鹿児島の空港に着き、建物の外に出ると、足湯が迎えてくれる。
「おやっとさあ」=(お疲れ様)と。
ちょっとでも時間があれば、靴を脱ぎ、足を浸けると、ほんとに疲れが消えていく
流れるお湯はもちろん、温泉。
そしてかけ流しと説明がある
鹿児島のシンボル、桜島のミニチュアもある
鹿児島の空港に降り立つと、胸に吸い込む空気や目に入り込む光りの色に、故郷に帰ってきたんだと強く意識させられる
私にとっては嬉しく懐かしい気持ちだ
と、昂揚していたのは 鹿児島市街地の手前までだった。
対向車線をすれ違う何台かに一台が、桜島の灰降の直撃を受けて真っ黒に汚れている。窓を閉めて走っていても、硫黄の臭いが車内に入ってくる。
毎年、夏の鹿児島市街地は悲惨だ。
風にのった噴煙は、薩摩半島方面に流れ、市街地に落ちる
窓を閉めていても、なんとなく家中もざらつくし、洗濯物は外に干せない
自宅の敷地内に降った灰は、掃き集めて市の指定の袋に入れて、集荷所まで持って行かなければならない。
重たいので水で流すと下水溝や下水道に沈み、流れない
掃き清めた後は散水して樹木に積もった灰を落とさなければならない
こういう一連の後始末が一年のうち何十回と繰り返される
経済的負担も馬鹿にならない
だけど、日常の会話で苦労を話題にしても、鹿児島のシンボルの桜島を恨むでもなく、鹿児島を脱出しようともしない。
なんだかんだ言っても、住めば都なのだろう
まだ住み続けられるから、いい。
東北の津波被害にあったり福島原発で故郷を終われた人々のことが頭をよぎる。
残念無念の気持ちは、言葉にならないほどだろう
大津波に飲み込まれるような土地であっても、放射能で汚染されてしまっても、出来ることなら、同じ場所、近い場所に住みたいと思う気持ちが、よくわかる。
私たちは、流浪する民族ではないんだもの
と、そんなことを考えながら走り抜けた一昨日だった