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シリア対話会議が浮き彫りにする英米仏+の異常な執着

2018-02-01 01:12:38 | アジア情勢複雑怪奇

予定通り、ソチでシリア国の対話会議が開かれた。

で、もちろん、予定通りに、西側メディアは、ロシア外交の限界を表した~、みたいな報道をしている。

シリア対話会議、成果困難か=ロシア主導で本格協議

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018013000728&g=isk

 【ソチ(ロシア)時事】シリア内戦の終結に向け、アサド政権の後ろ盾であるロシアがシリアの各勢力を集め、政治プロセスを議論する「シリア国民対話会議」が30日、ロシア南部ソチで本格的な協議を行った。シリアの主要な反体制派が不参加を表明する中、大きな成果を打ち出すのは難しい状況だ。

そりゃそうでしょう、これを成功させたらシリアは安定してしまう。そうならないために、あっちでもこっちでも英米仏+イスラエル+サウジアラビアが、妨害に次ぐ妨害をしているんだから。

この勢力は、テロリストを送り込んでシリアを解体しようとしたし、まだ諦めていないというのがこの話の最も重要なところです。しかし、それを西側メディアは、まったく書かない。シリアの「内戦」などという。

とはいえ、足元の現実は人々と共にあるわけで、1600人のシリア関係者が集まって、基本ラインの声明を採決したというのは価値があるでしょう。会議の様子はこれ。

Laying foundation for peace: Various factions of Syrian society gather in Sochi

 Classic Lavrov vs. CNN (Syrian National Dialogue, Sochi)

 

原則として、シリアの主権と領土的一体性の保持、シリアの将来はシリアの人々が決定することができる、というのを確認したわけですが、まずもってこれそのものが異常な事態なわけです。だってシリアは国連加盟国なんだから。

で、アサド政権を主体とする進行に反対しているのは、

反体制派グループ、クルド。このへんの人たちはバックがいるからこうなってるというわけなので、まぁいいとこ英米仏の現地代理人みたいな恰好。クルドはトルコとの対立というファクターも大きい。

そして、フランスはアサド政権は化学兵器を使用し、ロシアはそのアサド政権を支持していると非難する、という懲りない話題を持ち出している。こっちは、国連関与で再度アサドを倒そうとしている感じ。

また、サウジアラビアは自分が主体となったシリア対話会議を設定している。こっちはそもそもシリアにテロリストを供給した大犯罪人の分際で何を、ということなのだが、アングロ覇権では特殊なステータスなので無問題(笑)。

大半のシリア人の意思を無視した体制は依然として存在するわけです。

 

ということなんですが、どうしてフランスだのイギリス、アメリカにシリアに対する権利が存在するのかまったく謎ではあるんだが、これってつまり、サイクスピコ協定+サンレモ会議あたりで当事者だった国々が、以前として利益を主張しているということなんだろうと思う。

Syrian peace process(wiki。なんでこんなに多数の国が参加し得るのか不思議な事態)

 

で、これは、別の見方をすれば、イスラエル問題でもある。イスラエルをあそこに作ったことの意味は中東を欧州人がコントロールするってことなんだと思うんです。東地中海ですから。

 

そこに出先を作ってそこから影響力を及ぼし、油を支配し、もって世界を支配するっつープラン。それが20世紀の枠組みなので、イスラエルの存在そのものがアングロ・シオニスト・アメリカ覇権にとってのへそみたいなもの。

それを、ロシア、イラン、トルコという現地組がお前らの好きにはさせんと言っている、という枠組みだと思ってみていればだいたあってると言っていいんじゃないかと思う。

その中で興味深いのは、トルコ。シリアをぐじゃぐじゃにして英仏+イスラエルあたりの管理にまかせて中東を作り替えるような取り組みをすればするほど、トルコはこの隠密西側チームみたいなのから離れていくオッズは高まる。なぜなら、隠密西側チームはクルドを隠れ蓑に使って勢力拡張を狙う仕組みになっちゃったから(最初のプランは、誰だかわからない、ある意味ニュートラルなアルカイダ他のテロリストだったからこそトルコは乗れた)。

トルコを隠密西側チームから外してしまったら、隠密西側チームは、ロシアを攻められなくなる。しかし、クルドをここで捨てたら、シリアがまとまってしまう。これもイヤ。どうするんでしょうね(笑)。

ということなので、ソチの会議だけを見てれば、確かに、クルドや「反政府勢力」(近似値でテロリスを含む)が反対していることからロシア外交には限界があるぅ!! とか言うこともできますが、しかし、英米仏+イスラエル+サウジにゴールデンカードがあるのかといえばそれもない。

 

■ アンドレ・カルロフ大使

トルコでは昨日、トルコの国会議員たちが2016年12月に射殺されて亡くなったロシアのアンドレ・カルロフ大使に哀悼を示していた。銅像ができたってことみたいだ。また、事件からいくばくもなくロシア大使館の前のある通りの名前を大使の名前にしている。

 
トルコの国会の外交関係委員会の議長のBozkir氏は、「アンドレ・カルロフ氏は、トルコの人々に常に記憶され続けるだろう」「カルロフ氏の仕事はトルコとロシアとの関係を強化することに向けられていた。私たちは両国間の関係を強化するという彼の取り組みを続ける」と語ったそうだ。
 
 
実際、死せるカルロフ氏、ロシア・トルコ間の礎となる、というのはこれまでのところ実際嘘ではない。
 
カルロフ氏がなくなった後、トルコが丁寧に正教によるセレモニーをしてカルロフ氏を送り出し、カルロフ氏の棺は黒海を超えてロシアに到着し、プレオブラジェンスキー連隊というロシアの名高い儀仗隊の手によってロシアの地を踏んだ。2016年12月。

威厳とテロリストメンタリティー

トルコは長い間、いわゆる西側の丁稚小僧的な扱いを受けている国なわけだから、NATO、CIA、あるいは英インテリジェンスの浸透は相当なレベルにあると考えるべきでしょう。クーデーター以降の恨みつらみよりずっと深いレベルで大変なことになっていると想像。もう、誰が敵かわからんような状態なんだろうと思う。

まぁ、これってつまり日本とだいたい同様の150年ですね。私は、トルコの変化を半信半疑的に見ているわけだけど、でも、現実問題、ムジャヒディーン、ジハード主義者等々のイスラム系の過激派のたまり場、集積地、訓練場としてのトルコ、アングロ・シオニスト覇権の楽屋裏としてのトルコをこのまま続けるのか続けないのかという選択を迫られれば、もし愛国者であるのならば、妥協できるところは妥協するが、楽屋裏をいつまでも続けるわけにはいかないという方向を選ばないわけにはいかないでしょう。しかし・・・。とても大変なことだと思う。

そういえば、第二次世界大戦の時、トルコは慎重な姿勢を崩さなかったんだなぁとかも思い出す。

 

そこから1年と2カ月。トルコは、アングロ・シオニスト・アメリカ覇権の楽屋裏としてのトルコを続けようという方向には行っていない。


   


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