りびんぐゲーム星里 もちる小学館 |
このマンガはおもしろいっすよ!!
バブル期はなやかりしころに一時代を築いた小学館『ビッグコミックスピリッツ』(もちろん現在も数々のヒット作を世に送り出しています)。ちょうどそのバブル末期からポストバブルにあたる1990年から3年間の連載ですが,格差社会や耐震偽装問題などまじめにコツコツ暮らしている人たちが自分や家族が安心して暮らせる場所をなかなか手に入れられなくなっている今の社会,ニート・フリーター問題など若者が前向きな一歩を踏み出せない閉塞感に満たされた今の世相にあって,全く古さを見せない名作でございます。
とにかく「自分の居場所さがし」をテーマに作品を描かせたら国内に並ぶ者のない,まさに第一人者といっていい星里もちる氏の出世作。
◆手狭な部屋からようやく引っ越したばかりの不破雷蔵。ところが,職場の事務所が入居するビルの欠陥建築問題で彼が住むアパートの部屋に引っ越してくるというハチャメチャな出来事から話は始まります。さらに突然新入社員として上京してきた15歳の少女氷山一角(ひやま・いずみ)を,住む所が決まるまで住まわせることに(15歳少女の一人暮らしなんて,貸りられる部屋がそう簡単に見つかるわけがない!)。わけありで島根からたった1人上京してきたいずみ,人当たりのよさで特に苦労もなく過ごしてきたものの将来の先行きにビジョンもなく自分の針路に悩み始める25歳不破雷蔵。互いに憎からず思いながらも年齢が年齢だけに「先輩と後輩の関係」として一線はなかなか越えられない。この2人の恋愛とそれぞれの“自分探し”の結末や如何に?!
おせっかいで必要以上に賑やかなご近所さん(同僚)たちに見守られ(からかわれ)ながら主人公が不器用ながらも成長し恋を育てていくというストーリーのベースは同じ『スピリッツ』で連載された巨匠・高橋留美子作『めぞん一刻』と相通ずるものがあると説明すればわかりやすいかと思いますが,もちろんオマージュとかインスパイヤとかそういうことは全くなく,正真正銘のオリジナル,星里ワールドが炸裂した名作でございます。
とにかくキャラがいい!いずみちゃんの可愛さや雷蔵の優しさはいうに及ばず,他の登場人物も生き生きしていて,迷ったり悩んだり怒ったり嫉妬したりしてるのに作品全体がすごく明るい!みんなそれぞれ真面目に生きていて,悪い奴がいない!すごい憎まれキャラとして登場した人物(いずみの父や元彼・福永)さえも最終的には愛さずにいられなくなる,そんな強烈な魅力と,読み始めたら止められなくなる軽快なテンポと展開のパワーにあふれた作品。超おすすめであります。
ルナハイツ結婚目前で婚約者に逃げられた男・南條隼人が同僚の女子社員4人たちと同居する羽目になる話 |
星里作品としては,『ルナハイツ』が安田美沙子さん主演で昨年映画化され(→DVD),続編も予定されています。このほか『結婚しようよ』『夢かもしんない』『オムライス』『本気のしるし』など,多作ではありませんが出す作品はいずれも秀作揃い。
これら“『りびんぐゲーム』以後”の作品も,ストーリー構成の巧みさ(重要な女性が謎を秘めていることが多く,ついつい引き込まれてしまう)や登場人物の心理描写の深さがすばらしく,映画化されてもおかしくないものばかりなのですが,今回は私の個人的思い入れの強さと,作家の成熟ぶりに伴って“大人の”物語になっている(しかもほのぼの系からシリアス度が増す傾向にある)最近の作品よりも“若い”勢いの魅力あふれる作品をドラマで見たい!という気持ちから『りびんぐゲーム』を「ドラマ化希望コミック」として指名したいと思います。
■スピリッツ作品といえば,超赤裸々系の『あさってDANCE』とか『きまぐれコンセプト』はともかく,『東京大学物語』や『ジャンク・ボーイ』,あの名作『めぞん一刻』や超ロングセラー『美味しんぼ』にも共通する(した)のが「いつ主人公はヒロイン(本命)とやるんだ?」という一大ゴール(この呪縛wから逃れられたのは巨匠・浦沢直樹先生のみ…と言ったら大袈裟ですがw)。この作品もご多分にもれず,2人が1年以上も一緒に住んでいながら初キスは全10巻のうちの第6巻,もしていないことに「君らバカ?!」とつっこまれるなど(「いいじゃんか!そっとしてやれよ」と読者は感情移入してしまうんですな。自分自身の普段の倫理観はさておいても),「同棲してるのに大人の関係じゃない」という関係にいつどのような形で終止符が打たれるのかというのがストーリーの重大な軸の1つとなっているんですね。また,裸のシーンもなくはない(うっかりパスタオル一丁で部屋の中をうろうろしちゃうといった,いやらしいというよりかわいいシーンが主ですが)。
それだけにドラマよりは映画向きな話なんですけれど,やっぱりあのたくさんのキャラの魅力を引き出すためにも2時間におさめるよりは(CMを差し引いて実質)45分×11~13回≒9時間たっぷりかけて2人の成長を見守りたいなぁと勝手に思うわけです。
そんなこんなで,勝手にキャスティング,いってみたいと思います。
不破雷蔵…伊勢谷友介さん
76年生まれの今年30で物語冒頭の雷蔵の年齢より5歳年上になりますがそのナイーブな雰囲気は優柔不断で付和雷同、けれど大人の男であろうと誠実につとめる雷蔵のキャラにマッチしていると思います。『雪に願うこと』と違って殴られるシーンはないから安心してね(多分)。
氷山一角…宮崎あおいさん →公式プロフィール
とにかく,この作品の魅力はいずみちゃんの存在に負う所が極めて大きく,彼女に適役の女優さんが見つからなければ実写化する意味がないといっても過言ではない。15歳から18歳までのどの時期に焦点を当ててキャスティングするかにもよりますが,やはり重要視したいのはピュア感と透明感。というわけで,2000年には既に映画主演(ベルギー王立フィルムアーカイブGPで「黄金時代賞」受賞),2002年クノールカップスープCM,2004年ラジオ版セカチュー(TOKYO FM)主演,そして『NANA』『純情きらり』で堂々主役を張るもうトップ女優の一角に顔を出している彼女だけに“抜擢”といってしまうと今さらという感じがしますが,朝の連ドラヒロイン史上屈指の十代といえる(実年齢は今年21ですが…)彼女の『りびんぐゲーム』をぜひ見たい。
他の候補ですが…堀北真希さんも17歳で実年齢はストライクゾーンなのですが大人びすぎ。幼い→童顔という図式で,安達祐実・池脇千鶴系のあまりロリロリしたルックスの子になるとまたちょっと違うかなという個人的考えです。『がんばっていきまっしょい』や『ギャルサー』でおなじみ佐津川愛美ちゃんもかなりいいんだけれど,少しだけツンデレテイストがほしい。元ウゴウゴルーガのルーガちゃん役で有名な小出由華ちゃんなども魅力的ではありますが,小悪魔的にまでいってしままいそうで,それはまた困るw。あと,挙げるとしたらどうでしょう…6月末で15歳になる夏帆さん(11代目リハウスガール)くらいでしょうかねぇ。
◆ナミフクDMサービスの面々
社長…戸田恵子さん
原作では,見るからに『やっぱり猫が好き』(もたいまさこさん・室井滋さん
・小林聡美さん)的な,元気にしてまったり系の女性をイメージしたキャラですが,
実写版にするとなるとテンポのいいやり手系のキャラを強くしたい。
というわけで。
そういや,『純情きらり』では戸田さんと室井さんがバチバチ火花散らしてますね。
ああ,友近さんでもいいや。
難波さん(プログラム&デザイン)…ともさかりえさん
とか,高橋由美子さんとか,そんなところかなぁ…。
千石さん(営業その他)…オリラジ藤森(別に中田のほうでもいい)さん
まずまずの好青年ながら,雷蔵にお見合い話が来た時に
逆玉を狙い,雷蔵になりすましてその女性社長と会っちゃうなど
けっこう抜け目のないところも。こういう憎めないちゃっかり
キャラの若者というと,お笑い系かなぁ…ということで。
千里さん(経理)…鴻上尚史さん
その役目を他の登場人物にシフトするなどの原作からの変更が可能っぽい
キャラなので,若い人に変えても女性に変えてもなんでもあり。
とりあえず善人キャラということで。
◆兼森時子…深津絵里さん
雷蔵の元カノで既婚。雷蔵が引っ越しする際にお金を彼女から借りたり
夫婦ゲンカして家を飛び出しては雷蔵の部屋に転がり込んでくるなど
元カノ=他人とは思えないあけすけな態度をとるので一角は気が気じゃない。
というわけで,時子も重要な役ですよねぇ~。
元カノって,その女性を見れば男の人となりが見えてくる存在ですから
あんまりチャラチャラした子だと「ちょっと待て!」とツッコまれ,
お茶の間の空気が冷めまくってしまう。
コケティッシュすぎない程度にかわいい人にカラッと「女友達」を演じていただくと
いうことでインテル入ってるのCMの「お待たせ~」でもそんなベタベタした
感じがしなかった深津さんを一番指名。
カラッとした感じで等身大のタイプの女優さんてなかなかいないなぁ…
スラッとした長身のモデル体型じゃイメージ違うんでね。
しかし,ああ…彼女も30過ぎだw
◆兼森万夫…升毅さん
この作品の登場人物の中では最も濃い部類に入るキャラ。
建設会社の社長で,男は強くてなんぼ,稼いでなんぼのマッチョ思考のワンマン。
しかし時子はそれに黙ってついて行くタイプじゃないので
しょっちゅう夫婦ゲンカするのだが,結局すぐ元のサヤに戻ってラブラブチュッチュ
という傍目に迷惑な夫婦w。かなり浮き沈みの激しい人で,一時は
会社の倒産で,夫婦そろって雷蔵の部屋に転がり込むというトンデモぶりも。
オッサンの部類に入るけどエネルギッシュで時子の旦那でも不釣り合いじゃない,
そして剛腕キャラも演じればデレデレモードにも入れる人…ということで。
他では,どうでしょうね…館ひろしさんではコワモテすぎるし(『免許がない!』の
頃ならともかく),堤真一さんとか不自然じゃないけど逆にもう少しギャップがほしい。
高橋克典さん…万夫さんは相撲弱いし,イメージ違うなぁ。
時代劇で20代も演じている中村雅俊さんなんてのも面白いかも。
・秘書・駒田…段田安則さん
万夫の忠実な部下でなんでもできる超人秘書。
◆一角の父…大杉蓮さん
十代~二十代の子を持つ親の役ならどんな役でもできてしまうので
大杉さんをキャストするのは安易な気がしないでもないですが。
厳格で,医者を継ぐ夢を一角に負わせ,勉強に駆り立てておきながら
弟が生まれるや,跡継ぎ息子が生まれたので「もういい」と梯子を外す
非情な父。彼は彼なりに娘のことを思っていたのですが…
彼女が高校入学早々に退学して上京に追いやったのも
そうせざるをえなかった理由が。
◆福永……
一角の故郷の元彼。「いずみは俺の女だ」と雷蔵に喧嘩を売るなど
ガキっぽさ丸出しで,一角にとってもどちらかというと“今カレ”の
雷蔵に対する負い目的な存在。
島根を離れる際に約束を破ったことで一角の心は彼から完全に
離れていたのだが,これはこれで事情があって…。
高1か高2くらいのピンポイントの設定なので,
このくらいの男子,よく知りませんわ。
原作の顔はかなりベビーフェイスに描かれているので
実写だとジャニーズJr.かジュノンボーイ系のかわいい系の男の子ってことに
なるのかな…小池徹平くん系統のイメージですが。
◆一角の弟・勇太…鈴木翔吾くん
かわいければ誰でもいい。いずみちゃんの弟だけに顔の整った系で。
◆倉本兄妹…劇団ひとりさん,水川あさみさん
雷蔵のアパートに住む,チェロを弾く演奏家兄妹。
兄は一角に,妹は雷蔵にほれてしまい,とにかく2人の仲を壊そうとするのだが
することなすこと逆効果に。不機嫌になると表情が極端に険しくなり
楽器を演奏する音も破壊的に酷くなるという面白いキャラ。
こんな屈折ぎみのキャラは菅野美穂さんのお得意路線だが,
20代前半の設定(できれば音大生)はキープしないと,ということで。
兄も,真面目に汗をかくほど面白いキャラなので,真面目キャラの役者さんとも
考えましたが,安易と言われてもここは劇団ひとり氏で(なまりは無しでネ)。
なんかすごい兄妹だなw
◆杉田ひとし…小市慢太郎さん
雷蔵らが引っ越した欠陥マンションを設計した建築士。
手抜き工事のせいで自分の手がけた建物が無惨な状態になっているのを見かねて
勝手に入りこんでは修繕して回るこだわりの男。
住む人のことを一番に考えて家造りに取り組む彼の姿に感銘を受けた雷蔵は
20代半ばにして建築士への道を志すようになる。
この人,要するに性格は偏屈です。
誰がいいかなぁ…佐々木蔵之介,勝村政信…もうひとひねりほしいなぁ…
本木雅弘(もったいない!),古田新太(狙いすぎだ!)
…ということで,ひびやん(救命病棟24時より)こと小市さんに。
って,彼の年齢でこんな情熱キャラやらせたらマジで変人だってw
◆ボロ家のじいさん…品川徹さん
イメージは天本英世さんなのだが,惜しくも亡くなられている。
内藤陳…ダメだ。気むずかしさと優しさの演じ分けも何もあったもんじゃない。
中尾彬さん,江守徹さん…『いつもふたりで』の黒沢年男さんはナイスキャスト
だったなぁ…しかたない,ここは大河内教授にお出ましいただこう。
次点で寺田農さん。
ほかにもいっぱい魅力的なキャラクターが出てくるんですけどこのへんで。
星里作品を見たことがないという方はぜひご一読を。
知っているという方,こんなキャスティングでいかがでしょうか?
シネマナウ
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