西日本石炭じん肺田川訴訟の控訴審第1回弁論が、7月4日14時から福岡高裁で開廷されました。今回の裁判は、本年2月23日福岡地裁で、Tさんの損害賠償請求が認められたものの判決を不服とした被告日鉄鉱業の不当控訴を受けての第1回弁論でした。
裁判では、原告のTさんと柴藤拓也弁護士が意見陳述しました。Tさんは「とにかく、日鉄に、お父さん(故人)がじん肺にかかってから、ずっと苦しんで死んでしまったことを分かって欲しいです」「日鉄の関係者に、頭を下げて欲しいです。本当は生きているうちにお父さんに、直接、頭を下げてほしかったです」と胸を詰まらせながら裁判官に訴えました。
柴藤弁護士は、被告日鉄側が控訴理由とした「Tさんは、故一敏さんが生存中に裁判を起こし一度決定が出ているので、改めて訴訟を起こすことはできない」とする理由に対し、じん肺死が認められたことによる新たな請求であり、「請求できるのは当然」であるとする反論の陳述をおこないました。被告側は新たな陳述をすることもなく、裁判は1回の弁論で結審しました。判決は、9月26日午後4時に言い渡されます。
福岡地裁前での門前集会!
支援のみなさんに訴えるTさん!
佐世保市に住むFさんは、21年10か月間に渡り内装工事や家屋解体、火力発電所でのバルブ取り換えなどの作業に従事し、石綿ばく露を受けました。平成26年4月17日佐世保市立総合病院で「肺がん」と診断され、主治医は石綿ばく露が原因と判断しました。Fさんは、佐世保労基署に療養補償の手続きをおこないましたが、労基署は石綿による原発性肺がんの認定基準を満たしていないということで、不支給決定をおこないました。
Fさんは、福岡の建設アスベスト訴訟の報道を通じ福建労(福岡建設組合)に相談したところ、建交労長崎県本部を紹介され不服審査をすることになりました。
担当した中里は、石綿ばく露の21年10ヶ月という期間は佐世保労基署も認めているので、「胸膜プラークの存在」か「石綿小体の存在」を示さなければ取消は出来ないと判断しましたが、Fさんは医師から手術は無理であると告げられていて、石綿小体を検出することはできません。残るは、「胸膜プラークの存在」ですが、署長が依頼した労災協力医はFさんのレントゲン写真やCTを診て「胸膜プラークは無し」としていました。
疫学リサーチセンターの海老原勇医師に読影をしてもらったところ、胸膜プラークがあることが判明しました。海老原医師は、レントゲン写真やCT画像に矢印やマークを付けた写真とともに、「胸膜肥厚斑は肋骨内面より発症することから特に肋骨内面に沿って見られるレントゲン的なdensityの高い線状影は胸膜肥厚である。」「また、肋骨内面に認められる陰影は解剖学的に肋間動静脈や肋間筋の分布とは異なっており、densityからもextrapleurel fatとは考えにくい。」という幾多の剖検の経験と読影の経験から根拠を示しました。
審査官もこの意見書と画像の読影を「石綿確定診断委員会」に依頼したところ、委員会の医師5人全員が「胸膜プラークは有り」と診断しました。審査官は「『原発性肺がん』であり、『胸膜プラーク所見』も『有』と認めるのが妥当だと判断」し署長の決定を取り消しました。
今回のケースは、主治医は石綿ばく露があり原発性肺がんなので、当然労災保険から療養費は支給されるものと判断しました。しかし、他の医療保険と違い、労災保険は「認定基準」という厚い壁があり、それを満たさなければ給付を受けられないものです。さらに、胸膜プラークを読影できる経験豊富な医師がいかに重要かということを示しています。取り消し決定を知ったFさんは「言葉も出ないほど嬉しい」と喜んでいます。
Fさんは、福岡の建設アスベスト訴訟の報道を通じ福建労(福岡建設組合)に相談したところ、建交労長崎県本部を紹介され不服審査をすることになりました。
担当した中里は、石綿ばく露の21年10ヶ月という期間は佐世保労基署も認めているので、「胸膜プラークの存在」か「石綿小体の存在」を示さなければ取消は出来ないと判断しましたが、Fさんは医師から手術は無理であると告げられていて、石綿小体を検出することはできません。残るは、「胸膜プラークの存在」ですが、署長が依頼した労災協力医はFさんのレントゲン写真やCTを診て「胸膜プラークは無し」としていました。
疫学リサーチセンターの海老原勇医師に読影をしてもらったところ、胸膜プラークがあることが判明しました。海老原医師は、レントゲン写真やCT画像に矢印やマークを付けた写真とともに、「胸膜肥厚斑は肋骨内面より発症することから特に肋骨内面に沿って見られるレントゲン的なdensityの高い線状影は胸膜肥厚である。」「また、肋骨内面に認められる陰影は解剖学的に肋間動静脈や肋間筋の分布とは異なっており、densityからもextrapleurel fatとは考えにくい。」という幾多の剖検の経験と読影の経験から根拠を示しました。
審査官もこの意見書と画像の読影を「石綿確定診断委員会」に依頼したところ、委員会の医師5人全員が「胸膜プラークは有り」と診断しました。審査官は「『原発性肺がん』であり、『胸膜プラーク所見』も『有』と認めるのが妥当だと判断」し署長の決定を取り消しました。
今回のケースは、主治医は石綿ばく露があり原発性肺がんなので、当然労災保険から療養費は支給されるものと判断しました。しかし、他の医療保険と違い、労災保険は「認定基準」という厚い壁があり、それを満たさなければ給付を受けられないものです。さらに、胸膜プラークを読影できる経験豊富な医師がいかに重要かということを示しています。取り消し決定を知ったFさんは「言葉も出ないほど嬉しい」と喜んでいます。