噛噛堂 あと2112冊

遅読、積ん読、併読、乱読。それでも読んどく、70までの2112冊。いよいよカウントダウン。

新国民病ロコモティブシンドローム

2010年05月12日 | 体棚

サブタイトル「長寿社会は警告する」
中村耕三    NHK出版 生活人新書  2010年


「メタボ」って、「メタ」で新鋭感出しながらも「たぼ」で一気に間抜け感炸裂、
緊迫感のない事態になっていると思うのですが、今度は「ロコモ」とな。
「ロ」も「コ」も「モ」も、思いっきり脱力音。
ヤシの木陰からビーチボーイズたちがロコモコ丼を手に「ココ~モ~♪」とあらわれそうなキブンですが。

いやいや。
高齢「化」社会じゃなく、もはや高齢社会に世界一のスピードで突入しているこの日本。
ロにもコにもモにも、思いっきり濁音と吃音をつけて「ロ゛ッゴッモ゛ッ!」としたい事態です。

ロコモ=ロコモティブシンドローム=運動器症候群。
簡単に言うと、長寿化に膝・腰(等の運動器)の健康が追いつかない事態。のこと。
リタイア後はアレをしてコレをして…などとの画策も、「歩けて」こその計画じゃん!と思い至る50代は必見の書です。
そのリタイア世代を親にかかえる40代も、購入で損はなしの一冊。

五十肩で苦しみぬいた時期、ドクターから「骨にはトゲは出てないな~」と言われたモノの、
「先生、ト、トゲって何ですか?」と聞けるような雰囲気のドクターでなかったこともあり、謎のままだった「骨のトゲ」等についてもわかりやすく解説。
骨粗鬆症のことも、
大腿骨頸部骨折のことも、
変形性膝関節症のことも、実にわかりやすく解説されています。

それらを「知った」上で、ではどうすべきなのか。
予防方法、治療方法の解説についても抜かりはありません。
噛んで含めるような解説と、繰り返されるロコモ予防の提唱。
中村氏の静かな熱意が伝わる良書です。

…要介護になってから、そんな話は聞いていなかったということがないように…
長生きがもはやリスクを背負う時代、だれもが潜在的患者である以上、まずは知るところから。

そして、…歴史上初めて出現した「集団的な規模で直立二足歩行が困難になっているという事態」…
これがどんな震撼とする事態なのか、
それは足腰が弱った人が少数派であったときの対処方法を、単に延長したくらいでは対応できない状態
なぜなら、東京駅のように1日に100万人以上の人が利用するような駅のシステムは、1日100人が利用するような小さな駅の運用システムの単なる大型化ではすまないのと同じです…から、、、
乗る側にスイカの知識がなければ、駅員を1000人増員したって間に合わない!
というわけで、40代50代にとどまらず、日本車両に乗車する全員が必読かもしれません。

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