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年金暮し団塊世代のブログ

男寡になった団塊世代の年金の現実と暮らし向きをブログで。 今や仕事になった鳥撮り(野鳥撮影)の成果もアップします。

フェルメール作品メモ(#26)  女主人とメイド

2009年06月17日 | フェルメール

Mistress and Maid, 「女主人とメイド」
c.1667, oil on canvas,
The Frick Collection, New York, USA


#20/手紙を書く婦人」(c.1665)は、オランダ絵画に数多く見られるテーマであり、フェルメールも他に二つの作品、この絵「#26/女主人とメイド」と「#31/傍らにメイドを待たせたまま手紙を書く婦人」(c.1670)を残している。
 オランダ絵画では、手紙を書く婦人のテーマはほとんど常に「恋」に関係している。 フェルメールの他の二つの作品では、手紙を届けたか返信を待っているメイドが描かれているが、「♯20/手紙を書く婦人」に物語性はほとんど無い。

「#20/手紙を書く婦人」に製作年は示されていないが、その構図とテクニツク、婦人のコスチュームやヘアースタイルは、1660年代中期の他の絵と似ている。 例えば、婦人のエレガントな黄色のジャケットは「#17/リュートを持つ女」(c.1664)、「#19/真珠のネックレスを持つ女」(c.1664)、そしてこの絵にも描かれている。 またテーブル上のインク壷と装飾子箱はこの絵に描かれているものと似ている。 白テンの毛皮が付いた黄色いサテンのジャケットは、フェルメールの死後に作成された財産目録に記載されていたものと同じものと考えられており、この絵「#26/女主人とメイド」にも描かれている。

#30/ラブレター」(1669-70)の届いた手紙への不安の描写はこの絵から出て来たものである。 少し開けた口と不安気な眼で見上げる女主人の反応は、両方の絵で同じである。
 この絵の女主人の不安は未解決のまま残されているが、「#30/ラブレター」ではフェルメールは女主人の心配は思い過ごしであるという事をメイドの笑っている表情でほのめかしている。 このメイドの判断は、その後方の壁に掛けられている静かな風景画が補強している。 オラングの象徴学では、静かな海は恋の良い前兆を意味しており、その上方にあるのどかな風景画も同じ意味を持っている。