20カ国・地域(G20)首脳会議のため中国・杭州の空港に到着したオバマ米大統領の専用機に、中国側がタラップ(移動式の階段)を用意しなかった接遇が、外交儀礼に反しているとの見方を欧米メディアが報じている。両国間で南シナ海問題やサイバー攻撃などの懸案が横たわる中、「中国の意図的な冷遇だ」とも取り沙汰されている。
そもそも、タラップを用意しないというのは、そんなの故意に決まってるでしょう。あはは。
でもって、オバマ側も、やられたくそー、ってのがわかったのでさっさとエアフォースワン(米大統領専用機の通称)についてる内側から降ろす階段で降りてきたんでしょう。
こんな感じ。
で、この話は、そこから数時間後に到着したプーチンの歓迎がとても気合の入った、楽しいものだったから猶更面白おかしくなったわけです。
プーチン到着は夜になってたから良い写真がないんだけど、でも、ロシア系メディアが撮っていたライブの記録映像がyoutubeにあったので見たけど、プーチンのタラップを降りきる直前の儀仗兵の発声から、その後通路で並んで迎えている中国側の高官の楽しそうな表情、プーチンの笑顔と、もう、完全な歓迎の見本みたいになっていた。笑ってしまうほど気もちのいいお出迎え。
だからこそ、その比較によって猶更この話題は面白くなるわけ。
でもって、産経がカリカリ書くほど、アメリカ人はバカではないので、この待遇には、やられたーって感じで、苦々しいがしかし、まぁ現状この大統領じゃ誰もリスペクトなんかないやろ、そうなるだろう、みたいな感じで受け取ってるっぽい。あちこち見たけど。
もちろん、気が狂ったようなメディア関係者とかシンクタンクは、非難がましくどうしたこうしたと書くだろうけど。
さらに、プーチンと習さんには楽しい一幕があって、この話を一層面白くしちゃった。
(プーチンと習さん、って習さんにだけ敬称っておかしいんだけど、習って短いからニックネーム化したくなるが適当なものがないので、以下習さんとする)
ロシアと中国の会談の冒頭で、プーチンが、約束通りあなたのためにロシア製のアイスクリームを箱いっぱい持ってきましたよ、と言い、習さんが、ロシアに行くたび必ずロシアのアイスを買ってるんです、ロシアの生クリームはベスト、だからおいしいアイスができるんですね、家で食べます、ありがとう、とかいう和やかで面白いやり取りがあった。
これがまた、こういう小ネタをかます時のプーチンのかわいさは天下一品なので、なおさら受ける、と。もちろんRTが速攻で短い動画を付けたから知られることになったんだろうと思うけど、後追いでthe Westも結構書いてるね。冷たいもの持ってきて関係を温める、みたいなベタな書き方で。
Putin brings box of Russian ice-cream for Xi, who turns out to be a fan
https://www.rt.com/news/358201-ice-cream-putin-xi/
全体として、中国当局はプーチンを非常に効果的に使ってると思うな。つまり、中国人民にプーチンはとても人気があり、さらにそれは別に中国人に限らないってのもよくわかってるんだと思う。だから、オバマとの間で大国同士を演じることもあるけど、移動の際に習さんはプーチンを伴ってたりすることも多いように見えた。で、これによって、アメリカ一極支配とかもうねーから、ってのが表現されるわけでしょ。あと、引き続きBRICS諸国の会合もやってた。
これだけでも十分楽しい展開だったんだけど、ゼロヘッジが絶妙なシーンを持ってきたので、さらに夕べのゼロヘッジ界隈、アメリカのブログ界隈が笑いにつつまれた。
それはこの写真。
http://www.zerohedge.com/news/2016-09-04/caption-contest-whatcha-talkin-bout-putin
オバマ、何がそんなに気になるんだよー、と笑われているわけですね。プーチンは孤立してるはずだしね(笑)。
もちろん、エルドアンとプーチンは一体何を話してるんだろうってのもみんな知りたいよね。さらに、プーチンの右隣はフランスのオランドなんだけど、オランドが何か話しかけたかして、いやいや大丈夫的にプーチンがオランドの腕を叩く、みたいなくつろいだ状況がこれに続く。
で、上のzerohedgeの記事には、メルケルの手が気になる人が多数いて、そのイルミナティ・トライアングル作るのやめれ、とか言われてた(笑)。いっつもやってるやろ、それ、みたいな。何度となく見てきたわけで、これって単に、メルケルの緊張した時の癖なのじゃなかろうか?
メルケルの服装も不評で、なんなんだその恰好は、と。完全に場違いな人になってるぞー、って感じ。メルケルは昨夜地方選挙でCDUが敗北したのでさらに、メルケル終わった感あるよなぁと多くの人が思ったかも。
というわけで、G20の議題はともかく、雰囲気的には良い感じじゃないのかなと思った。というか、少なくともぎこちなくない。過去数年のアメリカ or その属国群の主導の会議は、法の支配がどうした、価値がどうしたという文言をみんなして同じ表現で言う、みたいな気持ち悪い事態が続いていた。殆ど、キリスト教の教会で使徒信条を述べるみたいなノリだった。今回はそうじゃない。
なんというか、「つきもの」が取れてるような気がした。
■ オマケ
まったく空気の読めてない人がいた。笑うべきか悲しむべきか。
G20サミット 首相 中国を念頭に「法の支配徹底」の賛同求める
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160905/k10010670771000.html
そもそも「法の支配」という概念はこういうところで使う概念じゃないでしょう。各国の憲法秩序と統治の問題でしょ? さらに、だったらアメリカも海洋条約批准しろ、とは実にアメリカ人たちが言ってたりする。カッコ悪すぎやろ、と。
それはともかく、またまた見つけた奇妙な一文。安倍ちゃんが言ったらしい。
「大航海時代以降、海洋貿易は世界を結び、平和な海が人類の繁栄の礎となった。国際交易を支える海洋における航行および上空飛行の自由の確保と法の支配の徹底を再確認したい」
こんなこと考える日本人ってほとんどまったくいないでしょ? 海洋貿易は大航海時代以前にもありますがな。遣隋使も遣唐使もいるし、地中海側の交易、ノルマン人の交易、バルト海から黒海にかけての今のロシアの欧州側を通した交易もある。だから、言うなれば、「海洋貿易は人類の繁栄と密接に関わっています」みたいな入りが日本人としての普通の感性だと思う。
つまり、これを書いた人は日本人ではないのでなかろうか?との疑問をぬぐえない。
ここで考えたことにエビデンスが一つ一つ付いていくってことだろうか。
法の支配・法律の支配
で、つきもの落としは各国首脳到着翌日朝一に行われたイギリスとロシアの会談かもな、と思ったりします。
そこでメイちゃんが、いろいろいろいろいろいろあるけど、フランクでオープンな関係と対話を望む、と言い切ってました。
英露間は王室の行動はともかく、公式にはほとんど関係が凍結されていたので、これは180度の転換ですね。