建交労長崎県本部

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参議院選挙結果について全労連事務局長談話

2016年07月11日 19時56分39秒 | 見解・主張
2016年参議院選挙の結果について(談話)

 7月10日投開票でたたかわれた参議院選挙は、改選121議席のうち、与党が過半数を上回る70議席(追加公認含めて自民56、公明14)を獲得し、参議院でも改憲勢力が3分の2の162議席を占める結果となった。改憲の発議も可能となる重大な事態といわざるを得ない。
 同時に、戦争法廃止・立憲主義擁護を掲げる野党勢力は42議席(民進32、共産6、社民1、生活1、無所属野党統一4)の獲得に止まったが、戦争法廃止を求める広範な市民と結んで、短期日に32の一人区すべてで「統一候補」を実現して追い上げ、11の一人区では勝利し、他の多くの選挙区でも接戦に持ち込んだ。市民と野党の共同の確かな可能性を示すものということができる。この選挙結果からも、切実な要求を基礎に市民と野党の共同をさらに前にすすめ、太くしていくならば、力関係の大きな変化を実現することは可能だと確信する。

 安倍首相は選挙が終わったとたん、「憲法審査会で議論しながら、国民的な理解が高まるなかで、どういう条文か収斂していくことが期待される」などと、野党を巻き込んで改憲論議をすすめる強い意欲を示した。自民党改憲草案が示すとおり、安倍首相がねらう改憲の本丸は、9条の制約を外し海外で本格的に戦争できる国であり、また、そのための緊急事態条項の創設や基本的人権の制約であり、この国の在り方そのものが根底から問われることになる。
 安倍首相は、臨時国会に向けて大型補正予算の編成にも言及しており、格差と貧困をさらに拡大し、大企業と富裕層に富を集中させるアベノミクスの乱暴な推進がねらわれている。
 また、戦争法の具体化、沖縄名護市辺野古への米軍新基地建設、原発再稼働の推進、労働法制の改悪と雇用破壊など、世論の支持を得ていない政策の強権的な加速も確実である。
 危機感を持って反撃を強化する必要があるが、これらの政策の乱暴な推進はいずれも、安倍政権と国民各層との矛盾や亀裂をさらに深めることにならざるを得ない。

 全労連は、安倍政権の「暴走」に対抗し、全国で発展させてきた市民と野党の共同をさらに強化し、改憲策動と戦争する国づくりに反対し、暮らしと雇用をまもり改善するために、切実な要求を前面に掲げて、夏から秋のたたかいに力を集中してとりくむ。
 そのためにも、「市民が変える、政治を変える」のスローガンのもと、不断に情勢議論を深めて、経済闘争と政治闘争を一体的に強化していくことを心から呼びかける。
 日本国憲法と立憲政治、そして国民の日々の暮らしは、戦後最大の危機に直面している。そのことを改めて確認し、目前に迫った東京都知事選挙をはじめ、要求実現のとりくみだけでなく、さまざま段階の政治選で立憲勢力の総結集を追求し続け、次の国政選挙、衆議院選挙で必ず政治の転換を実現するために、たたかいを発展させる決意である。

  2016年7月11日
全国労働組合総連合  
事務局長  井上 久

西日本石炭じん肺田川訴訟が福岡高裁で結審 9月26日判決へ

2016年07月08日 11時03分09秒 | 西日本石炭じん肺訴訟

 西日本石炭じん肺田川訴訟の控訴審第1回弁論が、7月4日14時から福岡高裁で開廷されました。今回の裁判は、本年2月23日福岡地裁で、Tさんの損害賠償請求が認められたものの判決を不服とした被告日鉄鉱業の不当控訴を受けての第1回弁論でした。
 裁判では、原告のTさんと柴藤拓也弁護士が意見陳述しました。Tさんは「とにかく、日鉄に、お父さん(故人)がじん肺にかかってから、ずっと苦しんで死んでしまったことを分かって欲しいです」「日鉄の関係者に、頭を下げて欲しいです。本当は生きているうちにお父さんに、直接、頭を下げてほしかったです」と胸を詰まらせながら裁判官に訴えました。
 柴藤弁護士は、被告日鉄側が控訴理由とした「Tさんは、故一敏さんが生存中に裁判を起こし一度決定が出ているので、改めて訴訟を起こすことはできない」とする理由に対し、じん肺死が認められたことによる新たな請求であり、「請求できるのは当然」であるとする反論の陳述をおこないました。被告側は新たな陳述をすることもなく、裁判は1回の弁論で結審しました。判決は、9月26日午後4時に言い渡されます。

福岡地裁前での門前集会!

支援のみなさんに訴えるTさん!


石綿ばく露による肺がんが、審査請求で認められる

2016年07月08日 10時41分55秒 | 活動報告
  佐世保市に住むFさんは、21年10か月間に渡り内装工事や家屋解体、火力発電所でのバルブ取り換えなどの作業に従事し、石綿ばく露を受けました。平成26年4月17日佐世保市立総合病院で「肺がん」と診断され、主治医は石綿ばく露が原因と判断しました。Fさんは、佐世保労基署に療養補償の手続きをおこないましたが、労基署は石綿による原発性肺がんの認定基準を満たしていないということで、不支給決定をおこないました。
  Fさんは、福岡の建設アスベスト訴訟の報道を通じ福建労(福岡建設組合)に相談したところ、建交労長崎県本部を紹介され不服審査をすることになりました。
  担当した中里は、石綿ばく露の21年10ヶ月という期間は佐世保労基署も認めているので、「胸膜プラークの存在」か「石綿小体の存在」を示さなければ取消は出来ないと判断しましたが、Fさんは医師から手術は無理であると告げられていて、石綿小体を検出することはできません。残るは、「胸膜プラークの存在」ですが、署長が依頼した労災協力医はFさんのレントゲン写真やCTを診て「胸膜プラークは無し」としていました。
  疫学リサーチセンターの海老原勇医師に読影をしてもらったところ、胸膜プラークがあることが判明しました。海老原医師は、レントゲン写真やCT画像に矢印やマークを付けた写真とともに、「胸膜肥厚斑は肋骨内面より発症することから特に肋骨内面に沿って見られるレントゲン的なdensityの高い線状影は胸膜肥厚である。」「また、肋骨内面に認められる陰影は解剖学的に肋間動静脈や肋間筋の分布とは異なっており、densityからもextrapleurel fatとは考えにくい。」という幾多の剖検の経験と読影の経験から根拠を示しました。
  審査官もこの意見書と画像の読影を「石綿確定診断委員会」に依頼したところ、委員会の医師5人全員が「胸膜プラークは有り」と診断しました。審査官は「『原発性肺がん』であり、『胸膜プラーク所見』も『有』と認めるのが妥当だと判断」し署長の決定を取り消しました。

 今回のケースは、主治医は石綿ばく露があり原発性肺がんなので、当然労災保険から療養費は支給されるものと判断しました。しかし、他の医療保険と違い、労災保険は「認定基準」という厚い壁があり、それを満たさなければ給付を受けられないものです。さらに、胸膜プラークを読影できる経験豊富な医師がいかに重要かということを示しています。取り消し決定を知ったFさんは「言葉も出ないほど嬉しい」と喜んでいます。