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浴衣の仕立て … 高校の教材として 仕立ての相談を受けました

2010-05-19 | 着物
友人が 高校で家庭科の教諭をしています。

選択科目で 浴衣を縫うことになったので 相談にのってほしいと言われました。

そして 今日会って 教材としての浴衣をみて 唖然としてしまいました。


学校に持っていく雑巾さえ 売っている 今の日本。

ミシンのない家庭なんて ちっとも珍しくなくなってしまいました。

ボタンが取れた服のボタンつけさえせずに 処分するうちもあるといいます。

このような家庭環境で育った子どもたちは ミシンを使った手作りも四苦八苦。

それでも 興味を持ったり 好きな子は 選択教科として 服飾領域を選んできます。

そんな子供たちには かなり教材を絞り込まなければ 一枚の服を完成させることは大変難しくなってきました。

しかも 男女共修です。

今では エプロンやハーフパンツ パーカーなど 作る教材の型紙を布に直接プリントして売っています。

プリントは 出来上がり線と 縫い代の両方が記されているのです。

縫い代の意味さえ わからない高校生だっています。


いつの間にか ゆかたまで 和柄の広幅生地にプリントして 教材として売られるようになってきたようです。

その 教材を使っての製作だということを 実物を見せながら教えてもらいました。

浴衣は 和服のはずで 和服は 一幅の直線を組み合わせて仕立ててあるのですが、教材は まずそこから違いました。

衽先も斜めにカット 袖の丸みも まあるくカット そして 衿肩周りも 洋服と同じように衿ぐりの形にカットするように プリントしてあるのです。

ちょっと昔と違い それまでの被服製作の絶対量が少なくなってきているので 洋服みたいに 出来上がりの形に縫い代をつけてカットするのもやむを得ないかもしれません。

しかし その後の 仕立て方の説明をみて これはないでしょうと 思ってしまいました。

後ろ身頃は 二幅でプリントしてあり 背縫いは中心で二つに折り 1センチの縫い代でミシンがけする。 とあります。

これは 問題ないでしょう。

しかし その後 その輪の部分を耳くけするとあるのです。

さらに 脇線も衽付け線も すべて鋏でカットしてあり 裁ち目があるのに ロックミシンをかけて 耳ぐけする。 となっています。

耳ぐけのやりかたのイラストまであるのです。

相談は その耳ぐけと 三つ衿芯と衿芯をどうするかの相談でした。

脇や衽付けの縫い代は1センチになっています。

耳でないところに 耳くけはないでしょう。 と 私。

彼女も同意見。

ロックミシンを 普通のミシンでさえあまり使ったことのない生徒に使わせるのも 心配じゃない? 洋服と違って ロック掛ける長さも長いし。 と 私。

彼女も不安は 同じ。(ちょっとでも油断したら 縫い代がなくなることもありそうです)

ロックミシンをやめて ミシンでもう一本縫うのはどうかしら? と 私。 

それで ほつれないかしら? と 彼女。

大丈夫でしょう。 と 私。

三つ衿芯で なぜ必要だった? もう忘れてしまったわ と 彼女。

普通は 反物に衿肩開きの切り込みいれて 衿付けの時に開くと その部分が布がなくなるから 補強の為に必要なんじゃないの? と 私。(ほんとか どうかは わからない)

でも このように 衿付け周りの縫い代が 2センチにカットしてあれば 三つ衿芯20センチちょっとつけても 役不足よね と 私。

それから 色々検討し 掛け衿もあることだし 衽下がりより ちょっと下までは二重になるから 接着芯も必要ないでしょう。 と いうように 落ち着きました。

教材は 色々理由があって このようになっているのは仕方ないとしても 反物の見本と 反物から仕立てた ほんとのゆかたの見本は 必要じゃないかしら? と 私。

私もそう思っているのよ と 彼女。

この教材用のゆかたの作り方を書いた人は たぶん 和裁や着物に関しての知識はない人なのでしょう。

そうでなければ ロックミシンでほつれどめしたところに 耳くけ とか わの部分にも耳くけ とか 繰り越し揚げをわざわざつけて 揚げのわの部分も耳くけする なんて 説明書きなど出来ないはずです。


出来上がったゆかたは 秋の文化祭で 展示されるそうです。

高校で ゆかたを縫っているんだ と 作品を見て 感心されるのでしょうか?

それとも 形はゆかただけど 裏をみて あるいは 裾や妻下や 袖口 振りなどが すべて ミシンがけであることに びっくりされるのでしょうか?

一つの学習教材を見て いろんなことを考えてしまいました。



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