イモとYシャツとグディグディ洗濯機

”他の物とは一緒に洗ってはいけない”

っと書いてあった表示をまんまと見過ごし、
いつぞやか、どこぞのスーパーで買った
いかにも安っぽいグレーのパンツを
いつも食料調達用に使っている深緑色の布製デカバッグと一緒に
家庭用プチ洗濯機でグリグリ洗ってしまった。

のだが..

なんと。

偶然の成せる技。

はたまた、

棚からぼたもち

っとでも言うのだろうか。

見事なまでにパンツのゴムのラインのみだけが草木染めのように染まり、
オサレなパンツに変身したのだ。

おおお～～～～！！！！

これぞ、ナチュラル染め粉万歳状態じゃないか。
安物をいかにオシャレに使いこなすかという点を
昔から追求してやまない私としてはこれを見逃す手はない。
しかも、
このパンツ以外にも他の物も試してみたくなるというのが世の常である。

そこで。

手始めに我が家では定番の下呂温泉タオルを
同じようにもう一度バッグと共に
センタッキでグリグリまわしてみたところ

おお～～～～～～おお～～！！！！

オサレな草木色の手ぬぐいにまたまた大変身したのだった。

ここまでくるといい気になってテンションも高くなってきている手前
思いきって冒険をしたくなるのが世の常パート２である。
いや...どちらかというと
私の中の悪魔が目覚めた瞬間とも言えるかもしれない。

ふふ..ふふふん...

私は不適な笑みを浮かべながらその白い物体を掴んだ。

やめてーーーーーーーーーーーーーーー！！！
殺生ですからそれだけはーーーーーーーーー！！！！

訴えるような目で私を見上げる愛犬カポ。

を横目に

私はMYダーのマッチロないっちょーらのYシャツを
迷わずセンタッキに放り込んだ。

グリグリ～～グリグリ～～～

いい音でセンタッキが回っている。

ちなみに私の脳内BGMはこれ。

	Goody Goody
	Lisette Melendez
	Fever Records

グリグリ～～グリグリ～～～グリグリ～～

これぞ世紀の大冒険というもいうべき究極のストレス解消法である。

グリグリ～～グリグリ～～～グリグリ～～グリグリ～～～

夕べ、私が大事に冷蔵庫に隠しておいた
大学イモを私が寝ている間に喰ってしまったMYダーよ。

グリグリ～～グリグリ～～～グリグリ～～グリグリ～～～
グリグリ～～グリグリ～～～グリグリ～～グリグリ～～～

15分後には君のシャツはだんだらまだらのみどりいろ～～ん。

ざまーーーーーーみろーーーーーーーーー！！！

私は勢いよくまわり続けるプチセンタッキを
激しくこみ上げる笑いと共に眺めていた。

すると。

グリグリ～～ガッっ、グリグリ～～～ガガッ。

ん？

ガガっ。ガガガーーーーー
ガーーーーーーーーーーーーーーーー！！！

センタッキが高速回転を始めてしまった。

これぞ暴走・・・

レディガーーーーーーーーーーーーーーーー！！！
ガーーーーーーーーーーーーーーーー！！！
ガーーーーーーーーーーーーーーーー！！！

	レディー・ガガのすべて
	中村 有以
	ソフトバンククリエイティブ

 

どうやら止まらない兆し。

......

まっ、いっか。とりあえず昼寝でもしよう。

＞おい！！

数時間後、昼寝から目覚めるとセンタッキはまだ回っていた。
激しく波打つ緑色の水。
私はそっとバッグだけを救出し、
Myダーのシャツはそのまま放置することに決めた。

ちなみに。

色はさることながら、
形まで無惨にも変わり果てたシャツに絶叫するであろう
Myダーへに用意した言い訳はこうである。

『今日さ～突然宇宙人がやってきてさ～
変な緑色の洗剤入れてったんだよね～
びっくりくりくりくりっくり～～～～～～～』

通用するわけがない。

が。

私はこの言い訳で夕べのイモの件に免じて
チャラにしてもらうつもりだ。

食い物の恨みはそら恐ろしいのである。

センタッキはまだ回り続けている。

ガーーーーーーーーーーーー！”！！

 

ちなみに、うちの洗濯機はこれ。

	大好評！電動バケツ洗濯機【容量１０?】・ＫＪ−９５０
	インターファーム
	インターファーム

 

涙の早弁

今日は３月１５日。

ワタシの３rdアルバムの発売日でもあり、
ウチのかーちゃんの誕生日でもあり、
ついでに言ってしまえば結婚記念日なんかでもある。
なんだかアニバーサリーオンパレードな日だ。
カラッと揚がった唐揚げでも食べたくなる。



そう。

カラアゲ。

唐揚げといえば...
学生時代からずっとつきあいのある
ワタシの愛すべき友人Mの弁当にはいつも唐揚げが入っていたのである。
しかも、その唐揚げを見事といわんばかりに
お洒落なサラダ菜で美しくデコレートし、
驚く事なかれ、
通常メインにふんぞり返るはずの赤いタコさんウインナーや
タマゴ焼きが脇を固めているのである。
そして、ふりかけがほどよくふりかかった一口サイズのプチおむすび。
デザートはかわゆく耳をそろえた定番ウサちゃんリンゴが勢揃い。
当然、弁当箱もキャラクター系に三つ又のフォーク。
もうここまでくると嫌みを通り越して、
ため息がこぼれるほどの弁当そのものが個性あふれるアートなのである。

それにひきかえワタシの弁当は
左手にぴったりおさまるサイズの鶏のもも肉に白飯のみ。

工夫も何もあったもんではない。

しかも、年頃の娘が左手にワシっと握った鶏のもも肉に食らいつきながら
右手で白飯をかっこむ姿は１００年の恋も冷める姿そのものである。
少なからず女性に産まれてきた以上、
目の前でラブリーな弁当をキャッチーなフォークで
ほおばっている友人Mと比べれば
さすがに何か言い知れぬ目に見えない危機感を感じるものだ。
そこで。

...かーちゃん...
ワタシもたまにはMちゃんみたいな個性的な弁当が食べたいなぁ

っと、ある日ぼやいてみたのだ。
すると、母はフテキな笑みを浮かべながらうなずいたのだ。

『分かった』


...嫌な予感は的中した。


フタをあけると紫の世界。
ほのかに漂う年寄りの入れ歯の香り。
すきまに見え隠れする白飯のグラデーション。

それは。

赤シソが白飯にかかっただけの究極のシンプル弁当だった。

ワタシは目を疑った。

だが。

同時にもしやという希望もあったのだ。

もしかしたら、このシソ弁当の中をほじ繰り返してみたら
お宝ザックザックのごとく、
ご飯の真ん中の層あたりから
卵焼きやら、ウインナーがでてくるのではないかと。

しかし。

そんな期待は淡い夢物語のごとく儚いものであった。
人目を忍びバッグの中で弁当に指をつっこんで確かめてみたものの
何ひとつ出てこなかったのである。
せめて、ゴマぐらいはでてきてもよかろうに...
と悪あがきをしたものの。

かーちゃん....

さすがにその日のワタシは皆の前にその弁当を出す勇気がなく、
２時間目の休憩時間に早弁で腹におさめる事にした。
歴史の教科書を弁当箱の前にたて、ものすごいスピードで
赤シソ弁当をかっくらっていると
背後から友人Mの声が聞こえたのだった。

『私も一緒に早弁するよ～』

乙女心にもイチバン見られたくない相手だった。
ワタシはあわてて弁当のフタをしめようとした。
だが、焦っていた為手元がくるって弁当のフタが床におちた。
慌てふためきながら咄嗟に歴史の教科書で弁当にフタをして
床に落ちたフタを拾おうと身体を乗り出した所
彼女はワタシの机の横にイスをさっさと置き、
いつものラブリー弁当箱をひろげたと思いきや
定番のカラアゲを教科書のすきまからそっと
ワタシの赤シソワールド弁当の上に置いたのだった。

『一緒に食べよ』

涙がでそうだった。

それ以来。
ワタシは唐揚げには赤シソ飯と決めている。
かーちゃんの突飛でもない思考回路もさることながら、
ラブリーな弁当と共に友人Mのさりげない優しさの味が
よみがえる気がするからだ。

ちなみに。

そんな心優しい友人Mは、

今でも変わらず私の愛すべき友人関係を築いている一人でもあるのだが、　　　　　実はものすごい天然おじょーキャラであり、
彼女の数々に渡る武勇伝はここでは全て語りきれない程に及ぶ。
その話はまた別の機会にでもとっておくことにしよう。

そろそろ、朝が来る。
ワタシの脳みそがラブリーになりつつあるようなので
今日はこれにて。