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サラダ記念日

2006-01-11 15:07:07 | グルメ・食文化
――食事をしておいしくない人とは絶対に恋愛できない。


日本の新聞を読んでいたら、こんな目を引く文章に出会った。誰かと思ったら俵万知。僕の自宅にも、母親が買った『サラダ記念日』があって、高校時代にパラパラめくって読んだ記憶が懐かしい。この新聞記事を読むと、彼女も2003年に男児を出産して母親になったとか。短歌とか韻文っていうのは小難しくて学生時代は敬遠してたけど、短い言葉に情緒を凝縮するのって、すごくアートだと思う。

それにしても、結婚して子供を生んでも、まだ恋愛についてあれこれ発言している俵万知って、一生、乙女でいるつもりなんだね。『負け犬』の全く逆を行くパターンですな。僕にもJimmyという恋人ができたけど、いつになっても常に恋する気持ちを持ち続けることが長続きの秘訣なのかも。特に年末の「事件」を引きずっている身にとっては初心に戻ることが問われているのかも。

* * *

今晩、今年初めて水球の練習に参加してきた。最近、東海岸一帯、寒さが和らいでいることもあって、参加者多数の満員御礼。しかも、新しい参加者が3名も来ている。久々のプールに、体を慣れさせることに僕は専念した。しかも、まだ咳してるし。Jimmyも咳が完治してない。なので、二人だけでこっそり練習を30分繰り上げて抜け出した。

Jimmyはゆっくり食事をしたかったらしく、それも早めに抜け出したかった理由の様子。体育館を出て、Jimmyの車の中で、今晩、どのレストランに行くか、ガイドブックを見ながら話し合った。このガイドブック、クーポンがたくさん付いていて、JimmyがAmazon.comで今週、買ったのだとか。だけど、Jimmyがあげるレストランって、全部ハンバーガーとかピザとかスパゲッティーとか、お子様系ばかり。遠慮してちゃだめだって思った僕は、「この近くにマレーシア料理があったよね?行ったことある?」と聞いてみた。ガイドブックに目を落としたままのJimmyは、心ここにあらずという間の抜けた返事しかしない。

「ガイドブックで探すより、知ってるレストランに行くほうが早い。ガイドブックは次に使うことにしよう」

レストランを決めないまま、Jimmyは車を走らせた。

「これが僕たちが解決しないといけない問題の一つだね。レストラン問題。僕たちの食べ物の嗜好って正反対じゃない?これからもこれが問題になって浮上するよ。今晩だけの問題じゃなくって」

と、僕は少し投げやりな感じで本音を吐いた。

「僕も行ってもいいレストラン・リストを挙げるから、君もレストラン・リストを挙げて、それが重複するところに行くようにすればいいじゃないか」とまともな回答を言うJimmy。

「だけど、僕の嗜好とJimmyの嗜好って全くの正反対だよねぇ。Jimmyって肉好きでしょう?」

「I love meat!」(←運転しながら、半分狂喜したような声をあげるJimmy)

「僕ってハンバーガーとかピザとか毎回そういうのって耐えられないんだよねぇ。それに、これまでJimmyと中華レストランに行ったのって2回だけだよね。それ以外は、全部、ハンバーガーとかチーズや肉がたっぷりの料理ばっかり」

「アジア系の料理って、小一時間もするとすぐお腹が減る。夜はしっかり腹持ちのする本物の料理が食べたい」と反論するJimmy。

「ハンバーガやピザが本物の料理?それって、ファースト・フードって呼ばれてるものじゃん。Jimmyってアジア料理が好きじゃないんだよねぇ」

「今日の昼、中華だったんだよ。昼はよく中華。そんな俺のことをアジア料理が好きじゃないだって?」

お怒りモードになるJimmy。

「Jimmyはアジア料理全般が好きじゃないでしょう?中華に行くっていっても僕と行ったのって付き合い始めてから2回だけだよ。2回だけ。もうJimmyがお肉、チーズ系が大好きだって分かってるんだから」

「じゃ、君は毎晩、アジア料理じゃないとダメなんだね」

「そうとは言ってない。たまにはハンバーガーとかでもいいけど、週に2回以上になると辛い。Jimmyが行きたいところと僕が行きたいところ半分半分っていうのがフェアじゃない?」

「まあね・・・。フードコートに行くっていうのが一つの解決かもね」とJimmy。(←なんか最後の手段っていう感じだけど、これが現実的な回答かも・・・。)

「僕らはスマートなんだから、こういう問題に対して頭つかってソリューションを見つけていかないとね」(←一応、前向きな意見を述べてみた僕)

「そうだね」

最終的に、僕らはCosiというチェーン店のコーヒー/サンドイッチ/ピザ屋に入った。一応、僕のお気に入りのお店。実は、Brianとアップルサイダーを飲んだのもCosiだったし、Markと来たこともある。Jimmyとも一度、Cosiには来たことがあった。

メニューを眺めながら、Jimmyが「料理をシェアする?」と聞いてきた。

「僕はサラダを頼もうと思うのだけど、それでもいい?」と聞き返した。するとそれでもOKだというので、僕はサラダ、Jimmyはピザを頼むことにした。

僕のお気に入りは、タンドーリ・チキンの入ったサラダ。そしてJimmyが頼んだのは4種類のチーズがトッピングされたピザ。だけど、注文するとき、Jimmyはとちって「meat lover pizza」と言ってしまった。だけど、即、「4種類のチーズピザ」と訂正したのに、結局出てきたのは「meat lover pizza」だった。どっちにしようか迷っていたJimmyにとっては、どっちでもよかったらしいのだけど、顔には笑顔がうっすら浮かんでいた。今晩の僕との会話があったせいで、あえて肉のたっぷりのったピザは遠慮して4種類のチーズピザにしようとしていた節がある。なので、間違って出てきた「meat lover pizza」が実は本命だったみたい。

だけど今晩は、久々に会話が弾んだ。どうも、僕が本音でズケズケ話をしたのが潤滑油になったみたい。これまでJimmyとの間で沈黙が流れるっていうことがよくある。そういうとき、Jimmyって説教じみた口調でつまらない話しかしない。なので、僕の耳も貝のように閉じてしまって、あんまり話の内容についていけない。だから気の利いた相槌も打てず、話がよけい一方通行になって重い雰囲気が二人にのしかかる・・・というのがパターン。

それに、基本的にJimmyって口数が少ないけど、その割に意外と僕に気を遣っているみたい。この日見せてくれたガイドブックもそうだし、僕のためにオレンジジュースを買っておいてくれるっていうのもその例。言わないから、余計、そういう行動が意外。僕もJimmyにあんまり「あれしてこれして」と言わないので、Jimmyは彼なりの想像力を働かせているようなのだけど、やっぱり僕のほうから本音でニーズを言うと(今のところ)嬉しいみたい。ま、気心知れないと本音を言えないっていう裏返しとも取れます。


俵万知の記事に、彼女の短歌が掲載されていました。

「君と食む三百円のあなごずし そのおいしさを恋とこそ知れ」

Jimmyとあなごずしを食べることは一生ないだろうけど、どんな料理であれ、楽しく食事できることが、これ料理そのものより大切なりけり?

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