海外在住の方であれば、懐かしい~、もしくは、もう思い出したくな~い、かのどちらかに別れると思うのだけど、僕も久々にTOEFLの文字を目にして、両方の感情がよみがえってきました。
こちらのニュース、日本で放送されたものなんだけど、すごいトラブルになってますね(ニュースの原稿は、末尾に)。TOEFLから、文法のセクションがなくなって、スピーキングが加えられたなんて、また、すごい面倒になってるよねぇ。
スピーキングが加わったというのは、僕も聞いたことはあって、なんでも、特に台湾からの留学生が、TOEFLは高得点なのに、大学で全然英語が話せないっていうので教授陣からETSにクレームがついたとか。きっと、台湾に限らず、いろんな国から来てる学生が、TOEFLの点数が高得点なのに、全然英語を話せないっていう状況は昔から続いてたんだろうね。僕が大学院に留学してたときも、英語がうまく話せない留学生がいました。
僕も、TOEFLで高得点を取っても、アメリカの大学(院)で語学のハンディを感じずにアメリカ人と同じように勉強できる、というお墨付きには全然ならないって、留学した当初に痛感したからなぁ~。所詮、TOEFLってテストだもんね。実用性(特にオーラル・コミュニケーション)からはかけ離れてる。それで、今回のスピーキング・テストを開始ということなんだろうけど、音声データも扱うようになったせいで、センターに送るデータ量が膨大になって、サーバがパンクしたのが今回のシステム障害の原因なんじゃないかなぁ。
ただ、システム障害が起きて、それへのETSの対処が最悪だね。この報道でも言ってるように、誠意がないよ。TOEFLのスコアが出願に間に合わず、1年間、棒に振ってる人とか、かわいそう。被害に遭った人たちが訴訟に持っていくことを検討してるっていうけど、ホント、そこまでしたほうがいいくらい、不誠実な対応だね。
でもこのニュースを見て、「ありえな~い」ってお怒りの女子学生だけど、そこまで留学したいんだったら、大学のアドミッション・オフィスに電話して、そういう不可抗力のトラブルを伝え、ETSに多大な責任があること、それと、TOEFL以外にも英語検定試験はあるんだから、代替の試験を聞くとか色々と問題からリカバリーする手段はあったと思うんだよね。
アメリカに長年住んでる方なら嫌ほど体験してると思うのだけど、まさにこの国は交渉の国。自分の希望は交渉して勝ち取っていかないと、日本みたいに問題を起こす方が悪いとか、自分は何もしなくても向こうがそれを解決するのが当然っていう受身の状態だと、アメリカ暮らしは耐え難いものになる可能性が大だね。
TOEFLの障害のニュースを見ながら、「あ~、paper & pencilの試験でよかったぁ~」と思うと同時に、こういう障害をアメリカ式に解決できてれば、入学をキャンセルされたという可哀想な女子学生も予定通り留学できてたんじゃないかなぁ。
===ニュース記事===
英語検定「TOEFL」でトラブル相次ぐ
英語の検定試験として200ヶ国以上で実施されているTOEFLをめぐって、今、トラブルが相次ぎ、受験者から不満の声が上がっています。海外への留学を左右する権威ある試験に、一体、何が起きているのでしょうか。
必死にパソコンに語りかける受験生たち。去年7月から始まったTOEFLのインターネットテストです。文法がなくなった代わりにスピーキングが導入され、声がネットを経由してアメリカに届けられます。
米・ニュージャージー州プリンストン。この街にTOEFLを実施し、データを管理している非営利団体ETSがあります。TOEFLは、英語を母国語としない人が英語圏の大学に入学するために必要とされ、受験生は世界で年間およそ80万人です。
ところが、その信頼を裏切るトラブルが相次いでいるのです。ロサンゼルスの州立大学に留学を希望していた林さんは、今年2月、神戸でTOEFLを受験しました。ところが・・・。
「本当に頭の中が真っ白になって。(パソコンのトラブルで)動かないんですよ、どうしても。(答えを)選べなくて、動かないんで、もう泣きそうになって」(林 美希 さん)
もう1人、原田さん(仮名)の場合は途中で画面が落ち、別のパソコンで最後までテストを受けました。しかし、ニューヨーク州立大学に願書を出していたのに、肝心の点数は返ってきませんでした。
「(ETS窓口が)なんでスコアが出てないのかっていうのが、分かってなくて、もう一回、受けてもらわないとダメですと言われたんです」(原田さん【仮名】)
TOEFL対策を指導する語学学校は・・・。
「トラブルが非常にたくさん出ているわけです。なので、(トラブルが)あるかもしれないという前提でお受けになった方がいいかもしれないです」(イフ外語学院 中野正夫 学院長)
林さんと原田さんの2人は今年7月、大阪で再試験を受けました。ところが、またしても・・・。
「ここの部屋の機械は全部動かないので、今日は中止って言われて・・・」(林さん)
「またどころか、ありえないってかんじ」(原田さん【仮名】)
小学生もTOEFLをお試し受験するほど英語熱が高い韓国では、トラブルが社会問題にまでなっていました。
「ETSの対応は誠意がない。(韓国では)みんな怒ってます」(韓国綜合教育院 金成烈 院長)
ETSは、世界各地で行われる試験の運営をアメリカ資本の関連会社に委託していて、最近のトラブルの原因はサーバーの不具合などと説明します。
原田さんは、テスト運営会社の東京事務所に不信感をぶつけました。原田さんは結局、TOEFLのスコアが間に合わず、9月に留学予定だった大学から入学をキャンセルされました。
「これのせいで一年間分の時間を無駄にされたっていう、すごい打撃ですね」(原田さん【仮名】)
ETSはJNNの取材にこう話しています。
「日本の受験者の皆さんのことは、とても大切に考えています。世界でも成績がトップクラスですし、マーケットとしても非常に重要な位置を占めている」(ETS広報担当者)
このままでは、その権威が失墜しかねないTOEFL。ネットのリスク管理など早急な対策が求められています。(28日18:11)