ロング・ビーチの一等地にあるジャドソン邸は、僕が想像した以上にゴージャスだった。着るものや身なりはいい加減なジャドソンだけど、そのテーストはハイ・ブラウ。新興の建物が多く立ち並ぶ中、ジャドソンのコンドミニアムは、ニューヨークにあってもいいんじゃないのというくらいのアンティーク調のもの。おそらく街の史跡にも指定されているだろうというような重厚で荘厳な作りの建物の9階にジャドソンのマンションはあった。そしてまだ明かりのついていない部屋の向こうには、だだっ広く広がるLAの夜景が一面に広がっていた。
翌朝、そのリビングから撮った写真。
* * *
金曜日
朝7時(東部時間の10時)に目覚ましもなく自然にジャドソンと共に起床。ジャドソンが早起きの人でラッキー。だって僕の起床時間ってジャドソンより2時間遅れの9時。東西海岸の3時間という時差も、僕らのライフスタイルの「時差」が吸収してくれる。ジャドソンが入れてくれたコーヒーをソイ・ミルクと一緒に飲みながら、眼前に広がるLAの街並みをボーっと眺める。そのそばで出社の準備をすすめるジャドソン。
マンションの建物へ入る鍵、9階のマンションへ入る鍵、そしてエレベーターの鍵をもらい、午後6時に電話で連絡を取りあう約束をしてジャドソンを送り出した。ただ、まだ起きたばかりで血中カフェイン濃度もまだ臨界点に達していない中、右手にコーヒーカップ、左手に受け取った鍵を握り締め、燦々と部屋にふりそそぐカリフォルニアの日差しを浴びながら、今日、どうやって時間を過ごそう、、、と、呆然自失となること数分。
とりあえず、まだ朝の8時過ぎ。ジャドソンのHPのラップトップからケーブルを引っこ抜き、自分のPCに差し込んで仕事のメールをチェック。ちょっとトラブってる案件があって、その後のやり取りをフォローアップ。別の外注していたプロジェクトが上がってきていてそれを軽く確認。かなり梃子摺った模様で、外注先から泣きのメールもこっそり入ってきていた。そしてプライベートのメールを確認してみると、ジェームスから「I miss you」のメッセージが入っていたほか、両親からのメールも入っていた。冷めてきたコーヒーを飲み干し、いざ、外出の準備。(ちょうど僕が外出の準備をしている間、毎週金曜日の朝にやってくるという、ハウスキーピングのメイドさんたち[ラテン系のおばさんとポニーテールのおじさんの2人]がやってきて、部屋の大掃除をしていった。)
日差しがキツイ。ジャドソンの2ベッドルームのマンションは角部屋で、リビング、キッチン、2つのバスルーム、そして2つのベッドルーム全てに窓がある。僕にあてがわれたバスルームも東側に面していて、朝の直射日光が目に痛いくらいに差し込んでくる。何もかもが蒸発してしまうんじゃないかというような日差しの中で、顔を洗い、髭をそり、コンタクトを入れて、いつもより念入りにスキンケア・クリームを2重、3重に塗りこむ。その手にも力が入ってしまう。露出しているところは、とにかくSPF30以上の日焼け止めクリームを塗りこんで防御しないと、こんな日差しだとイチコロ。シャツも、ちゃんと襟があって首を日焼けから守れるポロシャツを選び、ベースボールキャップにサングラス姿で完成。地元の地図もポケットに入れ、現金、鍵、携帯電話もカーゴ・ショーツのあらゆるポケットに詰め込んで、手ぶら状態でジャドソンのマンションを出発した。
とりあえず、目の前に広がるビーチへ。金曜の午前ということで人もまばら。ビーチに寝そべっているのは若い女性や年寄り、子供ばかりでいい男なし。それに、沖には異様に背の高い椰子の木が何本も生えた小島がいくつも浮かんでいる。ギリガンズ・アイランドのような・・・。
(後でジャドソンに聞くと、これらの島は石油貯蔵基地なのだとか。)そしてふと振り返ると、ビーチ沿いのバイク専用レーンを、上半身裸の若者たちが走り去っていく――僕はすさまじい日差しと、それを照り返す砂浜のハザマを、白昼夢の続きを見るようにバイク用レーンに向かってきびすを返した。
数分歩いているだけで既に腕がジリジリと焼けてくるのが分かる。上半身裸のいい男どころか、通行人が一人もいない中をただひたすら歩き続け、行き着いた先はレストラン・コンプレックス。海に面して作られたウッド・デッキ沿いに、中華、メキシカン、日本料理レストランなどが軒を連ねる。時間はちょっと早い11時過ぎ。だけど良く考えると東海岸時間ではすでに午後2時過ぎ。小腹もすいてきたところだったし、とにかくこの日差しから逃げたかった僕は、カリフォルニアに来たらやっぱり日本食でしょうということで、この↓レストラン「Tokyo Wako」へ入店。
受付で案内してくれたカリフォルニア・ブロンドの女性が、ピンク色の、着物とも浴衣ともつかないものを着て出てきたのを見て、「あぁ、ここはカリフォルニアなんだ」と思いを新たにした。
手早く昼食を済ませ、このレストランから徒歩5分ほどのところにある水族館Aquarium of the Pacificへ。入場料は大人一人19.95ドル。パンフレットに日本語版もあった。金曜の昼間で、やたらと小学生くらいの子供が多い。多分、学校の遠足か課外授業で来ているみたい。子供を連れた家族連れも多くて、そんな中にハンサムなパパを見つけて、水槽そっちのけでパパの観察を始めてしまう僕。でも一応、魚の写真もパチパチ撮ってみました。
ちびっ子どもに囲まれながら、トロトロ歩く家族連れを追い越して水槽を見て回るうちに、小一時間ほどで全部見終わってしまった。まだ時間は2時過ぎ・・・。日差しはきつくなるばかり。まだしばらく日がかげるまでは、水族館で時間つぶしかなぁ・・・と見渡すと、映画館が。3Dの映画が2本(15分ずつの短いもの)が上映されていた。しかも、その入り口でチケットを切ってるアルバイト風のお兄さんがモロ・タイプ(ムフっ)。
ピンボケしてるぅ~
でも雰囲気だけでも伝われば・・・
チラチラ見てるとお兄さんと目が合ってしまって、これはもう入場するしかないでしょう!ってなわけで、5ドルを払って入場チケットを手に握り締め、すでに並んでいたちびっ子小学生の後ろに並んだ。そして係員のお兄さんにチケットを手渡すとき、またチラッとお兄さんの目をみたら、「Thank you」って言ってくれた。僕の前に並んでいたちびっ子にはなかった「Thank you」。もしや?でもこういうときってどうすればいいの?常時、連絡先と名前を書いたメモかなにかを持っておいて、サット手渡せばいいのかなぁ?どっちにしても臆病者の僕は、笑顔を返すので精一杯・・・。しかも地元の人間じゃないし・・・。チッ。
結局、3Dの映画は、イマイチ。紙でできたメガネが、平べったいアジア人の顔用に作られてないのか、なかなか立体映像に見えなくてストレスだけがたまった。微妙にメガネを折り曲げてみたり角度を変えてみたり、立体に見えろ!って頭で念じると少し立体に見える瞬間があったり・・・言うことを聞かない子供のようで疲れました・・・。でも上映が終わって出口にまたお兄さんが登場したときは、ちびっ子を差し置いて先頭に立って笑顔を振りまきながらお兄さんにお別れ。
そして4時過ぎ、そろそろ水族館にも飽きてきた。日も傾き始めたかなと外に出てみると、猛暑。この週末は、カリフォルニアにも熱波(ヒートウェーブ)が襲ってすごい暑さになっていた。いや~ん、めちゃくちゃ暑いじゃん。朝塗った日焼け止めクリームは、もうとっくに時間切れ。日焼けするぅ~と叫びそうになりながらも、すでに水族館を出てしまった身。もう後戻りは出来ない状況。人もまばらな猛暑の中を、僕は町の中心に向かって歩き始めた。
Pineアベニューっていうのがどうも街の目抜き通りのもよう。でもサザン・カリフォルニアなだけあって、金曜の夕方なのにストリートを歩いている人が少ない。やっぱり車社会なんだぁと、ここでも東海岸との文化差を実感。たまに、道路を上半身裸で汗だくになりながら猛スピードで自転車で駆け抜けていくクレージーな若者を見かけながら、どうにか中心街風な一角に出た。洋服のお店やレストランが立ち並んでいて、それに路面電車の駅もあった。砂漠の中でやっとオアシスについた遊牧民の心境。
Pineアベニューの景色
そのままPineアベニューを北上していると、ゲイ御用達のGold’s Gymを発見!僕の地元にもあるジムで、日々、ゲイが身体を鍛え上げているところ。しかも、その入り口付近には、ジムで人汗流してきたばかりのようなCali guysたちがたむろっている。顔の角度を変えず、だけどサングラスの奥ではバッチリ目で彼らの腕っ節なんかを追いながら、そ知らぬ振りして通り過ぎた。すると、向こうも僕に気が付いた模様で、ジロジロ。え、っそんなに僕ってバレバレだった?それだったらちょっと声かけてくれてもいいんじゃない?なんて高飛車な態度を内に秘めながら、そのまま歩き去ってみる・・・。でも数ブロック歩くとそこはもうゴーストタウン状態。工事の途中で終わってるような廃墟や、閉店してしまったお店など、まさにワンブロック離れただけでこの変わりよう。さすがアメリカ。
逃げるようにその一帯から逆戻りして、また目抜き通りのOceanブルバードへ。だけどこのお日様からだけは逃げられない。ヒイヒイいいながら、ジャドソンのマンションへ戻る決意を固めてみたはいいけれど、日陰がない。途中まできたところで、ギブアップしてコーヒーショップで休憩。中はガラガラ。だけどカウンターに若いブロンドのお兄さんが女性客とお話している。下唇のすぐ下の真ん中にこれまたブロンドのヒゲをちょびっと生やしていて、カッコいいんだかよくないんだか。いや、でもかっこいいんでしょう。
アイスラテを頼み、窓際に座って地元のコミュニティー・ニュースペーパーを読んで待つこと数分。ブロンドお兄さんが、高級レストランのウェイター並みのスムーズな手つきでアイスラテを運んできてくれた。サンキューのお礼を言って、またニュースペーパーに目線を落とす。それから数分して、またお兄さんが僕のテーブルまでやってきた。今度は何?と思っていると、「他に何か注文ありますか?メニューを持ってきましょうか?」のサービス。めちゃくちゃ親切ぅぅ!それとも、このウラには・・・なんてまたもや妄想に陥ってしまう僕。もうカリフォルニアに来たとたんにイイ男がすべてゲイに見えちゃうっていう病気にかかってしまった模様。それともこれは暑さのせい?
症状が悪化しないうちにジャドソン邸に戻って午後の昼寝でもしようとコーヒーショップを出たのはいいけど、数歩歩いたところで、テーブルにチップを残してこなかったことに気が付いた。しまった!っと思って振り返ってみたけど、涼んだコーヒーショップは遠く蜃気楼のような距離。ま、3ドルのアイスラテだけだったし・・・チップといっても1ドルでしょうと、せっかく優しくしてくれたお兄さんに罪悪感を覚えながらも、でも、多分、二度とあのコーヒーショップに戻ることはないなっていう打算も働いてそのままに。嫌なアジア人って思われてしまったかもしれないけれど。ゴメン!(ここで謝ってもしょうがないね。)
ジャドソン邸に戻ったら今度は急に元気が出ちゃって、寝るに寝れない。そこで寝室の窓を全開にして、海からのそよ風が吹きぬける中、ブリーフ一枚でヨガ体操を開始。腹筋、腕立て伏せなんかも組み込んで40分も体操をすると、汗がフツフツと皮膚の表面ににじんできた。それを蒸発させるように吹き込んでくるシーブリーズ。そよ風が唇に吹いたとき、初めてそれがヒリヒリしているのに気が付いた。火照った身体をベッドに横たえて呼吸を整えていると、ジャドソンが仕事から戻ってきた。
翌朝、そのリビングから撮った写真。
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金曜日
朝7時(東部時間の10時)に目覚ましもなく自然にジャドソンと共に起床。ジャドソンが早起きの人でラッキー。だって僕の起床時間ってジャドソンより2時間遅れの9時。東西海岸の3時間という時差も、僕らのライフスタイルの「時差」が吸収してくれる。ジャドソンが入れてくれたコーヒーをソイ・ミルクと一緒に飲みながら、眼前に広がるLAの街並みをボーっと眺める。そのそばで出社の準備をすすめるジャドソン。
マンションの建物へ入る鍵、9階のマンションへ入る鍵、そしてエレベーターの鍵をもらい、午後6時に電話で連絡を取りあう約束をしてジャドソンを送り出した。ただ、まだ起きたばかりで血中カフェイン濃度もまだ臨界点に達していない中、右手にコーヒーカップ、左手に受け取った鍵を握り締め、燦々と部屋にふりそそぐカリフォルニアの日差しを浴びながら、今日、どうやって時間を過ごそう、、、と、呆然自失となること数分。
とりあえず、まだ朝の8時過ぎ。ジャドソンのHPのラップトップからケーブルを引っこ抜き、自分のPCに差し込んで仕事のメールをチェック。ちょっとトラブってる案件があって、その後のやり取りをフォローアップ。別の外注していたプロジェクトが上がってきていてそれを軽く確認。かなり梃子摺った模様で、外注先から泣きのメールもこっそり入ってきていた。そしてプライベートのメールを確認してみると、ジェームスから「I miss you」のメッセージが入っていたほか、両親からのメールも入っていた。冷めてきたコーヒーを飲み干し、いざ、外出の準備。(ちょうど僕が外出の準備をしている間、毎週金曜日の朝にやってくるという、ハウスキーピングのメイドさんたち[ラテン系のおばさんとポニーテールのおじさんの2人]がやってきて、部屋の大掃除をしていった。)
日差しがキツイ。ジャドソンの2ベッドルームのマンションは角部屋で、リビング、キッチン、2つのバスルーム、そして2つのベッドルーム全てに窓がある。僕にあてがわれたバスルームも東側に面していて、朝の直射日光が目に痛いくらいに差し込んでくる。何もかもが蒸発してしまうんじゃないかというような日差しの中で、顔を洗い、髭をそり、コンタクトを入れて、いつもより念入りにスキンケア・クリームを2重、3重に塗りこむ。その手にも力が入ってしまう。露出しているところは、とにかくSPF30以上の日焼け止めクリームを塗りこんで防御しないと、こんな日差しだとイチコロ。シャツも、ちゃんと襟があって首を日焼けから守れるポロシャツを選び、ベースボールキャップにサングラス姿で完成。地元の地図もポケットに入れ、現金、鍵、携帯電話もカーゴ・ショーツのあらゆるポケットに詰め込んで、手ぶら状態でジャドソンのマンションを出発した。
とりあえず、目の前に広がるビーチへ。金曜の午前ということで人もまばら。ビーチに寝そべっているのは若い女性や年寄り、子供ばかりでいい男なし。それに、沖には異様に背の高い椰子の木が何本も生えた小島がいくつも浮かんでいる。ギリガンズ・アイランドのような・・・。
(後でジャドソンに聞くと、これらの島は石油貯蔵基地なのだとか。)そしてふと振り返ると、ビーチ沿いのバイク専用レーンを、上半身裸の若者たちが走り去っていく――僕はすさまじい日差しと、それを照り返す砂浜のハザマを、白昼夢の続きを見るようにバイク用レーンに向かってきびすを返した。
数分歩いているだけで既に腕がジリジリと焼けてくるのが分かる。上半身裸のいい男どころか、通行人が一人もいない中をただひたすら歩き続け、行き着いた先はレストラン・コンプレックス。海に面して作られたウッド・デッキ沿いに、中華、メキシカン、日本料理レストランなどが軒を連ねる。時間はちょっと早い11時過ぎ。だけど良く考えると東海岸時間ではすでに午後2時過ぎ。小腹もすいてきたところだったし、とにかくこの日差しから逃げたかった僕は、カリフォルニアに来たらやっぱり日本食でしょうということで、この↓レストラン「Tokyo Wako」へ入店。
受付で案内してくれたカリフォルニア・ブロンドの女性が、ピンク色の、着物とも浴衣ともつかないものを着て出てきたのを見て、「あぁ、ここはカリフォルニアなんだ」と思いを新たにした。
手早く昼食を済ませ、このレストランから徒歩5分ほどのところにある水族館Aquarium of the Pacificへ。入場料は大人一人19.95ドル。パンフレットに日本語版もあった。金曜の昼間で、やたらと小学生くらいの子供が多い。多分、学校の遠足か課外授業で来ているみたい。子供を連れた家族連れも多くて、そんな中にハンサムなパパを見つけて、水槽そっちのけでパパの観察を始めてしまう僕。でも一応、魚の写真もパチパチ撮ってみました。
ちびっ子どもに囲まれながら、トロトロ歩く家族連れを追い越して水槽を見て回るうちに、小一時間ほどで全部見終わってしまった。まだ時間は2時過ぎ・・・。日差しはきつくなるばかり。まだしばらく日がかげるまでは、水族館で時間つぶしかなぁ・・・と見渡すと、映画館が。3Dの映画が2本(15分ずつの短いもの)が上映されていた。しかも、その入り口でチケットを切ってるアルバイト風のお兄さんがモロ・タイプ(ムフっ)。
ピンボケしてるぅ~
でも雰囲気だけでも伝われば・・・
チラチラ見てるとお兄さんと目が合ってしまって、これはもう入場するしかないでしょう!ってなわけで、5ドルを払って入場チケットを手に握り締め、すでに並んでいたちびっ子小学生の後ろに並んだ。そして係員のお兄さんにチケットを手渡すとき、またチラッとお兄さんの目をみたら、「Thank you」って言ってくれた。僕の前に並んでいたちびっ子にはなかった「Thank you」。もしや?でもこういうときってどうすればいいの?常時、連絡先と名前を書いたメモかなにかを持っておいて、サット手渡せばいいのかなぁ?どっちにしても臆病者の僕は、笑顔を返すので精一杯・・・。しかも地元の人間じゃないし・・・。チッ。
結局、3Dの映画は、イマイチ。紙でできたメガネが、平べったいアジア人の顔用に作られてないのか、なかなか立体映像に見えなくてストレスだけがたまった。微妙にメガネを折り曲げてみたり角度を変えてみたり、立体に見えろ!って頭で念じると少し立体に見える瞬間があったり・・・言うことを聞かない子供のようで疲れました・・・。でも上映が終わって出口にまたお兄さんが登場したときは、ちびっ子を差し置いて先頭に立って笑顔を振りまきながらお兄さんにお別れ。
そして4時過ぎ、そろそろ水族館にも飽きてきた。日も傾き始めたかなと外に出てみると、猛暑。この週末は、カリフォルニアにも熱波(ヒートウェーブ)が襲ってすごい暑さになっていた。いや~ん、めちゃくちゃ暑いじゃん。朝塗った日焼け止めクリームは、もうとっくに時間切れ。日焼けするぅ~と叫びそうになりながらも、すでに水族館を出てしまった身。もう後戻りは出来ない状況。人もまばらな猛暑の中を、僕は町の中心に向かって歩き始めた。
Pineアベニューっていうのがどうも街の目抜き通りのもよう。でもサザン・カリフォルニアなだけあって、金曜の夕方なのにストリートを歩いている人が少ない。やっぱり車社会なんだぁと、ここでも東海岸との文化差を実感。たまに、道路を上半身裸で汗だくになりながら猛スピードで自転車で駆け抜けていくクレージーな若者を見かけながら、どうにか中心街風な一角に出た。洋服のお店やレストランが立ち並んでいて、それに路面電車の駅もあった。砂漠の中でやっとオアシスについた遊牧民の心境。
Pineアベニューの景色
そのままPineアベニューを北上していると、ゲイ御用達のGold’s Gymを発見!僕の地元にもあるジムで、日々、ゲイが身体を鍛え上げているところ。しかも、その入り口付近には、ジムで人汗流してきたばかりのようなCali guysたちがたむろっている。顔の角度を変えず、だけどサングラスの奥ではバッチリ目で彼らの腕っ節なんかを追いながら、そ知らぬ振りして通り過ぎた。すると、向こうも僕に気が付いた模様で、ジロジロ。え、っそんなに僕ってバレバレだった?それだったらちょっと声かけてくれてもいいんじゃない?なんて高飛車な態度を内に秘めながら、そのまま歩き去ってみる・・・。でも数ブロック歩くとそこはもうゴーストタウン状態。工事の途中で終わってるような廃墟や、閉店してしまったお店など、まさにワンブロック離れただけでこの変わりよう。さすがアメリカ。
逃げるようにその一帯から逆戻りして、また目抜き通りのOceanブルバードへ。だけどこのお日様からだけは逃げられない。ヒイヒイいいながら、ジャドソンのマンションへ戻る決意を固めてみたはいいけれど、日陰がない。途中まできたところで、ギブアップしてコーヒーショップで休憩。中はガラガラ。だけどカウンターに若いブロンドのお兄さんが女性客とお話している。下唇のすぐ下の真ん中にこれまたブロンドのヒゲをちょびっと生やしていて、カッコいいんだかよくないんだか。いや、でもかっこいいんでしょう。
アイスラテを頼み、窓際に座って地元のコミュニティー・ニュースペーパーを読んで待つこと数分。ブロンドお兄さんが、高級レストランのウェイター並みのスムーズな手つきでアイスラテを運んできてくれた。サンキューのお礼を言って、またニュースペーパーに目線を落とす。それから数分して、またお兄さんが僕のテーブルまでやってきた。今度は何?と思っていると、「他に何か注文ありますか?メニューを持ってきましょうか?」のサービス。めちゃくちゃ親切ぅぅ!それとも、このウラには・・・なんてまたもや妄想に陥ってしまう僕。もうカリフォルニアに来たとたんにイイ男がすべてゲイに見えちゃうっていう病気にかかってしまった模様。それともこれは暑さのせい?
症状が悪化しないうちにジャドソン邸に戻って午後の昼寝でもしようとコーヒーショップを出たのはいいけど、数歩歩いたところで、テーブルにチップを残してこなかったことに気が付いた。しまった!っと思って振り返ってみたけど、涼んだコーヒーショップは遠く蜃気楼のような距離。ま、3ドルのアイスラテだけだったし・・・チップといっても1ドルでしょうと、せっかく優しくしてくれたお兄さんに罪悪感を覚えながらも、でも、多分、二度とあのコーヒーショップに戻ることはないなっていう打算も働いてそのままに。嫌なアジア人って思われてしまったかもしれないけれど。ゴメン!(ここで謝ってもしょうがないね。)
ジャドソン邸に戻ったら今度は急に元気が出ちゃって、寝るに寝れない。そこで寝室の窓を全開にして、海からのそよ風が吹きぬける中、ブリーフ一枚でヨガ体操を開始。腹筋、腕立て伏せなんかも組み込んで40分も体操をすると、汗がフツフツと皮膚の表面ににじんできた。それを蒸発させるように吹き込んでくるシーブリーズ。そよ風が唇に吹いたとき、初めてそれがヒリヒリしているのに気が付いた。火照った身体をベッドに横たえて呼吸を整えていると、ジャドソンが仕事から戻ってきた。