いやいやいや、現在の安保法制でさえヤバいっしょと思っている国民が結構な数存在する中、さらにヤバさ激増みたいな議員さんたちの発言が相次いでいる。
礒崎氏の法的安定性なんか関係ない、という発想も元官僚さんとしてどうなのそれと驚いたけど、今度はそんなある意味テクニカル、ある意味難しい話をすっとばして、すっきり驚くような人が登場していた。
武藤貴也・衆院議員、SEALDsを「自分中心、極端な利己的考え」と批判
http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/01/muto-takaya_n_7916664.html
SEALDsのやってることは極端な利己的な考えなんだそうで、ああさすがだな日本軍、とか誰しも頭をよぎりますね。あはは。
国家が策定した話に異論を唱えることそれ自体がダメ、罪、みたいな発想ってたぶん日本社会に根深いんだろなぁ。
そしてだからこそ、現行の日本国憲法が登場した時、その制定過程がどうあれ、こっちの方がいいと多くの人が思ったということなんだろうなと再度思う。
今から考えると、外国占領軍が主体で作った憲法など振り払うべきという意見に大きな説得力を感じる人が多いし、私も強硬にそう思ってきた。
しかし、歴史的な経緯を考えると、あれでいい、と思った人々が判断した軸は、誰が作ったかなんてことではなく、あの時代、あの空間に戻るか否かだったんだろうと思う。
どういう時代かというと、司馬遼太郎が「昭和という国家」とさえ言ったその時代のことで、それはだいたい昭和元年から20年の敗戦までなので、1925から1945ということになるのかな。
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■ 日本国憲法によって破壊された日本人的価値観
と、これに対して、武藤議員は、ご自分のブログで、
日本国憲法によって破壊された日本人的価値観
http://ameblo.jp/mutou-takaya/entry-11937106202.html
というエントリーをされていた。いや~、見事ですねぇ。
そもそも「日本精神」が失われてしまった原因は、戦後もたらされた「欧米の思想」にあると私は考えている。そしてその「欧米の思想」の教科書ともいうべきものが「日本国憲法」であると私は思う。
として、
次に「基本的人権の尊重」について。私はこれが日本精神を破壊した「主犯」だと考えているが、この「基本的人権」は、戦前は制限されて当たり前だと考えられていた。全ての国民は、国家があり、地域があり、家族があり、その中で生きている。国家が滅ぼされてしまったら、当然その国の国民も滅びてしまう。
ということだそうですよ。
「昭和という国家」が「日本精神」が有効でありすばらしい時代だと考えれば、それを壊し、その破壊後に新しい秩序をもたらした日本国憲法は素晴らしい時代を破壊したもの、となりますね。
だからこそ、その根本であるところの「基本的人権の尊重」こそ主犯である、と。
いや~、論理的には一貫してますね。
■ 敗戦を明確に認識しなかったツケ
問題はしかし、どうもその、基本的人権が制限されて当然だと考えてきた戦前に戻りたいと思っている日本人はどうやらそう多くはない。
歴史的に考えても、この回帰は否定された。この間のエントリーでも書いたように、60年安保というのは、資本主義だの社会主義、共産主義の話なんてことでも、反米か否かなんてことでもなく、よーするに、岸という人を象徴とする「昭和という国家」に帰りたくない、戻すことを拒否する闘いだったんだろうと思うわけですよ。満州国の行政の責任者が出てきてまたぞろ強い国家だのへちまだのということに、人々は危機感を持ったのだろうと思うわけですよ。
NHKスペシャル 2015年7月18日 戦後70年 ニッポンの肖像 政治の模索
事実、それ以降自民党は憲法改正路線を事実上封印してるわけだし、岸的なものは知らぬ存ぜぬで、私たちは基本的人権を大事にし~とかいいながら国際社会に復帰していって、高度経済成長を成し遂げた。
にもかかわらず、こうやって、またまた「昭和という国家」に戻りたい人々が出てくる。
まぁどういう主義主張でも一定の少数者がそう叫ぶ限り別にどうでもいいわけですが、現在は、政権与党がどうも、基本的人権を制限した国家に戻るべき~という人々をどうも少数ではなく抱えている模様。
と、こうやって考えると、この政権は日本国民にそうとは知らせぬ間に「昭和という国家」に戻そうという試みを行っている、すなわち現行憲法を中心とした体制を覆そうとしているという意味において、ああ、やっぱりクーデーター政権的なんだなぁとここでも思う。
そう、憲法学者さんたちのテクニカルなクーデター論だけでなく、理念としてもクーデーター的なんだな、と。
まぁその、自民党ってこの事態をどう落とす気なんだろう・・・。
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でもまぁその噂の日本会議所属議員あたりには、どうもマジでそんな傾向があるようで、日々驚くばかりです。