10日間のクルーズ旅行から戻ってきた翌日、Jimmyとの再会を果たした。
11月に参加した水球練習でJimmyに出会い、その後付き合い始めてから、1日以上間をおいて会わないということがなかった僕たちにとって、10日間というのはとても長いお別れとなった。
まだ僕にとっては、元カレJamesと一緒の旅行だったことや(もちろんJimmyも了承済み)、クルーズ旅行の間に知り合ったゲイのカップルたちと楽しい時間を過ごしていたからましだったものの、最初の5日間、Jimmyは一人仕事の日々を過ごしていた。かわいそうなことをしてしまったと反省。
だけどこのクルーズ旅行はJimmyと出会う前から予約してたから、僕にとっても想定外だったんだけど。でもJimmyは不満を一言も言わなかった。エライ。後半の5日間は、Jimmyもテキサス州オースティンの実家に戻って家族と過ごしたので僕のことなんて考える暇なかっただろうけど。
そして水曜夜、Jimmyと久々の再会。自宅前まで車で迎えに来てくれたJimmy。助手席に飛び乗ると同時に、Jimmyにキスとハグで挨拶。そのそばを通り過ぎていく通行人の目も気にせずに。僕の手には旅行中に買ってきたJimmyへのお土産袋。そしてサイドブレーキの近くには、Jimmyのものと思われる赤い包み紙があった。きっと僕へのクリスマス・プレゼントに違いない。
レストラン近くの路上に駐車し、そこで僕に赤い包み紙に包まれたものを渡そうとするJimmyに対し、僕は「レストランで交換しようよ」と提案した。中華料理店に入り、注文を済ませて、プレゼント交換。まずは僕から包み紙を開けた。Jimmyが自分で包装したと思われる包み紙。不器用に、だけど注意して貼られたセロハンテープをはがしながら、
「これって、テキサスで買ってきたの?」と聞く僕。
「明けてみると分かるよ」と薄ら笑いを浮かべて答えるJimmy。
赤い包装紙の中身は、輪ゴムで無造作に縛られたベースボール・キャップとTシャツ。その両方に"Texas-Austin"というロゴがデカデカとプリント/刺繍されていた。
一瞬、引きそうになる僕。お世辞にも趣味がいい贈り物とは言えない・・・。これまで僕がどういう服を着ていたかっていうのをまるで無視したプレゼント。だけど10日間も置いてけぼりを食わせた身にとって、不平を言う立場にはない。包み紙を開くとほぼ同時に、
「うぁー、ありがとう。この帽子の色がいいね」
なんていうお礼が口をついて出ていた。そしてその帽子をかぶってみせる僕。「あぁ、僕ってJimmyのことが好きなんだ」、とこのとき皮肉にも実感したのでした。
それにしても、僕の好みかどうかなんて完全無視してこういうプレゼント選定をするJimmyって、いかにもJimmyらしい。これまでにも紹介したように、オレンジジュース嫌いだったり奇天烈な嗜好の持ち主のJimmyの性格をよく表している。そんなJimmyに好かれる僕って・・・ちょっと複雑な心境。
Jimmyのプレゼント選定基準って、『僕が気に入るかどうか』というのじゃなくて、『Jimmyの好みかどうか』というのが基になっているような気がする。『このプレゼントはオレ自身だ!』っていうメッセージみたいなのが、この僕の趣味とはかけ離れたプレゼントを眺めながら強く感じたのでした。
そして次はJimmyが僕のプレゼントを開く番。僕が買ってきたのは、マヤ遺跡をモチーフにしたロウソク立て。男性がヨガのポーズのようにのけ反って、自分の両足首を掴むポーズを取っている。そして足の上にロウソクを立てるというデザイン。地元の人が粘土をこねて作ったような素人風の出来で、顔もブサイクなんだけど、なぜかこの置物/ロウソク立てに僕は強く惹かれてしまった。ホンデュラスのロアタンという貧困国だったにもかかわらず、18ドルもしたこの置物。実はJimmy宅には変な置物類が色々とあって、きっとJimmyが気に入るんじゃないかと思って買ってきた。プレゼント選びってその人の性格が露骨に出ます。
マヤ遺跡風置物を手に取り眺めるJimmy。
「それ、ロウソク立てなんだよ。Jimmyの家には色々な置物があるでしょう?気に入るかなとおもって」と説明する僕。
「ありがとう。ロウソク立て以外にも、なにかの入れ物になるね」と嬉しそうに色々な角度から眺め回すJimmy。
とりあえず僕からのプレゼントを気に入ってくれたみたい。
* * *
中華料理店での食事を済ませたのが夜10時過ぎ。明日は仕事納め。しかも早朝ミーティングが入っていた。そろそろ帰って寝る準備を、なんて考えていたら、Jimmyが、
「今晩、家に来る?」と聞いてきた。
「え?でも今日は平日だよ。Jimmyも明日仕事あるでしょう?それに、これまで平日の水球練習で出合っても、食事だけでお泊りすることなかったじゃない?」
「じゃ、僕が今晩、車で運転して家まで送ってあげるから、僕の家に来ない?」
「???」。なぜ、Jimmyがここまで今晩は強引なのか、僕には理解できなかった。
「OK、あと1日2日は我慢するよ」と諦め顔で結論を出すJimmy。
すっかり休暇ボケしていた僕は、Jimmyがこの晩、11日ぶりの「再会」を果たしたかったのだとようやく気がついた。
「あ、ゴメン、気がつかなかった・・・。僕も11日ぶりだから・・・じゃ、Jimmyの家に行くね」
と言って、僕はこの晩、Jimmyの車に乗り込んで彼のマンションへ行った。
11日ぶりにJimmyのネコたちにも再会。リビングで荷物を降ろし、靴を脱いで、Jimmyとハグ。久々だからか、Jimmyはいつもより強くハグしてくる。しかも時間が長い。僕も久しぶりのJimmyとの抱擁に陶酔――。
そして、ついにこの晩、僕はJimmyに'L' wordを発してしまった。
"I love you, Jimmy."
――2秒くらいの沈黙。そして思い出したように、Jimmyも僕に
"I love you, too."
僕が言ってから、間髪いれず返事してくれなかったのはなぜ?あの2秒の間に、Jimmyは何を考えたのだろう?この言葉を言うことで生まれる責任?コミットメント?色々な想像が僕の頭を駆け巡っていった。考え抜いた末に発せられたJimmyからの"I love you, too."には、何か重いものが秘められている気がした。
* * *
大晦日は、実はJimmyの誕生日。マヤ遺跡のお土産渡したところだしなぁ・・・。Jimmyの誕生日ってタイミング悪すぎ。絶対に彼の両親も、5人兄姉(きょうだい)の末っ子として生まれたJimmyへは、クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントを一緒にしてますよ、きっと。僕もマヤ遺跡をあげたところだし、改めて何をプレゼントしようか思案中。デパートでのギフト券があるので、それで何か洋服を買ってあげようというのが第一候補。
今日30日が仕事納めのJimmy。電話で今晩何する?なんて話していたら、Jimmyが、「今晩は僕が夕食を作るよ」なんて初めて言い出した。100%テキサス料理好みのJimmyはとにかく野菜嫌いの肉好き。僕は日本料理、その他アジア料理、シーフード、野菜系が好き。それを知っているはず(?)のJimmyなんだけど・・・。あのプレゼントの後だと確信が持てない。初めての手料理に期待する半面、やっぱりJimmyの性格を前面に押し出した料理になるのではないかと、正直、不安がよぎります。
11月に参加した水球練習でJimmyに出会い、その後付き合い始めてから、1日以上間をおいて会わないということがなかった僕たちにとって、10日間というのはとても長いお別れとなった。
まだ僕にとっては、元カレJamesと一緒の旅行だったことや(もちろんJimmyも了承済み)、クルーズ旅行の間に知り合ったゲイのカップルたちと楽しい時間を過ごしていたからましだったものの、最初の5日間、Jimmyは一人仕事の日々を過ごしていた。かわいそうなことをしてしまったと反省。
だけどこのクルーズ旅行はJimmyと出会う前から予約してたから、僕にとっても想定外だったんだけど。でもJimmyは不満を一言も言わなかった。エライ。後半の5日間は、Jimmyもテキサス州オースティンの実家に戻って家族と過ごしたので僕のことなんて考える暇なかっただろうけど。
そして水曜夜、Jimmyと久々の再会。自宅前まで車で迎えに来てくれたJimmy。助手席に飛び乗ると同時に、Jimmyにキスとハグで挨拶。そのそばを通り過ぎていく通行人の目も気にせずに。僕の手には旅行中に買ってきたJimmyへのお土産袋。そしてサイドブレーキの近くには、Jimmyのものと思われる赤い包み紙があった。きっと僕へのクリスマス・プレゼントに違いない。
レストラン近くの路上に駐車し、そこで僕に赤い包み紙に包まれたものを渡そうとするJimmyに対し、僕は「レストランで交換しようよ」と提案した。中華料理店に入り、注文を済ませて、プレゼント交換。まずは僕から包み紙を開けた。Jimmyが自分で包装したと思われる包み紙。不器用に、だけど注意して貼られたセロハンテープをはがしながら、
「これって、テキサスで買ってきたの?」と聞く僕。
「明けてみると分かるよ」と薄ら笑いを浮かべて答えるJimmy。
赤い包装紙の中身は、輪ゴムで無造作に縛られたベースボール・キャップとTシャツ。その両方に"Texas-Austin"というロゴがデカデカとプリント/刺繍されていた。
一瞬、引きそうになる僕。お世辞にも趣味がいい贈り物とは言えない・・・。これまで僕がどういう服を着ていたかっていうのをまるで無視したプレゼント。だけど10日間も置いてけぼりを食わせた身にとって、不平を言う立場にはない。包み紙を開くとほぼ同時に、
「うぁー、ありがとう。この帽子の色がいいね」
なんていうお礼が口をついて出ていた。そしてその帽子をかぶってみせる僕。「あぁ、僕ってJimmyのことが好きなんだ」、とこのとき皮肉にも実感したのでした。
それにしても、僕の好みかどうかなんて完全無視してこういうプレゼント選定をするJimmyって、いかにもJimmyらしい。これまでにも紹介したように、オレンジジュース嫌いだったり奇天烈な嗜好の持ち主のJimmyの性格をよく表している。そんなJimmyに好かれる僕って・・・ちょっと複雑な心境。
Jimmyのプレゼント選定基準って、『僕が気に入るかどうか』というのじゃなくて、『Jimmyの好みかどうか』というのが基になっているような気がする。『このプレゼントはオレ自身だ!』っていうメッセージみたいなのが、この僕の趣味とはかけ離れたプレゼントを眺めながら強く感じたのでした。
そして次はJimmyが僕のプレゼントを開く番。僕が買ってきたのは、マヤ遺跡をモチーフにしたロウソク立て。男性がヨガのポーズのようにのけ反って、自分の両足首を掴むポーズを取っている。そして足の上にロウソクを立てるというデザイン。地元の人が粘土をこねて作ったような素人風の出来で、顔もブサイクなんだけど、なぜかこの置物/ロウソク立てに僕は強く惹かれてしまった。ホンデュラスのロアタンという貧困国だったにもかかわらず、18ドルもしたこの置物。実はJimmy宅には変な置物類が色々とあって、きっとJimmyが気に入るんじゃないかと思って買ってきた。プレゼント選びってその人の性格が露骨に出ます。
マヤ遺跡風置物を手に取り眺めるJimmy。
「それ、ロウソク立てなんだよ。Jimmyの家には色々な置物があるでしょう?気に入るかなとおもって」と説明する僕。
「ありがとう。ロウソク立て以外にも、なにかの入れ物になるね」と嬉しそうに色々な角度から眺め回すJimmy。
とりあえず僕からのプレゼントを気に入ってくれたみたい。
* * *
中華料理店での食事を済ませたのが夜10時過ぎ。明日は仕事納め。しかも早朝ミーティングが入っていた。そろそろ帰って寝る準備を、なんて考えていたら、Jimmyが、
「今晩、家に来る?」と聞いてきた。
「え?でも今日は平日だよ。Jimmyも明日仕事あるでしょう?それに、これまで平日の水球練習で出合っても、食事だけでお泊りすることなかったじゃない?」
「じゃ、僕が今晩、車で運転して家まで送ってあげるから、僕の家に来ない?」
「???」。なぜ、Jimmyがここまで今晩は強引なのか、僕には理解できなかった。
「OK、あと1日2日は我慢するよ」と諦め顔で結論を出すJimmy。
すっかり休暇ボケしていた僕は、Jimmyがこの晩、11日ぶりの「再会」を果たしたかったのだとようやく気がついた。
「あ、ゴメン、気がつかなかった・・・。僕も11日ぶりだから・・・じゃ、Jimmyの家に行くね」
と言って、僕はこの晩、Jimmyの車に乗り込んで彼のマンションへ行った。
11日ぶりにJimmyのネコたちにも再会。リビングで荷物を降ろし、靴を脱いで、Jimmyとハグ。久々だからか、Jimmyはいつもより強くハグしてくる。しかも時間が長い。僕も久しぶりのJimmyとの抱擁に陶酔――。
そして、ついにこの晩、僕はJimmyに'L' wordを発してしまった。
"I love you, Jimmy."
――2秒くらいの沈黙。そして思い出したように、Jimmyも僕に
"I love you, too."
僕が言ってから、間髪いれず返事してくれなかったのはなぜ?あの2秒の間に、Jimmyは何を考えたのだろう?この言葉を言うことで生まれる責任?コミットメント?色々な想像が僕の頭を駆け巡っていった。考え抜いた末に発せられたJimmyからの"I love you, too."には、何か重いものが秘められている気がした。
* * *
大晦日は、実はJimmyの誕生日。マヤ遺跡のお土産渡したところだしなぁ・・・。Jimmyの誕生日ってタイミング悪すぎ。絶対に彼の両親も、5人兄姉(きょうだい)の末っ子として生まれたJimmyへは、クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントを一緒にしてますよ、きっと。僕もマヤ遺跡をあげたところだし、改めて何をプレゼントしようか思案中。デパートでのギフト券があるので、それで何か洋服を買ってあげようというのが第一候補。
今日30日が仕事納めのJimmy。電話で今晩何する?なんて話していたら、Jimmyが、「今晩は僕が夕食を作るよ」なんて初めて言い出した。100%テキサス料理好みのJimmyはとにかく野菜嫌いの肉好き。僕は日本料理、その他アジア料理、シーフード、野菜系が好き。それを知っているはず(?)のJimmyなんだけど・・・。あのプレゼントの後だと確信が持てない。初めての手料理に期待する半面、やっぱりJimmyの性格を前面に押し出した料理になるのではないかと、正直、不安がよぎります。