ドブロヴニクは夏の夜の散歩も楽しい。
地中海の街らしく
夜が更けて涼しくなるとたくさんの人々が街にくりだし
遅くまでカフェで談笑している。
土地の人だけでなく、たくさんの観光客もいる。
長い歴史の中で磨かれたブラチ島産のつるつるの敷石に
淡いオレンジの街灯が反射し
この小さな街のざわめきをあたたかい光で包み込む。
ふと見ると、
かつて税関がおかれていたスポンザ宮殿の入口が開いている。
おそるおそる入ると、
誰もいないパティオは夜更けのギャラリーになっていた。
ひっそりとした中世の回廊に並ぶ白黒写真。
夜のさざめきの中に、ふと迷い込める美しい静寂の空間が用意されているのも
この街の粋なはからいかもしれない。