朝鮮の話はしばらくかかるだろうから、その前にロシア・イランの話でメモしておいたものをアップ。別に目新しいものは何もないけど。
まず、ロシアはイランを上海条約機構のフルメンバーに推薦すると主張している話がさらに確認されましたとイランのプレスTVに出ていた。去年の総会ではプーチンが、イランはもう国連の制裁を外されたんだからこれで加盟のハードルはなくなったと言っていた。が、微妙に話が進んでいるようないないようなだったりはする。おそらく、中国、インドとの各種の折り合いがパキスタンを挟んでつかない、ってのが一つあるんでしょう。
Russia backs Iran’s full membership in SCO
http://www.presstv.ir/Detail/2017/04/22/518979/Iran-SCO-membership-Russia-Lavrov
しかしいずれにしても、ロシアはイランをフルメンバーにするっていうより、地域の大国としての位置づけを確立しようとしているって感じが、過去2年で考えれば相当強くなったし事実そう動いているので、オブザーバーステータスであっても、事実上まぁイランはすでにSCOですね。
ちょっと見にくいんだけど、現在のSCO(上海条約機構)の加盟国。青がフルメンバー、緑が現在加盟申請中。
イランとパキスタンが加盟すると、アフガニスタンのジハードランド構想(by 西側)が重大な危機を迎えるわけだすね。おほほ。
一方、地道な経済活動の方でもロシアとイランの関係は強化されている。前から書いている、南北回廊というやつですね。
で、ロシアからアゼルバイジャン、イランを通ってインド西岸に達するルートのドライランが行われたようだ。現実に通して走ったのではなくて、多分、あちこち走らせたものを総合して考えた図上演習的なものではないかと思う。
青線が南北回廊、赤線は従来のバルト海、地中海、スエズ運河経由のルート。
で、インドから出ていた記事によれば、青だと赤より、輸送費用が30~40%少なくて済み、日数は、赤が45~60日だったものが、25~30日と目算している模様。
Goods transported through the Suez take 45-60 days to reach Europe, compared to INSTC’
s 25-30 days.
https://financialtribune.com/articles/economy-business-and-markets/62314/dry-run-for- india-iran-russia-transport-project
しかし、青線はもっと早くなるでしょう。鉄道部分が長いから通常運行と高速便を分けて考えたらいいんじゃないですかね。鉄道ってそれができる。
インドは従来は、欧州向けは赤ルート、中央アジア向けはイランに上げるか中国側から回る方法だったんだと思うので、このルートはインドにとっては良い話なんだろうと思う。
ということで、インドが海洋側は日本だのアメリカだのと組むにしても、ロシアを切るなんてことはまぁないでしょうと私が言い続けているのはこのへんですね。だって商業上の仕向地を安定化させようとしているのはロシアですから。ここに共通の利がある。
インドと中国の関係は変数として残るし、パキスタンを挟んで一帯一路構想との兼ね合いもあるので、すべてがまるく収まることはないんだろうけど、そもそもインドから西の人ってすべてが収まることを想定していないようなところもあるので、だいたい上手くいってりゃそれでいいんだろうとも思う。戦争しながらだって人は物を食う、みたいな。
さらに、これは直接は関係ないんだけど、シリアに大西洋と太平洋の間にいる野蛮人がミサイルを撃ち込んだあたりで、アゼルバイジャンが、ロシアとの安全保障上の協力は大事だと語ったといった記事。
Azerbaijani president calls for security cooperation with Russia
World
April 10, 15:48 UTC+3
これは、アリエフ大統領が突如思いつきでそんなことを言ったのではなくて、ロシア安全保障理事会のパトルシェフさんがアゼルバイジャンを訪問して、そんな発言を引き出したということでしょう。
多分、時節柄、万々一シリア情勢が悪化した場合、ロシアはイラン側に補給するから、その時はよろしくね、通してね、って話でしょうかね。そもそもアゼルバイジャンにはここで西側の犬になってみてもなんの理も利もないので、これはそうなるべくしてなってる事態というところ。しかし何度もこうやっていくうちに、アゼルバイジャンの西側の犬度数は下がるだろうなぁって感じはある。
上のSCOの地図でいえば、カスピ海の西岸、左側で、ロシアとイランの間で切れているのがアゼルバイジャン。アゼルバイジャンとはつまりバクー油田のことなので、ここをロックフェラー、ロスチャイルドが取っていったところから凶暴な世紀が始まったみたいな、ある種凶暴主義発祥の地と言ってもいいようなところ。ノーベルもここがらみの人。
■ 感想戦
で、ふと思うに、イラク戦争+アフガン侵攻って、つくづくバカな選択だったよなぁと私は思う。
ベストオプションは、アラビア海を繁栄の海にすることだったのではなかろうか。そうすれば、西側的なものを人々は好意的に受け止めていったんじゃないのか。騙しもプロパガンダもある程度のところは許容されていった可能性は高いのではなかろうか。
具体的にはパキスタンとイランを安定化させて、西側のピンナップボーイにすればよかったのじゃないのか、と。
それが出来なかったのは、やっぱこう、アングロ・シオニスト・アメリカ帝国というのが、実際には金融屋と軍事屋のコングロマリットを中心としているために、まず前者は、世界中全部をコントロールに置かないと安心できない(なんせ紙刷ってることがコアですから)、だから押さえつけないとだめだ、と発想する、するとそれが後者の利益になる、そこで人殺し政策が彼らのベストオプションとなった、という展開なのかなぁなどと思ってみる。
多くの人はこのへんの話を資本主義的な何かと考えているやに見えるけど、これってそういう主義なんだろうか? 交易を無視した資本主義って何って感じ。資本主義というより金融支配主義というのならわかるが。
あと、石油の流れを抑えないと云々という説も、話半分だよなぁとか思う。アラビア海を繁栄の海にして需要を増やして、侵略や脅しを低減させて、その安定の配当として各国の公社をせめて半分は民営化してもらってみんなで投資するみたい恰好の方が富は増大するのではなかろうか。まぁ、でも、独占的に俺らだけ儲かりたい主義だからダメなんでしょうね。ここもまた、近代資本主義の教科書が教えていたようなことは何もないって感じ。
アフガニスタンにパイプラインを敷いて、旧ソ連からパキスタン、インドへと縦のラインをアメリカ支配下に置きたかった、ということなのだろうとは思うのだが、パイプラインのために周辺住民を殺しまくるとみんなおとなしく下僕になるという発想は痛すぎる。
結局、ユーラシアにアメリカと競うような大国は絶対に作らせないというアメリカが持っているらしいモデルに誤りがあったんだと思うが、そもそも別に誰もアメリカに攻めに行ってないんだから、競争もくそもない。妄想の中の話とさえいえる。要するに現実的には、ただただロシアを崩したい、そうすれば世界は俺のものという19世紀末の考え方をいつまでも持ってきたのが間違いのもと。
軍事力で覇権を打ち立てようという発想もバカすぎたんだろうなぁとかも思うし、よくよく考えれば、ペトロダラーこそ主たる悪因って話なのかもなとも思うけど、それにしたってジハードはないだろう、ですよ。
いずれにしても、ジハードを煽って何かをしようとしたことが世界経済の混乱、破局の主要因になっとるやん、って感じ。
主たる戦略がテロリストを支援して混乱させていって戦争を引き起こすって、バカでしょう。収集を考えてないのみならず、自らの地位を自分で自爆させてどうするねん、ってところが実に問題。
明日5月2日は、オデッサで生きた人を焼いた異常な事件から3年目を迎える。ウクライナの紛争は気持ち悪いことだらけだったけど、とりわけ凄かったのがオデッサの事件でしょう。
事件に疑問を持っている人や遺族の人は忘れてないので、今年もいろいろアピールしている。今年はオランダのヘイグの国際司法裁判所前でアピールしている。
Rally in Dutch capital pays tribute to Odessa fire victims
http://tass.com/world/944044
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トランプ大統領就任。でもまぁSCO&南北回廊も元気よ
>アラビア海を繁栄の海にして需要を増やして、侵略や脅しを低減させて、その安定の配当として各国の公社をせめて半分は民営化してもらってみんなで投資するみたい恰好の方が富は増大するのではなかろうか。
イスラムに金なんか死んでもやるか、、、ということで。