【伊藤貫】アメリカと世界はどうなる[桜H26/3/20](+ 再生リスト)
毎年春先になるといらっしゃる伊藤貫さんのお話。
[日本関係]
アメリカは尖閣について日本を守るつもりはない。
一方で日本に自主防衛させるつもりもない。(攻撃型の配備、核配備といったものはさせない、防衛力増強といって防衛型に踏み出させる)
国務省系の人たちは、石原、安倍、田母神といった日本を再度独立させるという人々を徹底して嫌っている。
共和党になったら何かが変わるという話ではない(オバマがダメだからアメリカが、という話じゃない)
日本が自主独立路線を選ぼうとすると、そんなことをすれば日本を孤立化させてやる、それがどんなに大きなダメージになるか考えてみろ、など発言する米キャリア官僚もいる。つまり、日本は追いつめられている。笑っちゃうほど。
[アメリカの戦略]
1. グローバルヘゲモン(世界一極支配)
2. selective engagement(中東、東アジア等覇権維持にとって大事なところだけ頑張る)
3. offshore balancing(当事者同士に戦わせながら陸上戦支援なしで防空支援等で支援というかどっちかに肩入れ)
4. 孤立派
の4つがあって、冷戦後のアメリカはブッシュ親子などが1を選択していたが、それはもうできない。で、2か3に行くところで現在はどうも3くさい。
------------------------
といったお話でした。去年も同じようなお話だったと記憶します。ですので個人的には別に驚きはないし、基本的には伊藤さんのおっしゃっていることは当たっていると思う。
はうえばー!
伊藤さんは甘いと私は思ってる。それは、この見取りは「表面」だから。国務省とか国防総省とかいう正しい行政庁が考えている戦略だから。
しかし、現実にはアラブの春だのカラー革命だのに見られるように、戦争ではないが当事国においては重大な政変になるようなことを仕掛けている勢力が確実に存在する。
また、民間の武装集団というものが存在する。革命支援会社も堂々と存在する。
さらに、メディアの支配が徹底している。日本は独自の見解を持ったメディアを有していないことを考えればわかる。
以上のことから考えれば、アメリカという国の政策とみなしうるものは、二重構造になっている。つまり、なんらかの利害関係で邪魔だと判断された国の政府は、
- 革命とか民主化といった語で彩られた勢力によって政変を起こされる(中東、ロシア周辺)、または、
- 一定の方針を堅持する人しか昇進できないような仕組みにしてしまう(日本)
といった方針が取られているものと考えて悪い理屈はないようにみえる。
すなわち、表面は3とか4といった退却方針を取っているようにみえて、実際には1が鋭意継続中であるとみえるわけです。
そして、この方針は別に今はじまったわけでもなく、むしろ100年前に戻ったという感じではないのかとさえいえる気がしている今日この頃・・・。
民族自決主義を煽って世界中の国々を揺らしていた1930年代を思い出さないわけにはいかない。で、今はそれが、時には住民自治(コソボ)となり、時には自由と民主主義と看板をかえただけ。
私見では、4を取ろうとするアメリカの動きというのは、アメリカを金融資本の傭兵国家から脱却させようという、アメリカ版「アメリカを取り戻せ」運動なんだと思う。
■日本はどうしたらいいのか
歯噛みして悔しがっている人もいると思うし、私自身ももちろんその一人だけど、日本の大勢は、だって、こういう状況にあること、すなわち、伊藤さんがおっしゃる「笑っちゃうほど追いつめられている状況」にすら気が付いていない。
政治家、官僚にも勇気がない。そう、問題は覚悟と勇気なんでしょうが、そうはいっても、根本的にもう首までアメリカ支配の中に入っているので、怖くて首を出す人がいない状況。そもそも、価値観外交などと言い出したあたりから詰んでると思う。
で、日本の今回の失敗は、日本派を養成できなかったこと。社会思想はその時々で変わる。でも地理と資源のありかは変わらない。そこを飲み込まずに、自分と似ているかとか自分と気があうか、みたいな価値観で物事を判断しようとする傾向が蔓延したのはいたかった。
また、逆説的に聞こえるだろうけど、ここ数年の保守派なる人々の台頭が、巧妙に操られていたのではないかという感想を持っていたりもする。戦略的思考を失わせるような仕様だったな、と。
と、いろいろ考えてみても何かできるような気がしない。
50年後にもまだ日本語を話し、日本の歴史をしっかり覚えている人が多数いるでしょうが、その人たちが自主路線を歩みたいと思ったとき、自国とは何かを思い起こせるように様々な記録を残しておいてあげたい、といったことぐらいしか思いつかない。
■関連記事