改めて、瀬戸際太志郎の更迭が遅れた(クビをきれなかった)背景をおさらいしてみた。
「遅すぎた山際更迭 国民愚弄政権の終わりの始まり」
「山際氏を更迭するタイミングはいくらでもあった。7月の参院選の街頭演説で〈野党から来る話は、われわれ政府は何一つ聞かない〉と言った時点で、閣僚の資質は問われていたのです。国民全体に奉仕するという政府の役割を何だと思っているのか。この暴言ひとつだけでもクビは当然で、内閣改造でお役御免にするべきだった。ですが、山際氏が所属する志公会の領袖は岸田首相の後ろ盾の麻生副総裁、山際氏の後見人は志公会ナンバー2の甘利前幹事長。本人が旧統一教会との関わりを申告せず、うるさ型の意向もあった。参院選も勝ったことだしと、岸田首相が事態を甘く見たのが大間違いだったのです。この期に及んでの更迭で、岸田首相の政治センスのなさがいよいよ露呈した。旧統一教会問題は清和会(安倍派)の問題だとタカをくくり、総合経済対策を反映した今年度第2次補正予算案が臨時国会で通ってから辞めさせればいい、と踏んでいたようです」(政治ジャーナリストの角谷浩一)
「山際氏の更迭にここまで時間がかかったのは、岸田首相が辞任ドミノを恐れているから。その可能性が最も高い時期に、後藤経済再生相の再入閣が吉と出るか凶と出るか。果たして、キッチリとした身体検査を済ませたのか。『説明能力の高さ』を高く評価しているようですから、そのあたりも織り込み済みなのか。英国のトラス前首相は史上最短の就任44日で退陣に追い込まれました。英中銀がインフレ退治の利上げを推し進める中、借金頼みのバラマキと批判が強かった大型減税を強行しようとし、通貨、株、国債がそろって急落する『トリプル安』に見舞われ、身動きが取れなくなった。市場からノーを突きつけられ、政権支持率は7%まで低迷し、政権の座から追われたのです。この国が置かれている状況も英国とほぼ同じ。岸田政権はアベノミクスを踏襲し、円安に誘導する金融政策を継続しながら、円安に歯止めをかけるべく外貨準備を取り崩して為替介入を繰り返している。その一方で、赤字国債発行頼みで20兆円規模の総合経済対策を打とうとしている。矛盾した政策を続けている上に、旧統一教会問題を抱えている。内閣支持率が下げ止まる要因はなく、真っ逆さまに底へ向かっていくかもしれません」(高千穂大教授の五野井郁夫)
日刊ゲンダイのレギュラーコメンテーターたちなので表現は上品であるが、「政治センスのない」岸田内閣の先が見えていることは共通している。
一方歯に衣着せぬことには定評があるこの辛口評論家は山際大志郎が甘利明前幹事長の側近であり、岸田首相誕生を後押しした麻生派に所属していることを指摘し、麻生、甘利、岸田という世襲のボンボン議員たちは、利権維持を容易にしたい勢力が担ぐ“神輿"にすぎず、政治の劣化の最大原因であると批判していた。
「統一教会との関係が次々判明。なぜ岸田首相は山際大臣のクビをすぐに切れなかったか?」
■ミコシは軽くてパーがいい 利権の維持のために世襲議員をかつぐ者たち 岸田文雄はなぜスパッと山際大志郎のクビを切れないか。それは山際が関係の深い統一教会に対して及び腰であることもあるが、何よりも山際が甘利明の側近であり、甘利と共に麻生(太郎)派に入っているからだ。 山際を切るのは甘利と麻生の了承を得なければならない。岸田は甘利の言うがままに山際の大臣再任を決めたし、麻生は岸田の最大の後盾である。 岸田が自民党の総裁になったのは、当時、幹事長として権勢を誇っていた二階俊博の留任を実質上ストップした作戦の成功によるものだった。党役員に任期制を導入する策を考えたのは、もちろん岸田ではなく、あるいは甘利だったかもしれない。 これによって流れは岸田に傾き、その諭功行賞で甘利は幹事長になった。しかし、衆議院の小選挙区で落選し、辞任せざるを得なくなる。 いまは亡き岸井成格は私との対談『保守の知恵』(毎日新聞社)で、安倍晋三の信頼度は菅義偉がナンバー1で、甘利がナンバー2だと言っていた。ただ、菅が「玄人受けする政治家」なのに対し、甘利は「腰の軽さを生かした御用聞き」だという。 当選回数も岸田より多い甘利は岸田を子分扱いし、「チーム甘利の一員だ」と言っていたこともある。とすれば、岸田は「御用聞きの御用聞き」ということになる。要するに安倍や麻生、そして甘利と同じ世襲議員で、現実知らずのボンボンなのである。 甘利はTTPの交渉の当事者だったが、大臣室で疑惑のカネを受け取るような甘利が、まともな交渉をしていたはずがないだろう。私はこの国の政治の劣化の最大原因は世襲の拡大だと思っている。岸田が息子を秘書にしたのも世襲を前提にしてのことであるのは間違いない。 世襲議員について「彼らには存在は許されても行動は許されていない」と喝破したのは田中秀征だった。 「ミコシは軽くてパーがいい」とヤユされるが、利権の維持のために議員をかつぐ者にとって議員が自分の判断で勝手に動き回っては困るのである。田中はその著『自民党解体論』で「彼らは、維持者としての使命を忠実に果たすために、何かしているふりをしながら、『何もしない』ことを厳しく要求される」と書き、「彼らが、選挙区や国会の廊下を足しげく動きまわるが、それは本質的に、新聞配達と同質の行動である」と続けている。 首相になる前だったが、ある所で私は岸田のスピーチを聞き、その迫力のなさに驚いたが、世襲でなければ議員にはなれなかっただろう。 宗教法人は公益性があるから認められてもいるのだが、その統一教会と自民党は手を切ると言っているのに、宗教法人としての解散は求めないというのは極めておかしい。つまりは世襲集団の自民党に公益性がないということである。 |
国会開会中の内閣の大臣が辞任という更迭を招いたことで、岸田文雄は周囲が「異例の行為」と驚いていたが、本会議で自らの任命責任と認め謝罪していたが、それで事態が改善するということはあり得ないと思うのは当然であろう。
そして岸田文雄の頭の痛い出来事が噴出していた。
この件に関しては「官邸ジャーナリスト」の田崎史郎が今朝の「モーニングショー」に出演して「大串副大臣は問題ナシ」と処分できない岸田文雄を庇っていたが、ある種の危機感を感じていたのかもしれない。
「苦戦の衆院選前『これにサインを』 大串副大臣が結んだ『政策協定』」
政策協定書を出してください。記憶じゃなくて。これで大学の教員できるんですね。政策って元からないのでとか?
— タロット (@uWBUkNcDaXwAW82) October 26, 2022
苦戦の衆院選前「これにサインを」 大串副大臣が結んだ「政策協定」:朝日新聞デジタル https://t.co/AX1FooL40e #岸田政権 #自民
大串デジタル副大臣、統一教会の「推薦確認書」に署名をしていたことが発覚‼️
— 但馬問屋 (@wanpakuten) October 26, 2022
(斎藤議員、江島議員に続き)
政務三役がこの重大な事実を隠し、何食わぬ顔でやり過ごそうとしていたわけか。
なお大串副大臣は、統一教会の被害者救済にも関わる消費者庁の担当でもあるとのこと。 pic.twitter.com/vujqehCryC
旧統一協会の意向を反映した「自民党員を国会に送る」という行為につながる政策協定書へのサインは、多くの様々な団体からの陳情を日常的に受けている自民党議員からすれば日常的なのであろうか?
党として教団の要望を聞いて政策に反映させていることは全くないと重ねて主張し、「推薦確認書と言っているが、政策協定でも何でもない。憲法改正をしましょう、家族を大切にしましょうという当たり前のことが書いてある」とこんなことを平然と認めている議員がいた。
「猫の手借りたい人は署名と世耕氏 推薦確認書内容「普通のこと」
猫の手借りたい人は署名と世耕氏 推薦確認書内容「普通のこと」
— 毛ば部とる子 (@kaori_sakai) October 26, 2022
26日収録のテレビ番組で
「党の政策と反していなければ、選挙で猫の手も借りたいような議員は、こういう普通のことならサインするというレベルだ」https://t.co/8l1ebKwylb
⇒この人、岸田内閣倒閣を狙ってるの?
自民党の「憲法を改正しましょう」とは実質的な憲法改悪であることはいまさら言うまでもないことであり、「家族を大切にしましょうという当たり前のこと」のようだが、それが含んでいる問題点は後述する。
すでに旧統一協会に取り込まれるという汚染が地方にも及んでいる。
私の地元、大阪此花区でも
— YOKO@DEMOCRACY (@granamoryoko18) October 24, 2022
合同結婚式まで出席した信者が
国会議員秘書から大阪市議となって
今も現役なんですよ!総理! pic.twitter.com/lDHnSboT88
静岡朝日テレビの番組
— YOKO@DEMOCRACY (@granamoryoko18) October 24, 2022
→自民党の藤曲たかひろ静岡県議
統一協会の信者だと認めた
10月2日放送NHKスペシャル
→自民党の板橋かずよし栃木県議
7年間 統一協会の関連団体
世界平和連合支部代表だったと認めた
こういう人を来年の統一地方選挙で
公認しないと断言できますか? pic.twitter.com/uCAIzygpwa
さて、旧統一教会が署名を求め、大串正樹デジタル副大臣をはじめ複数の自民党所属議員が応じたことが明らかになった「推薦確認書」なる文書については、次々と明らかになる政権与党と教団との不適切な関係に批判が収まらない状況となっているのだが、事実上の政策協定となる推薦確認書については、これまでより踏み込んだ検証が必要になってきている。
毎日新聞で政治部副部長などを務めた経験を持つジャーナリストの尾中 香尚里が今回、「改めて着目すべきは推薦確認書に記された内容」として、書かれていたとされる政策を精査しそこから明確になった「推薦確認書問題の本質」を解説していた。
「統一教会と自民議員が交わした悪魔の契約。『推薦確認書』が炙り出す戦後日本の大問題」
■旧統一教会が自民党議員たちに署名を求めた「推薦確認書」の大問題 自民党と「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」との関係をめぐる報道が止まらない。20日には朝日新聞が、旧統一教会の友好団体が今夏の参院選や昨秋の衆院選で、憲法改正や家庭教育支援法の制定への賛同を明記した「推薦確認書」を自民党国会議員に示し、署名を求めていたことを特報した。事実上の政策協定。実際に署名した議員もいるという。 両者の関係性は、これまでの「うっかり関係団体の会合に出席した」から、さらに一段上がったと言えるだろう。「選挙での支援」と「政策実現」がバーターだったことになるからだ。自民党は、選挙で党の応援をしてもらう見返りに、反社会的とも言える活動をしてきた宗教団体側の政策の実現を図っている、ということになるからだ。 そのことに対する批判は、筆者などよりはるかに専門性の高い方々からすでに多数出ているので、あえてここで繰り返すことはしない。しかし、この問題を考える時、単に「自民党と旧統一教会の関係の深さ」という点に目を向けるだけでは、少々足りないと思う。「今さらながら」と言われるかもしれないが、ここで改めて着目すべきなのは、推薦確認書に記された内容なのではないだろうか。それはつまり「自民党と旧統一教会が歩調をそろえて、どんな社会を目指そうとしてきたのか」ということにほかならないのだから。 各種報道によれば、推薦確認書にはこんな政策が並んでいたという。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 憲法を改正し、安全保障体制を強化する 家庭教育支援法及び青少年健全育成基本法の国会での制定に取り組む 『LGBT』問題、同性婚合法化に関しては慎重に扱う アジアと日本の平和と繁栄を目指す「日韓トンネル」の実現を推進する 国内外の共産主義勢力、文化共産主義勢力の攻勢を阻止する ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ まず憲法改正だ。ひとくちに憲法改正といってもいろいろな方向性があるが、ここでは当然「自民党が2012年に策定した憲法改正草案の実現」ということになるだろう。なるほど、改めて読み直してみれば、それは「安全保障体制の強化」に過度に偏り、現行憲法の平和主義を、こっそりとではなく、明確に捨て去った改正案になっている。 例えば前文。現行憲法にある「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」という文言が、まるまる消えている。代わりに挿入されたのが「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」という言葉だ。軍事的な「守り」だとは明示されていないが、どんな言葉が抜け落ちたのかを考えれば、意味するところは明確だろう。 改憲の最大の焦点・9条が含まれる第二章は、章の名前が現行憲法の「戦争の放棄」から「安全保障」に変更されている。条文に「戦争を放棄し」という言葉は残っているが、その直後に「自衛権の発動を妨げるものではない」と、わざわざ追加されている。この後に挿入された「国防軍の設置」については、これまでも散々指摘されている通りだ。 しかも安倍政権は「憲法を改正し、新憲法に基づき安全保障体制を強化する」という当たり前の手順すら踏もうとしなかった。2014年、現行憲法で認められていない「集団的自衛権の行使容認」を、憲法改正どころか国会での議論もなく、閣議決定で解釈を変更。翌年「後付け」の形で安全保障基本法を制定したことは、記憶に新しい。 そして岸田文雄首相は今「防衛力を抜本的に強化する」と繰り返し、政府の国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画(中期防)のいわゆる「安保3文書」の改訂に前のめりになっている。 憲法改正といえば、もう一つ「緊急事態条項の創設」(自民党改憲草案第98、99条)に大きな焦点が当たっている。緊急事態が生じた時に、首相が緊急事態宣言を発すれば「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる」ようにする、という内容だ。 緊急事態条項ができれば、政府は緊急時に国会の監視を受けることなく、法律を制定するのと同等の権力を手にする。政府に多大な権力が集中し、国会を無力化できる。国権の最高機関たる国会を無力化するということは、つまり憲法の「国民主権」を骨抜きにするのと同義である。 推薦確認書の2項目め「家庭教育支援法の制定」も、自民党の改憲草案と深くかかわっている。 改憲草案の第24条には「家族は、互いに助け合わなければならない」との文言が挿入されている。ここには、大きく分けて二つの問題がある。 一つは、家庭への公権力の介入だ。家族の助け合い自体を全否定するものではないが、それを国家が憲法に書き込み、まるで国民の行動規範のように示すことには、強い違和感を抱く。行政が積極的に家庭教育に介入し、国家が考える「あるべき家族像」を押しつけようとしている、との懸念が後を絶たない。 名前こそ家庭への「支援」だが、子育てに悩む親世代を、個別の事情に合わせてサポートするという方向性ではない。家庭教育支援法に先行するかのように地方自治体で次々と制定されている家庭教育支援条例を見れば、方向性はむしろ逆で、国家にとって好ましい子供を家庭において育て上げるよう、親世代に責任を負わせる狙いが垣間見える。 もう一つはセーフティーネットの家族への押しつけだ。分かりやすいのが菅義偉前政権だが、少子高齢化で社会保障費が膨れ上がるなか、菅氏は「自助、共助、公助、そして絆」なるスローガンで、国民に自己責任を強いる考えを示した。 介護保険制度の創設や民主党政権の子ども手当など、古くから家庭内の問題とされていた介護や子育ての「社会化」を目指してきた従来の流れを否定し、それどころかむしろ積極的に逆行させ、公助をやせ細らせるというわけだ。その責任を家庭(特に女性)に押しつけることになりかねない。 こうした問題を抱える「家庭教育支援法の制定」と、推薦確認書の3項目めに挙がった「『LGBT』問題、同性婚合法化に関しては慎重に」という項目を並べてみれば、現行憲法の第13条「すべて国民は、個人として尊重される」という「基本的人権の保障」をないがしろにしようとしているのは明らかだ。 つまり自民党の憲法改正草案は、緊急事態条項の創設で「国民主権」を、9条改正で「平和主義」を、そして家庭教育支援法の制定などで「基本的人権の尊重」を、それぞれ破壊しようとしている。現行憲法の根幹に手を突っ込み、戦前の大日本帝国憲法下での政治体制への回帰を図るもくろみがあるとしか見えない。 そして旧統一教会は、自民党が目指す国家改革の方向性と強い親和性を持っていた。「旧統一教会の働きかけによって、自民党の政策がゆがめられた」という声が聞かれるが、おそらくもともとの考え方が近い、とみる方が正しいのではないか。 その両者が二人三脚で「現行憲法によって規定された戦後社会の破壊」を目指していることが明確になったのが、今回の推薦確認書問題だ。旧統一教会は、推薦確認書によって自民党議員の選挙に深く関わることで、自らが目指す「政府に権力が集中し、批判勢力が無力化した社会」「国民にばかり責任を負わせる社会」の実現を急がした、というわけだ。 推薦確認書の問題は、単に「自民党と旧統一教会の関係の深さ」だけで語るべきことではない。自民党と旧統一教会が、選挙で連携することで一体どんな社会を作ろうとしてきたのか、それが国民の利益に合致しているのか、という観点も、忘れてはならないと思う。 |
選挙に強くはない自民党議員や世襲議員でもない連中からすれば、「票」欲しさに「推薦確認書」にサインするという「踏み絵」から逃れることはできないのであろう、とオジサンは思う。