MOMOSE'S DOOR Day book in New York

NY在住のシンガーソングライターが『自称シンプルライフ』を語ります。ぷぷっと笑ってホロっとなるよなDay book.

肉まんにおける人生の教訓

2006-01-14 14:06:51 | 食にまつわるお話

チャイナタウンで冷凍肉まんを買ったのです。


レジにもっていくと
売り子のおねーさんがこういうのです。

『袋のここに書いてある時間どおりにやると
間違いなく半生だから気をつけるのよ』

まるで、アタクシの普段から食に対するいやしい素性を
見透かされたような的確なご指示に半ばドキドキしながらも

『何分ぐらいが目安なの?』

っと、訪ねてみると、

そのおねーさんは

『フフっ。経験かしらねえ。
でもねえ。自分で、もういいって思ったよりも
まだって思ったぐらいが丁度いい頃合いなのよ。』

っと、これまた底意地の悪い物言いをされるわけです。
正直むかっ腹がたちまして、

だからそれは何分ぐらいなんだよ!!

っと、喉もとまででかかったのですが
この時、フト思ったのです。

ここ最近、このNYの作業場で外人、日本人問わず、
年令が10代~20代の歌手志望の方々に
とっかえひっかえお会いする機会が多いのですが
特に、日本人の方とお話をすると、
まず最初に発せられる言葉が、

『もう私○○歳なんで......』
っと、おっしゃる方傾向が強いのです。

一方。
これが同年代の外国人の方になりますと
『まだ私○○歳なんで......』
っと、おっしゃる風潮があるのです。

日本はどちらかというと、
その人の『短所』を『怒る』ことで取り除くことに軸をおいた教育。
アメリカでは
その人の『長所』を『褒める』ことに軸をおいた教育をすると
言われています。
その違いからでしょうか。
思い起こせば、
アタクシがアマチュアの頃,
20歳を過ぎたあたりから、
ことごとく、オーディション会場のディレクターに
『もう○○歳になっちゃったのかあ~きびしいなぁ~』
っと、ことごとく言われ、実力云々をどうとか言われるよりも、
単純に凹みまくった記憶がございます。
ですが。
ここNYにて。
日本の現場では
どう考えてもデビューとかは無理でしょ~と言われる
30代後半にてこちらの現場を体験しております今日に至って
必ずといっていいほど、お会いする方々からは

『まだ、君は○○歳なのか~』

っと、言われるのです。
確かに、外国の方からみれば、
日本人は実年齢よりも若くみられるという事実もありますし、
当然、裏を返せば『おめーの実力なんざ屁みたいなもん』
っと言われてるのも否めません。
とはいえでも。
『年令重視的な日本の風潮』に慣れ親しんできた者としては
単純に、
この『まだ』という言い回しをされるだけでも嬉しいものなのです。

不思議なものですが、

『もう』ではなく『まだ』

たったこれだけの言葉使いの違いだけで
人は凹んだりも、励まされたりするのです。

勿論、文化や教育方針の違いにより、
物の捉え方や、価値観などの誤差もあり、
日本人にはどうしてもなじめない面も
このアメリカにはたくさんあります。
ですが。
良いものは良いものとして、
ちゃんと真っ向から受け止める器を人生の経験値に併せて用意し
『まだ』という言葉を使って『可能性』を試していく人生を
チョイスしていくことができれば、
これまた不思議と、
いつもまにか自分のまわりには、いつも『笑顔』が絶えない仲間に
囲まれている事に気がつくのです。
そして、その時、
ふと鏡をみると、自分の眉間のしわがとれているのです。
いつまでたっても、過去に培った名誉やプライドにこだわって
『もう』という言葉を体よく使い
年令に執着した『諦め』の人生を過ごしながら終始、
しわを隠す為、厚化粧をするような年の重ね方をするよりも、
目尻の下にできた『笑いしわ』を
経験値に置き換えれば、それはそれで堂々とした『幸せ』なのです。

っとですね、
肉まん売りのねーちゃんの一言をもとに
随分ひっぱった話をして参りましたが
これを踏まえて

本日の教訓を導きだしました。

さかざん!

『本物は中途半端な肉まんには手をださない』


ちなみに、解説しますとこうなります。

肉まんは、ブタです。

ブタは半生の状態で食すると腹を壊します。

腹を壊すと苦しいのです。

食べたことに後悔します。

後悔した時に思うのです。

早過ぎたか....

っとなるわけです。
要するに。

人生いろんな意味でタイミングを見極める経験値をあげるには
一生をかけて努力にかける時間を惜しみなく使うことができてこそ
いつの日か人から『本物』と呼ばれるようになるのだということ
なのですな。

>たかが肉まんといえども人生に例えれば深くもなるのです。

あなどれんなあ....肉まんやのねーちゃんよ。