あのねぇ…,嫌われ松子の一生by山田宗樹/幻冬舎,
読みましたけど,
なんてもんを読ませるんだ!
って最初思いましたよ。
あまりにも酷い,不条理な仕打ちじゃないですか。
新人の中学教師であった松子を,修学旅行の下見にかこつけて
旅行業者とぐるになって襲う校長,
旅行当日には宿の金をパクってゲロしない不良生徒,
この校長は盗難事件が噂になったことをネタに松子がクビに追い込み
不良野郎はとどめを刺しやがった。
痛い!なんたる悪意!
好意を持ってくれていた人々も守ってくれない!
第一に,一番の味方でいてくれないといけない家族が守ってくれない!
思いっきり不幸の連続・転落人生。
で,この物語のキモなのが,この不幸を避けるべきポイントごとに
松子自身の行動がすべてを招いてしまっていること。
「生きるのに不器用」という表現では済まされない,
読んでて思わず引いてしまうような,すさまじい選択ミスの数々。
誰が見てもどうしようもないクズ男とくっついて離れられず,
誠実ないい男が呼んでくれてもそちらに走らず残ってしまう,
最初の盗難事件にしたって,勝手に事件そのものをもみ消そうと
自分がやったと被ってしまったり,立て替え払いしようとして
足りない金を同僚の財布から失敬したりと
その瞬間その瞬間で最悪の選択をして,ドツボにはまる。
お忍びデート中に駐禁を取り締まられそうになってパニックになり
婦人警官を轢き殺しそうになった(実際にはちょっとぶつけただけでしたが)
ことで芸能人生の危機に陥ったSのI垣メンバーの比じゃない,
あのレベルのミスチョイスを半ダースセットでまとめてやってしまう,
それを人生の節目ごとに,これまでの経験も反省も生かせないって…。
まさに,真っ逆さまに墜ちてDESIREな人生…。
その気になればなんでも人並み以上にできる能力がありながら,
実際にその気になって輝いていた時があったのに。
なにより,色々な人が自分を気にかけてくれて,愛してくれていたのになぁ…
◆この小説の冒頭が,既に松子が50代で死んでしまっていて
その点からいっても気が滅入ってしまうのですが
東京で一人暮らしをしていた松子の部屋の片付けをさせられることが
きっかけで甥の大学生・笙が,それまで存在すら知らなかった
おばである彼女の人生と死の謎を追っていくというスタイルは,
松子の一人称で語られる彼女の人生と笙の動き,
それぞれがいい所で交互に入れ替わるために先へ先へと
読み進まずにはいられなくなる巧みな構成,
最初はまるっきり他人にしか思えなかった松子の人生に入り込んでいく
笙の心の動き,自分のことを頭では本当によくわかっている
聡明な人間なはずなのに,家族あるいは異性の愛情に飢えるあまり
とんでもないことをやってしまう松子の心の動きが本当にリアルで
切なくて,目を背けたくなる一方で引き込まれて目が離せない小説で,
僕は本はいつも通勤電車の中などでこま切れに読むんですが
上巻の後半からはもう一気に読んでしまいました。
さて,「D.D.のたわごと」恒例の
かってにキャスティングですが,
すでにちょうど映画化されちゃってるんですよね。
まぁ,私の中では川尻松子はエルメスこと中谷美紀ではなくて
クールビューティことイナバウワー荒川静香ですんで,
映画のイメージなどまるっきり関係無しにやってみたいと思います。
役名 | 脳内キャスティング | リアル映画配役 | |
川尻松子 | 「嫌われ松子」 | 荒川静香 | 中谷美紀 |
---|---|---|---|
川尻 笙 | 松子の甥 | 加藤晴彦 | 瑛太 |
龍洋一 | 元教え子でヤクザ | 要 潤 | 伊勢谷友介 |
川尻紀夫 | 松子の弟で家庭を壊した姉を憎む | 佐々木蔵之介 | 香川照之 |
川尻久美 | 松子の妹で寝たきり状態。松子のことが大好き | 浅田真央 | 市川実可子 |
川尻恒造 | 松子の父。松子がどんなに父の期待に応えようとしても久美のことばかり気にかける | 柄本明 | 柄本明 |
沢村めぐみ | 松子の親友でアダルト系プロ経営 | 小沢真珠 | 黒沢あすか |
明日香 | 笙のガールフレンド | 黒川芽以 | 柴崎コウ |
大倉修二 | 晩年の松子のアパート隣人 | 中村獅童 | ゴリ |
教頭 | 大川第2中学校の教頭 | カンニング竹山隆範 | |
佐伯俊二 | 好青年の同僚教師 | 玉木宏 | 谷原章介 |
八女川徹也 | 太宰治に憧れる文学青年。松子の最初の同棲相手 | 劇団ひとり | 宮藤官九郎 |
岡野健夫 | 徹也の友人のサラリーマンで小説のライバル。徹也の自殺後松子と不倫関係に | 大倉孝二 | 劇団ひとり |
赤木 | 「白夜」のマネージャー。松子をトップソープ嬢に育てる | 木村祐一 | 谷中敦 |
綾乃 | 松子の先輩No1ソープ嬢 | 杉本彩 | BONNIE PINK |
小野寺 | 松子を雄琴に連れ出すヒモ男。松子の金を使い込む | 久保田篤 | 武田真治 |
島津賢治 | 自殺を決意した松子に偶然出会い一緒に暮らす床屋 | 照瑛 | 荒川良々 |
うわ,龍洋一の役,伊勢谷友介くんですかい!
近日アップしますけど,漫画『りびんぐゲーム』のドラマ化希望主人公候補に
考えていたのにヤクザですか…。
加藤晴彦くん,もう31ですからいいかげん大学生役でもないんですが
僕のイメージ的には彼ですかねぇ。傍聴席でキレたりとかする姿とか。
『神様よりひと言』で主役に挙げた山崎裕太くん(25)もいいんですけど
ここは彼よりちょっとあっさり味の人をあてたい。
明日香の役,柴崎コウ?!ちょっと気の強そうなところはありですけど
ちょっと濃いかなぁ。
柄本明さんの父親役は,変に奇をてらわなければこう収まりますよね。
久美の役は,フィギュアつながりってわけじゃないけど,
背がひょろっと高く(手足が長い),「切れ長の松子と違って母似の大きい目」
ってところから浅田真央ちゃんのイメージだったんだなぁ。
エロ校長(映画では角野卓造さん)に代わって
セクハラ教頭がクローズアップされてますね。
あの陰湿な最初の事件は実写では見るに堪えないでしょうしR指定されかねませんわねぇ。
佐伯教諭の役は…谷原氏ではちょっとさわやかの質が違うかな。
彼だとクレバーな優男って感じで,ちょっと単純だけど健康的に明るいキャラがイメージ。
劇団ひとり氏はナイーブなイメージがあるんで岡野より八女川だな。
八女川役のクドカンについて中島監督は
「物書きの役は、本物の物書きにしかできない。さすが。」と絶賛。
確かにいい。痩せ型のイメージもあったんで賛同できる面も多々ある。
けど,他作の売れっ子作家に書けない小説家の役をやらせても適役とは言えんぞw
大人計画つながりというわけじゃないけど八女川のキレかたなんかは
阿部サダヲ氏に…なんて想像もしましたが,貧乏な役で彼にキレさせたら
ちょっと凄惨になりすぎそうでNG。
小野寺の役は,そんなに真治君みたいな男前は全くイメージしなかったなぁ…
→goo 嫌われ松子の一生 オフィシャルサイト
本人役で片平なぎさ,
女囚役に土屋アンナ,AI,山田花子という豪華(?)キャスティング。
ほか,濱田マリ(紀夫の妻),キムラ緑子(松子の母・多恵)
嶋田久作(牧師)←かってに『神様よりひと言』配役でジョン役に指名した久作さん,
やっぱゴッドつながりで牧師さん役かw
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