眉山さだ まさし/幻冬舎 |
■映画『眉山-びざん-』キャスト 松嶋菜々子…河野咲子 宮本信子…河野龍子 大沢たかお…寺澤大介 龍子の入院先の医師 円城寺あや…大谷啓子 龍子の世話をする介護福祉士 山田辰夫…松山賢一 飲み屋「甚平」の主人。 昔龍子に助けられ龍子の飲み屋で働いていた。 黒瀬真奈美…咲子(14歳) 永島敏行…島田修平 龍子の主治医。 中原丈雄…小畠剛 徳島市大病院の院長。 金子賢…吉野三郎 新人で売れていた頃,龍子の店で飲み 態度をたしなめられるがそれが縁で彼女を慕う演歌歌手。 本田博太郎…綿貫秀雄 旅行代理店で働く咲子の上司 夏八木勲…篠崎孝次郎 咲子の父。東京の小さな病院の医師で 患者さんたちに慕われている。龍子と愛し合った頃には 既に家族が有った。徳島が故郷。 |
阿波踊りのシーン,圧巻でした。
まさにお祭,人々であふれかえる街の様子(エキストラ14200人!),
本物の阿波踊りの直後に有名「連」が大挙して参加,
絢爛豪華で熱気に満ちあふれた阿波踊りの光景はすごいの一言。
「徳島の人は阿波踊りの何ヶ月も前から心がそっちへ行ってしまって
熱心に練習に打ち込むっていうけど,あんな感じの低い腰の動きで
あんなふうに手をちゃっちゃやってるだけでしょ?」と思ってましたが
振り付け・動き自体キレがいいし,デタラメ踊ってるんじゃなくて
皆きっちり揃ってるから連のメンバー全体が一体になって1つの踊りを
踊っている感じ。見ていて強烈なエネルギーが伝わってきました。
いい意味で懐かしい地方都市,ふるさとの雰囲気を残した徳島の様子,
まさに眉のようなゆるやかな輪郭で横たわる眉山,
ゆったりと見る者を包み込むようなたたずまいも印象的でした。
見れば徳島に行ってみたくなることうけあいの映画です。
で,物語の本筋,主人公である咲子と母龍子が
分かり合えるのか,咲子が母親の愛情を確認できるのか
という点なのですが…
淡々と,物語を目で追っていって,
普通に,いい話だな~~~~~~~。
という印象でした。
大沢たかおさんの寺澤医師,いい兄ちゃんやな~。
お父さん,いたね~。無事会えてよかったね~。
いい人で,いいリアクションでよかったね~。
で,阿波踊りのその夜………いた!
よかったよかったよ…。
お母さんが「夢草会」に登録(献体に申し込み)していて
咲子もその意志をきちんと受け止めることができて
エンディングも静かにしみじみと愛にあふれたいいものでした。
レミオロメンの音楽もバッチリこの映画に合った,
心にしみいるいいものでした。
なのですが…
僕としては普通にいい話という感じだったんですね。
おそらく,この話,「泣ける話」として見て欲しくて映画化されたのだと
思うのですが,泣けと言うには,龍子さんがあまりにも完璧な人間すぎて
最後まで気丈な,凜としたおりゅうさんを通して逝ってしまったので
感情移入できるところまで下りてこないで
高みを走り続けたまま退場してしまった印象で,
涙腺には響かなかった。
彼女がどんなに辛い思いをして1人で娘を大事に育ててきたのか
娘が私生児である事実を隠さなければならない辛さとか
(彼からの送金があったにせよ)女手1つで子を育てる諸々の苦労とか…。
娘である咲子の視点から描く以上,龍子の心の中は決して覗けないわけで
そのへんを映像で描くのはすっごく難しいと思いますけどね。
病状が悪化して,体が弱くなった,それとなく気弱に見える瞬間もあったのだけれど
やっぱり,10年のブランクを経ても伊丹映画『マルサの女』『あげまん』
『スーパーの女』で何があっても負けない,
愛嬌と実力を兼ね備えた完全無欠のヒロインを演じてきた
宮本信子さん,ここに健在という感じだったかなぁ…。
原作は読んでいませんが,おそらく,父・孝次郎が龍子(と咲子)に宛てて
書いた数々の手紙の文面,そして,龍子が献体にあたって遺した
メッセージカードのことばを小説で読むとブワッと泣けたんだろうな
と思います。きっと原作でもここがツボだったろうし
絶対泣けるはず。
原作読んでみよう。
阿波踊りと眉山の映像プラス原作の心情描写で完璧なハズ。
こんな感想を書いてはみましたが,感想を書くにあたってチェックしておこうと
見てみた公式サイトは,イントロとかストーリーのページなど
映画の場面場面を切り取ってとっても雰囲気を盛り上げてくれる,
いい感じに美しくまとまっています。
映画『眉山-びざん-』公式サイト http://bizan-movie.jp/index.html |
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