岳沢~前穂高岳はこちら
吊尾根~奥穂高岳はこちら
翌朝。
曇予報で朝少しでも稜線が眺められたらいいな、という願いは全く届かず、
夜中に屋根を叩きつける強い風と雨の音。
天気予報は今日の午後曇だけど、翌日も雨~雪の予報であまりよくない。
昨日雨の中を登ってきた登山者たちも悩んでいて、もう一泊しても天気の回復は見込めない、
とほとんどの人が諦めて降りていった様子。
3回目来ても登れなかったからどうしても行きたかった、という女性と数名だけが雨の中奥穂ピストンしていた。
私たちも雨が小止みになるタイミングを見計らって8時、ザイテングラートを降りていく。
小屋で最後の出発になっちゃったみたい。スイマセン。
今日もなーーーんにも見えない。残念だけど。
濡れた岩は滑るからね、気をつけて行きましょう。もう絶対転べないカラダですから(汗)
初めて歩くザイテングラート。
ガスだから高度感がなくていいのかな?でも全く先も何も見えないのもミョーな怖さ・・・
滑らないでだいぶ傾斜が緩んだところまで降りてきましたよ、転ばなかった、ほっ。
あ、ぼんやり色が滲んで見えてきたと思ったら・・・涸沢だ。
さっきまでの色のない世界から一転、眩しすぎるほど色鮮やかに染まる木々たちの脇を歩く。
雨じゃなかったら、空が青かったら、最盛期だったらもっともっとキレイだっただろう・・・
でも雨でも十分美しかった。木々たちには恵みの雨だったのだろう。
水不足で困っていた小屋にも恵みの雨だったようだし、この日に来たのも巡り合わせだから仕方ない。
雨で体中びしょびしょで、カメラもレンズが曇って上手く撮れないけど、
それでもこの美しさから離れがたく、ずぶぬれになりながらパノラマコースを下って行った。
はー、着いたー。今季初めて紅葉見れた。涸沢ヒュッテまで降りてきました。
今日の予定は下るだけだから、曇りだったらヒュッテのデッキでまったり紅葉見物しよう、
と思ってたけど・・・それも叶わなかった。ま、仕方ないね。
コーヒーで一息入れ、残念だけど降りましょう。
本当は天気が良ければ北穂高まで登りかえして泊まる、なんてよくばりプランもあったけど。
またいつかチャンスがあるでしょう。バイバイ、穂高。
下山し始めると涸沢から下がまさに見頃、といった感じでとてもきれいでした。
あれ?・・・下山始めたら前方が明るくなって、常念岳の稜線が見えていますよ??
振り返り見上げる穂高側はまだ雲の中だけど・・・嫌な予感、と下山してたら、
ものすごい速さで雲が流れ、目の前に青空が!!!
振り返れば穂高の稜線がスッキリ。
・・・なんてこったぃ・・・下山したら晴れ、よくあるパターンだけど・・・ちょっといぢわる過ぎじゃないですか?
一瞬戻ろうか?と思うほど後ろ髪引かれしばらくここから動けなかった・・・(^^;;
あと1時間遅く下山していたら憧れの稜線をこの眼で・・・いや、タラレバだよね。
あの時点では誰も晴れるなんて思わなかったのだから。自分で下山を決めたのだから。
本谷橋まで降りてきてひと休み。明日から連休だからでしょう、金曜日でもものすごい数の人達が上がってきます。
皆、思いがけない青空の出現で笑顔で・・・悔しい(笑)
でもこの時期の涸沢の混雑が嫌で週末前に下山を決めていたのだから未練はない!げざーん!
屏風岩の脇を歩く頃には、眩しくて暑いほどの晴天に。
唐松の黄色がキラキラ輝いてキレイでした。
横尾に着いたら真夏のような暑さ。
昨日歩いた”前穂高岳”が見えた。あのギザギザのどれがピークだったんだろ?
下山してきたけれど今日はまだ帰りません。
徳沢園は(当たり前だけど)満室だったので、今日は徳沢ロッヂに泊まります。
ちなみにこの時期は平日でも横尾山荘も帝国ホテルも一杯で泊まるのは不可能でした。
日曜日の朝には下山しなければならないけど、もしかして明日から天気が回復するならば蝶ヶ岳に登って、
反対側から歩いた吊尾根と穂高の山々を眺めよう、という計画だったからです。
上高地を後にしてしまったら晴れても戻れないし。
ロッヂでゆっくり久々のお風呂に入ったりして、明日の天気に望みを繋いだ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ところが。朝はやっぱりどんより。
(荒々しい前穂高岳)
夜中に唸る風の音、一晩中大荒れ。
異常気象のように暑かったこのエリアにも寒気が流れ込み、朝は普段の10月のように冷え込んでいた。
「今日はこの後、稜線は強風で雪になります、涸沢までならいいけれど稜線で吹雪にあえば動けません。
数年前の大量遭難の時のパターンと一緒ですから・・・・・・」と小屋の人が言う。
蝶ヶ岳なら大丈夫じゃない?明日は晴れ予報だもん。→蝶でも同じですって言われちゃった(^^;;
あまりにみんなにそう言っているので、こちらも段々気持ちが萎えてきて、
もういいか、無理して登らなくても、と気力がなくなってしまいました。(筋肉痛が酷くて行く気が失せたというウワサも)
多分、よっぽど過去の事故が酷かったのでしょうね。こうして忠告しないと無謀な登山者も中にはいるし。
この時期の天候の見極めは本当に難しいですね。
後で知ったけど、昨日の予定外の急な晴天は「擬似晴天」というものだったらしい。勉強になりました。
「擬似晴天」
さ。欲張っても仕方ない、帰りましょ。
連休初日ということもあり、早朝からものすごいスピードで先を急ぐ登山者たち。
上高地バスターミナルへ逆走する人は私たちくらい。いってらっしゃい!
河童橋に戻ったら来た時と同じ、やっぱりなーーーんにも見えなかった旅の終わりでした。。。
※この夜は初冠雪だったそうです。
【行程】穂高岳山荘8:15→涸沢出発(休憩後)10:40→横尾13:10(ランチ)→徳沢14:35
徳沢→上高地バスターミナル
---------------------------ここからは旅行編のおまけ------------------------------------
さて、気持ちを切り替えてここからは旅行に変更。
でも突然今日泊まりたい、と言って泊まれないのが下界の辛さですが、無理といわれると余計に行きたくなる。
上高地から観光協会に電話したらどこも満室でしたが「民宿なら空いてます」というので行って見ることにした。
こういう行き当りばったりの旅は結構ワクワクして好きだったりする私です
行き先は大好きな「飛騨高山」平湯までバスで移動、そこから乗り継いで高山へ。
紹介してもらった民宿が想像よりもとっても素敵な宿で、オーナーのオジサマもとっても親切で感じがよかった。
あの小屋番さんとは大違い(まだ言うかw)こんな素敵な出会いも一期一会。なんと素泊り¥4200♪
まだ13時だというのに部屋に通して下さり、お風呂も沸かしてくれてさっぱり。重たいザックを置いて早速散策へ。
この時期のお楽しみと言えば・・・
日本酒!あっちの酒造、こっちの酒造と試飲しながらのそぞろ歩きは、
頭の中空っぽになって楽しめる大好きな時間。昼間のお酒はなぜこんなに美味しいの
大好物飛騨ラーメンやら飛騨牛やらと高カロリー摂取で食いだおれ。
こうして私の秋休みは終わりましたが、つい先日までの忙しさから少しの間開放され、リフレッシュできた気がします・・・が。
翌朝10/13日曜日。平湯温泉からの帰り、青空の中にスッキリ浮かび上がった笠ヶ岳が見え、
やっぱり登っておけば良かった、と思ったのは言うまでもありません。
おしまい。