スロヴェニアのツアーでは、必ずといってよいほど立ち寄るポストイナ鍾乳洞から、さらにトリエステ方面へ行ったところにあるシュコツィアン鍾乳洞。
この鍾乳洞のすごさは、その地下渓谷にあります。見学の後半は、壮大な地下の渓谷の断崖絶壁に彫り込まれた暗い小道を歩きます。
絶壁の道に点々と灯された灯りが真っ暗な洞窟の奥深くまで延々と続き、神秘的。数十m下にはリカ川が流れ、ごうごうと音をたてています。天井も高く、地下空間のスケールの大きさに圧倒されます。
途中、渓谷に架けられた橋を渡ります。スリル満点、ドキドキです。こんな渓谷が、一見普通に見える森の地下にあるなんて!
鍾乳洞内部は暗闇で生きる生き物も生息しているため撮影は禁止。スロベニア観光局の写真をお借りしてアップしますね。
あちこちに、初期の探検家が岩場の絶壁に掘った階段が残っているのも印象的でした。電気も通じていない時代、真っ暗な洞窟を、松明やオイルランプを頼りに、崖に道まで掘り込みながら調査をした人々の未知への希求に頭がさがります。
この洞窟を流れるリカ川は、ここから地下を流れ、イタリアのトリエステ近くで地上に顔を出し、アドリア海に注いでいるのだとか。大地に吸い込まれていく川の流れは、外の展望台からも眺めることができます。
この辺りの土地は石灰岩質で、調査されたものだけでも、大小8000以上の地下の空洞があるといいます。地質学用語にもなったドイツ語のカルストという言葉は、スロベニア語のこの地方の呼び方、クラスのドイツ語読みだそうです。地質学用語のカルストはスロベニア語がもとになっているのですね。
地球の胎内で、人間の動向とまったく無関係に、いっときも休むことなく刻まれている自然の営み。未知の地下世界に広がる地球の豊かさに驚かされました。
洞窟の出口だけは写真が許可されています。出口はこんなかんじ。
地下世界を歩いて来た目に、緑が沁みました。