DEEPLY JAPAN

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ワイマールからヒトラーへ v.2(ただし気分とカッコだけ)

2020-09-17 21:00:21 | WW1&2

ナワリヌイ事件という、どう考えても何でそんなに大きな事件みたいに扱うのか全然わからない事件を巡って騒いでいるドイツさんですが、メルケルあたりの発言を見てるとなんかヌルヌルして、できれば穏便にしたい感がみえる。メルケルは、パイプライン問題とナワリヌイ問題は別の問題だという、デカップリングでしのごうとしたし、今もまだ一応しがみついてる。

しかし、ドイツ国内では、国防大臣の、あの人気のないクランプ=カレンバウアーおばさんなどが、これはロシアが悪い事件であるという態度を鮮明にして煽ってる。

 

Zeremonie in Bellevue: Berlins Regierender ernennt AKK zur  Verteidigungsministerin - Politik - Tagesspiegel

欧州を壊す3婆

左が国防大臣クランプ=カレンバウアー、真ん中が何がなんだかさっぱりわからないEUの現在欧州委員会委員長フォン・デア・ライエン。右がメルケル首相。

 

1週間ぐらい前の発言だけど、こんな感じ。

私はずっと言っているように、ノルドストリーム2プロジェクトは好ましいと思ってない

東ヨーロッパ諸国とウクライナの安全保障上の利益を考慮にいれなければならないというのは、私にとって常に明らかだ

“I have always said that I am not fond of the Nord Stream 2 project,” Kramp-Karrenbauer said. “To me it was always clear that the security interests of Eastern European states and Ukraine must be taken into consideration.”

https://jp.reuters.com/article/uk-russia-politics-navalny-germany-idUKKBN25X0KJ

 

だからロシアと手を切れ、みたいな調子。

さらに、ドイツとロシアの関係を緊密にしようという仕掛け人であるシュレーダー元首相はその後ロシアのロスネフチの取締役会の会長となって現在に至って、ここがつまり両国間の関係をつなぐ意思みたいなことになってるんだけど、それを辞めさせようという画策も見える。

というのは、わざわざそんなことを世論調査で聞いてるから。それによれば53%が辞めろと言い、30%が問題なし、と言ってるらしい。


Schröder to step down from his positions at Russian state-owned energy companies — including his role as chairman of the shareholders’ committee of Nord Stream 2 — in response to the Navalny poisoning.

https://www.ft.com/content/bd6dd6e5-ecdc-48b2-8145-ab72865cb2dd

 

30%問題なしと答えるというのは、なかなかガッツがあるわけだし、そもそも実業界はパイプライン死守派が多い。

私はこれをFTで読んだんだけど、そりゃもうFinancial Timesの親会社日経の路線としては、なんとしてもドイツをロシアから離そうとイギリス勢と一緒になっていることだろう、って感じ。

そして、日経のもう1つの英語版である、Nikkei Asia Reviewでは、ドイツと中国とのハネムーンは終わり、という見出しで、

Germany ends China honeymoon with new Indo-Pacific strategy

https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Germany-ends-China-honeymoon-with-new-Indo-Pacific-strategy

ドイツは中国は民主化すると思ったのにがっかりしたのです、みたいなよくあるストーリーを展開し、「インド太平洋」をカバーする政策ガイドラインを取ったというのを歓迎していたりする。

Germany that day adopted new policy guidelines covering the Indo-Pacific, stressing the importance of the rule of law and promoting open markets in the region. The strategy echoes the approach taken by France, as well as Japan, Australia and members of the Association of Southeast Asian Nations.

 

日経はキモイ、ほんと。イギリスと一緒に組んで世界を牛耳ってる感覚らしいんですよ、ずっと。

 

そうかと思えば、欧州委員会フォンデアライエンは、人権違反の人に制裁をかける法、つまりアメリカのマグニツキー法と同等のものを作ろうとしていて、そこにナワリヌイの名前を使おうという気らしい。

頭がおかしい(笑)。

Kommersant: EU to loosen legal mechanism for new sanctions against Russia

https://tass.com/pressreview/1201793

 

そうかと思えば今度は欧州議会が、ナワリヌイに毒をもった件に国際的な調査を呼びかけた。

European Parliament calls for international probe into alleged Navalny poisoning & suspension of Nord Stream 2 gas pipeline 

https://www.rt.com/russia/500929-european-parliament-navalny-nord-stream/

 

2018年のイギリスのノビチョク事件とまったく同じ作りで笑える。

どちらもロシアの手の中にないところでノビチョクをもられたという騒ぎが起こり、ロシアは調査せよ!!!と騒ぐ。俺にどうせいというのだ?とロシアがポカンとすると、何をとぼけたことを!!!などと騒ぎにする。

ただそれだけ。

 

■ 国会議事堂放火事件

だがしかし、ドイツにとってこれってなんというか、国会議事堂放火事件もどきではなかろうかと思ったりする。

ヒトラーが当時の大きな勢力であった社会民主党と共産党を葬って独裁体制を築くきっかけとなった、広く自作自演だったんだろうと思われている事件のこと。

シュレーダーの継続を望む人が3割ぐらいというのも、何か思い出させるものがある。

ヒトラーが無理くり全権委任法を使った有無を言わせぬ体制にもっていく頃、本当の支持率は、ナチ党と、社民党+共産党が共に3割強ぐらいでどっこいだった。

前から書いてますがナチ党は民衆が選んだ、というのは、その意味がドイツ人が過半数を取らせて支持してたというのなら間違い。実際は、放火事件があり、あれは共産党がやったのだとなって、社民党+共産党を放逐して、そこから誰も逆らえない体制になる。

 

今回は、ドイツ統一以来本当は様々な対立はあっても、ともあれドイツ・ロシア間は仲良くやりましょう路線を取ってきた、それを終わりにするために、放火事件まがいのことを作って、それをきっかけに敵はロシアである路線に変更しようとしている感じ。

とはいえ、ドイツ国内にはそんなことはドイツの利益でないと考える人が多数いるので、ドイツ国内で話し合いをさせるとロシア敵認定は上手くいかない。

そこで、EUを使って外交方針を決めてしまう、という格好になるんじゃなかろうか。ドイツ国民がなんといおうと、外交方針は上から来る体制。

 

■ それでいったいどうするの?

で、これで一体何をしようというのでしょうか?

いずれにしても、日本が完全に中国と商売をしないことにする、などという事態にはなれないように、ドイツもロシアと完全に手切れになるなどということはできない。いや、やってもいいけど、どちらもやった方の傷が深くなる見込みは高い。

では何をしているのか。

わかりません(笑)。

 

ただ、理由はどうあれこのままあと10年ぐらいこんな精神病棟の会話みたいなことを報道だのニュースだの分析だの教育だのとして扱うとしたら、ダメージは中国やロシアにとってよりももっと多く西側各国に来るでしょう。嘘がホントみたいな世界をずっとやるんだから。結果的に国民国家を失っていく。

プロパガンダによる通説だらけでそこら中矛盾だらけだとしても、大金持ちは増える見込みだからその人たちが体制の重石になるし、BIとか言って一般人を広く取り込もうという仕組み作りも考えられているので、このおかしな体制は続くと思う。

明日何かが大きく変わるという考えを持つことは、多分不幸なことなので、止めた方がいいと思う。


 

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2 コメント

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命綱を自分で切るドイツ! (ローレライ)
2020-09-18 08:53:30
ドイツ外交は命綱を自分で切るパターンがある!かつてのビスマルク外交を自ら壊したように今又、ブラント外交の遺産を自らの手で壊している。
返信する
東独と西独の壁 (石井)
2020-09-18 08:58:01
シャリーというウクライナのブロガーを偶に見ています。最近の動画でドイツ国会での各党演説を手短に紹介していました。
https://www.youtube.com/watch?v=89OhWqcmkLA
緑の党「ナバリヌイ事件は、プーチンに反対する者は命の危険を覚悟する必要があることを示すものだ。ノルドストリーム2は、余計なだけでなく気候にも悪影響を及ぼすものだ。」
AfD「疑問だらけだ。何故クレムリンが暗殺を試みた反体制者を外国へ逃すのか。スクリパリで効果がないことが明らかな毒を何故また使うのか。」
面白いのはこの事件に懐疑的なのは、AfD、左派党という東独を地盤とする政党だということです。恐らく西側では東独というのはソ連に蹂躙され苦難を味わった可哀想な国と思われているのでしょうが、それなら何故彼らが親露的なのか、説明できるでしょうか。

昔、シベリア抑留組で最終の船で帰国したという人から話を聞いたことがあります。彼曰くは、「抑留生活の悲惨を強調するのは、せいぜい1~2年の滞在の者で、自分のように10年も居れば良い思い出の方が多い」と言って、退職後はロシア語のボランティア通訳をされていました。東独の場合もこれに似て、確かに悲惨なこともあったでしょうが、それを補う良いこともあった実際の生活の記憶があり、東西統一後の「悲惨」と比べているように思います。完全な楽園も全くの地獄もなく、社会の現実はその濃淡で彩られるのでしょうが、その複雑さを見ずに白黒で判断したがるのがまた社会の現実なのでしょう。

西側エリートの言動を見ていると非常に軽く感じます。深く知って深く考えることがない。自己の無謬を信じて疑わない層に支えられているのが今の西側だと思います。それに対して、ロシアもそうですが、東独の人々は前の体制でのプラスマイナス、統一後のプラスマイナスを経験し自省することができ、より思慮深く見えます。
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