アメリカGAYライフ American Gay Life by an expat Japanese

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マリッジ・ブルー?

2006-02-13 16:05:48 | 恋愛・結婚
プールがだんだん狭く感じるようになった。水球を始めた頃は、プールは深くて広くて移動するのにも四苦八苦していたのに、最近、体が軽く感じるようになった。

「練習毎に上達してるんじゃない?」というのはたまに手ほどきをしてくれるPJのコメント。以前、「すぐ休憩するけど、しんどくてもプールから出ずに頑張るから上達するんだぜ」なんて練習数回目の僕に厳しい忠告をしてきたSamも、「上半身が強くなったな」なんて言ってくれた。この他にも要所要所でお褒めの言葉をもらうようになって自信が少しずつついてきた。最高気温が零下の中を、仕事が終わって疲れた身に鞭打って練習を続けてきた甲斐が報われつつある快感。

僕にそんなstrokingをくれたチームメートの一人がCharles。20代後半くらいで身長は約180センチの引き締まった体型。僕が知る限り毎回練習に参加しているCharlesは、人見知りするタイプなのか、ほとんど口を利いたことがなかった。ゴール・シュートの練習で一緒に並んだときも、他の人には話しかけるのに、僕はまるで透明人間みたいに無視してくる。「嫌な感じ、、、イケテルけど」なんて思いながらこちらも距離を置いていた。そしたら、うまく僕のシュートが入った日、「すごくいいシュートだった」なんて唐突にプールの中で僕を励ますようなことを言ってきた。「サ、サンキュー」なんて僕もお礼を言ったけど、これまでの冷たい印象とのギャップにこちらも戸惑い気味。

Charlesのシャイな性格はシャワー・タイムのときにも表れている。大体全員がシャワーを浴びながら水着を脱ぐ。僕も初めはドキドキで口から心臓が飛び出しそうになったけど、今じゃ、面の皮が厚くなって怖いもの知らず。いつものことになるとそれが普通になって特に意識しなくなってしまった。だけど、僕より水球暦が長いCharlesなのにシャワー中に脱いでいるところを一度も見たことがない。しかも、彼が着る水着はいつもネイビー・ブルーのボクサー・タイプで地味。彼ってもしかしてストレート?

だけど先週、僕がシャワーを浴びている隣にCharlesがやってきてそのネイビー・ブルーのボクサー型水着に手を掛けた。よく発達したオシリに、筋肉がうっすら浮き出たわき腹と太もも・・・。シャワーの水が目に入ってくるのもお構いなく僕の視線はCharlesの後姿に釘付け。「こっち向けッ」なんて念じてたけど、Chalesは頑なに背中を見せるだけでこっちを向くことはなかった。シャワーを浴びている数分間、僕とは反対側で鼻歌交じりにシャワーを浴びていたJimmyと話を続けたCharlesだった。

冬にもかかわらず、常に新しい人たちが練習にやってくる。続く人は少ないのだけど、とにかく人のトラフィックは多いのが嬉しいこの水球。先週は、ガタイのしっかりしたこれまたイケテル風な人が練習に来ていた。足がつりそうになった僕に「大丈夫?」なんて声をかけてきてくれて、Jimmyというヒモがついてなかったらコロッといってたかも。(その日以来、彼は練習に来てないのが寂しい。グスン。)そして前回の練習では大学時代に水球をやっていたという体育会系でJockタイプのBlakeが声をかけてくれてパス練習を一緒にした。

いるところにはいるじゃ~ん。イイ男がこんなにも。この水球を始めるまで散々、出会いの場を求めてさまよい続けていた頃が信じられない。バーに行ってもおしゃれでハンサムな人たちは雲の上の存在だったし、20代の集いに行っても、自分と同じようなタイプばっかりで恋愛に発展することはなかった。オンラインはそれなりに出会いはあったけど、所詮、オンライン。まじめにお付き合いしたいっていう人が極端に少なかった。これって僕の人生最大の教訓かも。

――『恋人探しはスポーツ・チーム』


でも今、僕はJimmyのもの。Jimmyにも浮気しないでってお願いしてあるし。Jimmyとの契約締結、早まりすぎたかも?!もう少し待ってれば、色々な選択肢の中からベストな人を選べたかもしれないのにぃぃ。

こんな気持ちがくすぶる先週金曜日、Jimmyと夕食に行った。僕の近所のレストラン街。この晩はかなり冷え込んで、Jimmyと一緒に歩いているとすぐに耳が痛くなってきた。

「どこに行く?」と互いに聞く僕ら。だけど、Jimmyが食べたいものは百も承知。Jimmyが挙げるレストラン名も、ピザやハンバーカー系ばかりが続く。僕が何も返事をしないものだから、Jimmyは

「中華やタイ料理でもいいよ」なんていう譲歩をみせた。だけどこれというパッとした中華系レストランもタイ料理のお店もこの辺りにはない。あるのは、中華・タイ・日本料理の混じった無国籍アジア料理。でもそこは僕のお気に入りで、おいしいキムチ・ラーメンがおいてある。そんなことを考えていたら、Jimmyの方からそのレストラン名を口に出してきた。

「え、そこでもいいの?」と聞いてみる僕。

「いいよ。焼き鳥とか僕が食べれるものも置いてあるでしょ」

実は、そのレストラン、Jimmyと立ち話をしていた場所から半ブロックしか離れていない。僕の視界には既にそのレストランが入っていた。やったー!とばかりに僕とJimmyは信号を渡ってレストランに向かって歩き始めた。すると歩きながらJimmyが、

「悪い選択肢だけど、この間のタパス料理ほど悪くないから」なんて言い出した。

「悪い選択肢?だってJimmyそこでいいっていったじゃん」と詰め寄る僕。すると、

「前にこのレストランで食べたことあるけど、焼き鳥のちっちゃい串が4本くらいで5ドルとかするよね?2皿頼んだらそれだけで10ドル」と前回の嫌な体験を語り始める。

「じゃ、嫌なんだね、このレストラン。じゃ、なんでOKなんて言うの?」

「だって行きたいんでしょ、このレストランに」

「そうだけど、行く途中に『悪い選択肢』なんて言われて僕が楽しく食事できると思う?」

「・・・」

「最悪。レストラン選びがこれからも障害になって立ちふさがるよって前に話したけど、こんなことが続くんだったらもう付き合えない」

我ながら思い切ったことを言ったなと思う。だけど、そのときストレスが最高潮に達したのは事実。極寒の中を30分近く押し問答してこの結果。Jimmyの心無い一言でせっかくの金曜夜のワクワク感を台無しにされて、心のやり場のなさが唯一見出したはけ口がこの言葉だった。しかも、水球練習で散々、イイ男を素通りせざるを得ないことに疑問を感じ始めていた矢先だった。

「ゴメン。さっきのは失言だった。謝るよ。それに、食事が合わないのって僕にとっては恋愛の障害になるようなことじゃないよ。君があのレストランで食事をしたいんだったら、食べればいいじゃないか。僕は別のところで食べてくるから」

「Jimmy、それ本気で言ってる?冗談でしょう?それ本気だったらマジで信じられないんだけど。一緒に暮らしている家族や夫婦って、絆が深まる一つの理由はいつも食事を共にするからだと思うんだよね。一緒に食事できない人と恋愛関係はありえない」

「じゃ、今晩、どこに行きたい」

「・・・」今度は僕が沈黙する番になった。寒さと悲しさのあまり、目が潤んできた。Jimmyとも目が合わせられなくて、視線をそらしながら必死で涙がこぼれ落ちないようにしていた。

この後も、レストラン選びについて押し問答が続いた。この際にとばかりに、僕はJimmyに本音をぶつけた。

「Jimmyってハンバーガーとかピザとか、red meatとかが大好きだよね。僕も食べるけど、例えばピザを今晩食べたら、今週末はピザやチーズ系なんかはもう食べたくない。もし今晩、red meatを食べたら、今週末はもう食べたくない」

「僕だって毎日red meatを食べてるわけじゃないよ」と反論してみるJimmy。だけど断然、Jimmyがred meatを食べる頻度が多いのは明らか。

「いままでつきあった人と食事について問題にならなかったの?」なんていうこれまで聞きたくても聞けなかった質問もしてみた。

「インド人で菜食主義の人と付き合ったことがあったけど、長続きしなかった。基本的に、一緒に食事をすることはなかったよ。ま、我慢してたねそのときは。でも食事が原因で別れたんじゃないよ」なんて当時を語るJimmy。逆に、僕の過去について質問をしてきた。

「君の場合、これまでつきあった白人ボーイフレンドとは問題なかったの?」

僕にとっては待ってましたといわんばかりの質問。僕のこれまでの恋人は、みんな日本や中国に興味があって料理もバッチリOKだった。そのことを話したら、やぶ蛇だったといわんばかりの表情で引き下がるJimmy。結局、この晩は以前二人で楽しい食事をした思い出があるCosiという短絡な方法で解決した。

こんな事件で始まった先週末は、Jimmyは僕の扱いに特に慎重になっているみたいで、食事は僕が言い出すまで話題にならないし、Jimmyは必ず「何が食べたい?」って僕に聞くようになった。僕がはっきりした返事を出さない時も、「じゃ、あの中華料理のお店に行ってみる?」なんて必ずアジア系のお店をサジェストするようになった。これは今週末だけの一時的なことなのか、それともこれを機会にずっとそうするつもりなのかJimmyの真意は不明。

そんなJimmyの気遣いを感じたので、土曜の昼はJimmyの提案通りホットドッグのサルサソースかけだった。日曜の朝食もJimmyの言うとおりチーズ・オムレツだったし。僕も要所要所で気を遣ってます。そしてJimmyが朝食を用意するために冷蔵庫をのぞいていたとき、大きなステーキ肉のパックを取り出してきた。

「今週末は食べないから、冷凍庫に入れとく」

ステーキ肉は二切れあった。もしかしたら僕と今週末食べるためにJimmyは買っていたのか?僕のためにオレンジジュースも新しいのを買ってくれていた。だけど金曜夜の僕の一言がJimmyの胸に刺さったままみたい。

「あ~、Jimmy、僕が金曜夜に言ったことで傷ついてる?」

「ちょっと敏感になってる」と素直に認める彼。

マジで堪えてたの?意外なところで繊細な一面を見せるので、僕も悪者になった気がして後味悪い。

「I'm sorry」とは言ってみたものの、その巨大なステーキ肉を食する気にはならず(しかも狂牛病が心配じゃん!)、Jimmyが冷凍庫にしまうのを止めることはしなかった。


そして明日はバレンタイン・デー。火曜日で水球の日だけど、二人でお休みして夕食と映画に行くことにした。

「普通に水球に行って、それから食事に行くのでも僕は構わないけど・・・」というJimmyの意見は却下して、僕はどこかに行きたいと主張。バレンタイン・デーの夜は、レストランもディナーセットを用意しているところが多くて、一人35ドルでコースメニューなんかを出している。僕が地元のゲイ新聞に掲載されていた広告を見せたら、「35ドル?高すぎ」で却下。Jimmyは食事に関して高くて量が少ないのはとにかくダメ。典型的なテキサス人。これも僕が気に入らない点。

とりあえず、前から僕も行きたかった映画館近くの『小洒落た』ピザ屋に予約をすることに。「君が予約してくれる?」なんて消極的な態度を見せるJimmy。バレンタイン・デーにいいところを見せようっちゅう気は全然ないんかいJimmyは?とまたもや僕はお怒りモードになりそうになるところ、ぐっとこられて、「Jimmyの部屋にそのレストランの電話番号が書いたマッチがあったよね。僕は行ったことないから、Jimmyが予約しておいて」と半ば強引にJimmyに予約をお願いした。

Jimmyって気遣いあるところを見せてくれるときもあるけど、ロマンチックからは程遠い。たまに愛されているのか疑問に思うし、僕もどれくらいJimmyのことが好きなのか分からなくなってきた。

付き合い始めの頃、「カナダに一緒に移民して結婚するんだったらバンクーバーだね」なんて無邪気なことを口走っていたけど、最近じゃ、リアルすぎて話題にもならない。昨年12月、互いにLワードを口にしたけど、それもあれ以来どちらの口からも聞くことはなくなってるし。付き合い始めて3ヶ月が過ぎて、互いに現実の重みを感じ始めた。


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